一章の⑩ 選定条件
やはり、普通じゃない学校の入学式は普通ではなかった。
入学者の再選定とクラス編成を行う試練がなんの予告も無く行われるのだった。
「正確な数はわからないけど三百人くらいいそうだよね。そうすると百人くらいの生徒達は入学できないんじゃないかなぁ~」
誼人はこの人が隣で本当に良かったと思いながら彼女の続く言葉に相槌をうちながら耳を傾ける。
気を張り詰めて聞かねばならない情報をふわっとした口調で聞く、というのはなんともいえないギャップだった。
「でも、わたしが気付くくらいだから、もう全員が合格できないって気が付いてる人はたくさんいるよねぇ」
「……でもあーゆー人たちはダメだよねぇ。きっと、たぶん友達同士でしょ? 重荷になりそうだよねぇ」
彼女は会場の所々でかたまり、こんな状況でも当事者意識も無く談笑している五、六人の集団にネコ科の動物の狩りの如く、鋭い視線を飛ばす。
「どうして重荷になるんだ? 最初からたくさんいるから有利じゃないか?」
まだ混乱している誼人は、何も考えずに聞いた。
すると待ってました! と言わんばかりのタイミングと勢いで言葉の波を誼人にぶつけてくる。女子は話す事が好きである事が多いが、この子も例外ではないようである。
「だって五、六人のグループの中で数字かぶりがあったら大変じゃない? でもまぁ、そこはこのパンフレットを見る限り、名前や学籍番号が書いてないから、他の人と交換できればなんとかなるかもしれないよねぇ」
「でも一番のダメなところは、人数そのものだよ。五、六人は四十人のうちの約15パーセントだよ?」
「それに何か問題があるの?」
誼人は問いかける。
「集団グループの離れたくないっていう気持ちは重荷になるよ」
「まず第一に、あの五人のグループと、また別の五人グループがくっつきそう! ってチャンスがあっても、お互いのグループの間で一つでも数字がかぶっちゃったらモメると思わない?」
「それなら全く別の人とかぶってない数字を交換してもらったらいいのでは?」
自分ならそうすると思い誼人は言う。
「そこで第二の問題。大きなグループができるための協力なんて誰がするのかな? 協力してパンフレット交換したところで、自分が持つパンフレットはかぶり分だから入れないんだよ?」
誼人は、おっとりした外見と裏腹なマシンガントークとロジック圧倒されていたが、何よりも、こんなにも早く情報を整理し、分析している事に感心した。




