一章の① 選定条件
やはり、普通じゃない学校の入学式は普通ではなかった。
入学者の再選定とクラス編成を行う試練がなんの予告も無く行われるのだった。
道中、うつむいて歩くのも景気が悪いので、目線を上げた。目線をあげると眉毛を通り過ぎ、まぶたに到達しつつある少しハネた前髪が視界に入ってくる。
170センチ63キロの標準体型で、制服の着こなしで個性を主張してもしていなければ、良い意味でも悪い意味でも二度見はされない誼人の外見的特徴は、寝癖のような癖毛と眠たそうな目元くらいだった。髪は生まれつきで少々明るめだったが、あくまで一般的高校生の範囲には収まっていた。
誼人は受験で何故自分が合格したのを考えながら歩いた。
というのも、先ほど正門で立ち止まっている時に自分を追い越し歩いて行った生徒達が、自分よりもかなり知的に見えたからだった。
中には、両親を御父様、御母様とでも呼んでいそうなヤツもいた。
「本校は、中学五教科の学力、内申点等は一切評価せず、本学で実施する独自のテストと面接によって合否を判断する」と掲げているような高校だったので、内申点が悲惨な自分にピッタリだと思ったから受けてみたのだった。
すると、何がよかったのかわからないが、合格通知の中に特待生として合格したという通知文書が付されていた。
誼人は束の間喜んだ後、自分が特待生と言う事は、どれだけここは底辺高校なのだろうか……。と不安になったのだった。