攻略対象者はヒロインに挑発される
2話連続投稿です。最新で見てる方、ご注意です。
婚約者殿が水をかけられた翌日、俺は婚約者殿がヒロインと呼んでいる女に呼び出された。
彼女の名前はもっと違う名前だったような気がしたが、そんな事は興味がないので、どうでもいい。
「これ、返すわ。ありがとう助かったわ。」
バサッと投げて渡されたのは、昨日婚約者殿に掛けてあげようとした、制服の上着。
何故、俺の婚約者の事で、この女にお礼を言われて、これを渡されなければいけないんだ?
本来なら俺がびしょ濡れで、あられもない姿になってしまった婚約者殿を保護して、その姿を堪能したかったのに。
ペロペロしたかったのに。
「…彼女は無事だったのか?」
昨日はあの後、婚約者殿と連絡が取れなかった。
まさか風邪をひいて、寝込んでしまっていたのでは?
「うふふ、心配かしら?」
当たり前だろう?
何を言っているんだ。
「彼女なら、大丈夫よぉ。昨日一緒にお風呂に入って、一緒に寝て温めてあげたからぁ」
…一緒にお風呂だと?
その上、一緒に寝ただと?
何羨ましいことしてるんだ、こいつは…。
婚約者の俺ですら、出来ない事をいけしゃあしゃあと!
同じ女だからといって、婚約者殿にやすやすと近づきやがって!
心の中でギリギリと悔しがっていたが、表面には出さない。
こんな女に弱みを見せる訳には、いかない。
「それは、こちらの方でお礼を言わせてもらおう。婚約者殿がやっかいになった。ありがとう。」
そう、素っ気なく、あくまでも自分の婚約者であることを強調して。
そんな俺を見て、更に面白そうに、目を細め、口に妖艶な笑みを浮かべ、会話を続ける。
彼女の恥ずかしがる顔とか、真っ白でキレイなお肌とか、あどけない寝顔とか…貴方知ってる?
可愛かったなぁ。
食べちゃいたかった。
そう言いながら、ペロッと舌舐めずりして、挑発的な笑みを送られた。
ねぇ、もう、いいかな?
女だけど、こいつ殴っていいかな?
いいよね?
最初から気に食わなかったけど、完全にケンカうってるよね?
冗談とかじゃなくて、完全に婚約者殿を狙ってる獣だよね?
婚約者殿の貞操守るためにも、此処で駆逐してもいいよね?
寧ろするべきだよね?
…やらないけどさ。
こんな安い挑発に乗ってるようじゃ、将来魑魅魍魎が潜んでいる王宮で、宰相なんかやっていけない。
拳を握りしめ、どうにかやり場の無い怒りを拡散させる。
そして、ゆっくり息を吐き、冷静さを何とか取り戻す。
「言いたい事は、それだけか?」
真正面から挑発を受け止めた。
「うふふ。そうこなくちゃね。」
そう言うと、今までの挑発的な笑みを潜めて、ふんわりと柔らかく笑った。
そして、俺の後ろに向かって、手を振った。
そこには、何故かピルピル震えて此方を伺っている、婚約者殿がいた。
「怖い、龍と虎、怖い。」
俺とこの女を交互にみて、そう呟いていたが、何の事だかわからなかった。
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