三章の① 多数の思惑
入学試験のルールは以下のとおり
① 約300人の生徒には1部づつパンフレットが配布されている
② そのパンフレットには1~40の番号がランダムに1つ書かれている
③ 1~40の番号を1人づつ揃え、40人のクラスを作り、係員に伝える
④ クラスはAからEクラスまである
⑤ 原則として手段は自由
主人公:誼人は、望と協力関係を結び、『特待生は、分散するように同じ番号を与えられている。その番号は1と2』そして、『丁度280枚あるはずだったパンフレットは当日欠席した者達のせいで、欠番が出ている』という仮説に辿り着いた。
開始から25分たった頃、最前列の二人は周りの無言の圧力に促され立ち上がっていた。
彼らもまた日本人であるが故、皆が立ち上がっている中で座っていたくはなかったのだった。
長身の女はもうすでに60名以上の人を従えつつあった。その中できっちり40名を絞り込むために彼女が選定をしているようだった。
彼女は遠間から見ると、細いように見えるが、間近でみると絞り込まれ、鍛えられた身体だと認識できる。
観賞用ではなく、実用。機能美に満ち溢れていた。凛とした顔立ちと切れ長の目も相まって、男女共にカッコイイという感想をもつ出で立ちだった。
自分の音頭でやり始めた以上トラブルにならないように、嫌味の無いように注意して選定していたようだが、それでもイレギュラー事態はおきてしまう。
「せっかく来てやったのに、ふざけんなよ!!!なんで名前も知らねーようなヤツにしきられなきゃなんねーんだよ!!」
怒声が響く、先ほどの長身の女の大声ほどの音量は無かったが、会場の注目を集めるには十分だった。男の怒声は無条件で恐怖の対象であるからだ。
しかし 、長身の女は全く意に介していないようで、腰まで届きそうな黒髪をなびかせ、最後に皮肉を付け加えて涼しい顔で返答した。
「ああ。わたしが呼んでおいて申し訳ないが、数字が重複してしまっては仕方ないだろう、だからじゃんけんで決めたんじゃないか。それでお前は負けた。それなのになんでまた文句を言いに来てしまったんだ。男なら潔く引いた方がカッコイイぞ」
「あ、ちなみに名前は覇山京子だ。よかったな!これで名前を知るヤツだ」
怒声をあげた男は何も言い返す事ができなかったが、引き下がるわけにいかなかった。
これだけ会場の注目をあびているし、事情もある。怒声を上げ必死になった以上、負けてはプライドが粉々になってしまう。プライドの高い男にとって、大衆の前で恥をかくほど悲惨な事はない。
「てめぇ、いいだしっぺだからって調子のるなよクソが!!」
両親が小金持ちで、甘やかされて育ってきたこの男は、どうしようもならない時は暴力で解決する事が多かった。揉め事になっても、一般人ごとき金でどうにでもなる事が多かったからだ。物事の解決に暴力を多用するうちに、男女関係無く殴るようになっていた。
今回もその例にもれず襟首をつかみ、拳をふりあげ殴ろうとした。
これはまずいと周りで傍観していた男達が止めようとするも、遅かった。会場には、真綿に鉄球を落としたような音が響いていた。




