一章の⑨ 選定条件
やはり、普通じゃない学校の入学式は普通ではなかった。
入学者の再選定とクラス編成を行う試練がなんの予告も無く行われるのだった。
教頭がステージ袖の扉に消えようとしていた時、会場はステージ前の受付席の教員と思わしき人、そして生徒達だけとなった。
会場に残された生徒達は、教頭の姿が見えなくなった後、一瞬の間を置いてひそひそ話を始めた、ひそひそ声はどんどん大きくなっていく。
誼人も例に漏れず誰かに自分の中の疑問点を誰かにぶつけたかった、しかし、誼人には友達はおろか、知り合いすらこの会場に居なかった。
さらに誼人は角の席に座ってしまっている、隣の人物がさらにその隣、誼人にとっての二つ隣りの人物と会話してしまっていたらもはや詰みである。
会場の話し声はそれぞれを聞きとる事ができぬほどの雑踏になっていたので、ある程度声を張らなければならない。勇気を振り絞り彼女に話しかける。
「ねぇ 今のって……」
すると、言葉の途中で隣の女子が向き直り、誼人の発声を上書きした。それは誼人が話しかけたのを受けての反応なのか、それとも彼女が自ら話しかけてきたのかはわからない。
「やっぱり! ウワサには聞いてたけど、本当の試験が入学式であるっていうのは本当だったんだね!」
「本当の入学試験!? それはまだ入学が確定してないってこと!?」
女子と話す事が苦手な誼人でも思った事をそのままぶつけられる程に焦っていた。
学校が企業活動を認めているという事も二、三分前まで気にかかっていたが、この時すっかり頭から抜けていた。この事は明日になるまで記憶の引き出しにしまいっぱなしとなる。
「多分そうだと思うよ~。だってAからEクラスまでで、全部で五クラス、それが四十人、全部で二百人って事でしょ? この会場どう考えても二百人より多いと思わない?」
確かに、言われてみるとそんなような気もする。




