呼吸をするように
バターを塗って食べたパンも
目覚めに飲んだコーヒーも
どれも生活の一部になって
味気ない一日が始まるんだ
クラクションを響かせる車も
髪型を注意する大人も
守りたいのはいつも自分で
その音は風になって消えた
「これでいいのか?」なんて思いは
野良犬だって食べやしないのに
ポケットの中に手を入れれば
いつだってそいつは潜んでいる
その温度に触れてしまう度に
ここまでどう歩いてきたのかを
思い出してしまうよ
変われない僕のままで
この先どう進めば良いのかなんて
分からないのは誰のせいだ
世界はいつも回っていて
時間と同じように止まらない
僕もそうなれれば楽になれるかな
どうもそれはできないらしい
教わらなかった歩き方で
何を落としてきたんだっけ?
思い出せやしないのに
風に消えた音が乗せる
向かい風に目を閉じてしまえば
前を見なくて済むんだ
ポケットの中に手を入れたら
温度は冷え切っていた
なぜか急に寂しくなって
いつの間にかそれが温もりになっていたよ
その温度を取り戻したくて
僕は風を背にして目を開けた
バターとコーヒーの香り
騒がしい一日の中で
触れた指先から温めていく
通り過ぎた日々は呼吸をするように
変われないままの僕の足を
風が吹く方に向かわせるのさ
読んで頂きありがとうございました。