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15日目

 ■■■


 『今日でちょうど2週間が経ちましたね。みなさん元気ですかー。

 といっても、私は皆さんの様子をじっくり観察しているので元気なことはわかっています。一応定型文ですので、あしからず。

 さてさて、みなさんそれぞれダンジョンを運営されていると思いますが、ここで追加機能を発表しまーす。いえーい。

 追加機能は二つ。

 一つ目は、ダンジョンランキングの設置でーす。みなさんが作っているダンジョンを貯蓄魔力・稼働魔力・魔物数・脅威度などの観点から数値化し、それをランキング形式で並べていくものです。これはみなさんのステータスから見ることができます。ランキングの更新はその日の0時。それ以降は次の日の0時になるまで更新されることはないのでご注意くださいね。

 二つ目は、ダンジョン販売所の販売品目の拡大でーす。ダンジョン販売所は利用したことない人の方が多いと思うけど、まぁメニューの中から探すとその項目があるので。魔力をお金代わりにいろいろなものと取り換えることができるこの販売所だけれど、みなさんからの意見とか取り入れて品目を増やしました。後で見ておいてね。

 三つ目は、ダンジョン対抗戦の設置でーす。ダンジョン対抗戦っていうのは、自分の近くのダンジョンの人と戦えるっていう機能で、一週間に一回だけ相手のダンジョンの入り口と自分のダンジョンの入り口を繋げるチャンスがあります。で、何をするのかと言えばそのまま魔物同士を戦わせて互いのダンジョンを制圧していって、どちらが先に相手のダンジョンマスターを殺すデッド or 捕えるキャプチャーするか、っていう話だね。これのメリットは上手く相手のダンジョンマスターを手に入れると、そのまま相手の持ち物全部自分のモノになります。ねぇ凄いでしょ? ダンジョンはもちろんのこと、そこにいる魔物に、ダンジョンマスター自身を自由にできるんだよ。詳しくはメニューから見てね。

 ……と、こんな感じかな。

 それじゃあ、楽しいダンジョンマスター生活を。スィーユー』




 と、神様のふざけた口調の言葉が朝方聞こえた訳でした。

 いろいろと興味盛りだくさんな話だったので早速頭にメニューと念じた。


 ダンジョンランキングはすでに出来上がっていて、僕のダンジョンは32位中10位と上々なランキングだった。魔物数はどこにも負けていない自信がある。あ、でももしも誰か虫系のダンジョンを作っていたらどうだろうな。虫って結構数増えるの早いからな……って虫系のダンジョンの人いたか。

 ダンジョンランキングにあるのは誰のダンジョンかと、そのダンジョンの傾向だ。例えば僕のダンジョンは、『侵食のダンジョン』というようにそのダンジョンの傾向を表した言葉が二つ名に付く。


 ダンジョン販売所は、以前モモに教材を取り寄せるのに使ったがなかなかに使い勝手がいいものだった。確認してみるとたしかに品目は増えていて、生理用品や清潔系のものが増えていた。たぶん女の子のダンジョンマスターからの要望だろうな。コンドームまで売っていたんだが、これはいったい……


 ダンジョン対抗戦は、かなり厄介だ。いい意味でも、悪い意味でも。いい意味で言えばどのダンジョンを狙うか念入りに考える必要があり、悪い意味ではどこのダンジョンから狙われるか対策を考えなければならないということだ。ダンジョンランキングに表示されるダンジョンの傾向と合わせて考える必要がある。うむむ、面倒なこと増やしやがって神様。むしろこいつは悪魔じゃないかと思うぞ。

 まぁありがたいことに、ダンジョン対抗戦は来週からだ。この1週間の準備期間になんとか対抗策を練らないと。

 でもまぁ、上手く勝てれば相手のダンジョンマスターの全てを奪えるんだよな。……ふふふ。全く女の子のダンジョンマスターは大変だ。いかにして男どもを寄せ付けないダンジョンを作り出すかってところか。強いダンジョンを作るには、手っ取り早く相手のダンジョンを攻め込んで勝ちを得られればいい。負ければ転落人生ってな。その分男である僕は気楽か。誰かに攻め込まれる心配はそこまでしなくても、……いや前の世界では気弱な男子クラスメートだった僕だから、案外女の子が狙ってくるかもしれない。気を付けておこう。




 まぁ、僕には頼もしいブレーンがいる。

 詳しい分析とか対策はモモに任せながら、僕は僕の仕事をするか。






 ■■■


 元監禁部屋、現在苗床部屋。


 エリスがスライム達に囲まれながら恍惚とした表情を浮かべ宙を見上げていた。


「うぐぅ、ひゅぅ」


 呻くような声をあげながら、歓喜に泣き叫ぶ。

 ぴゅっぴゅっと潮を噴いて、膣内からスライムを排出する。


 生まれたスライムは、通常魔力から作り出すスライムと違い、初期能力が高い。また稀に特殊能力を持ったスライムが生まれることがある。特にダークエルフという魔力に長けた種族が苗床になっているせいか、スライム達の魔力は大きい。

 これが苗床の良いところだよな。良質な魔物は苗床から、っていうキャッチコピーは流行りそうな気がする。


「はぅ……んぐ、あう」


 はぁはぁと艶めかしい息を吐き、エリスは物欲しげに手を上下に振る。

 一週間ちょっとでよくもここまで淫乱に仕上がった。ずっと快感で縛り付けたせいだろうか。これならこの先ずっと苗床として上手くやっていける気がする。元々適性があったのだろうか。


「もっろ、もっろ、して?」


 体に鎖として纏わりつくスライムに、エリスは親愛の情をもって撫でている。最初魔力を奪う『マナドスライム』だったこのスライムは、いつの間にか進化を果たし『マナドキングスライム/苗床の管理者』になっていた。なんかすごいことになっているよ……もう彼なしには苗床は管理できない気がする。


 エリスもこのスライムのことをまるで伴侶のように扱っているし、なかなかいい感じだな。

 僕はただエリスから生まれ落ちたスライムを頂いていくだけだ。





 ■■■


 所変わって、ミリン専用監禁部屋。

 ミリンに施している『侵食』はかなりのところまで進んでいて、後少しで完全に掌握できそうだ。

 完全にミリンの存在を侵食し終えたら、魔物化が始まる。もうミリンの魔物化先は決まっている。やっぱり一発目の魔物化はあれにしたいからな。


「……何しに来たのよ」


 およおよ。まだまだ反抗的だ。

 いくら『侵食』が進んでもこの態度を続けていられるなんて、なかなかに面白い。これはもしかして逸材を見つけ出したのかも。


「また私に何かする訳ね! もう私を帰して! 今にサトウが私を助けに来てくれるわ!」


 ミリンには一縷の希望を持たせるためにサトウがダンジョンの外に出たことを教えてある。それを唯一の支えにしてここまでやって来たが、残念ながらサトウ君は君のことを助けには来ないんだよね。もうミリンのことは希薄にしか覚えていないからね。半ば記憶喪失のようになっているサトウは今も元気にアルメリアの街にいますってね。そんなことはミリンには教えないけど。


「いいから離して!」


 ダーメ。

 後ちょっとで魔物化が終わるんだから。


 あーあー、楽しみだな。


 さて今日もミリンに『侵食』を施して魔物化する日を楽しみにしますかな。


これ以上投稿するのが難しいと感じたため、ここまでとさせていただきます。これまでお読みいただきありがとうございました。続きはノクターン版をお楽しみください。

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