第二章 最初の騎士ー4
「戦況は……芳しくないようだな」
城塞都市を取り囲む魔物の軍勢。
そのさらに後ろから、アーサーは戦場を見つめていた。
ーーートクンッ……トクンッ……ーーー
微かに震える二振の神剣。
手に伝わる震えには、かつての友との再会への喜びが込められているようだった。
「それでは、会いに行こうか。古き友とその後継者に。」
アーサーは双剣へ語りかけ、魔物へと突撃する。
目指すは城塞都市。そこを守る神槍の騎士と見えるため。
最初にソレに気付いたのは、城門の上で弓を射る弓士達だった。
押し寄せる魔物の軍勢、それの後方に巻き上がる砂塵。
そして、尋常ではない出力で戦場を覆う魔力。
明らかに常人の域を超えている魔力の強大さゆえに、弓士達は絶望した。
さらに上位種の魔物…いや、七罪王が出てきたか、と。
通常の魔物は、動物が障気を吸いより強靭により凶暴化した存在である。
しかし、そんな通常種の中で極稀に、障気への適合性が極めて高いものが存在する。
それらは上位種と呼ばれ、通常種よりも警戒すべき存在となる。
上位種となった魔物は、より強い個体となるだけでなく通常種を眷属として使役し、魔物達を組織化する。
それだけならまだいい。…充分良くないが。
上位種は、通常種と異なり魔力を持ちそれを行使する。
そして、魔力の大きさはより知性の優れたほど、大きくなると言われている。
数千年を生きた古龍種ー龍族の長老達ーは、それこそ桁違いの魔力を誇ると言う。
次にエルフ族、精霊種と続いて人族がくる。
そして……七罪王は人族が魔人化した存在だと伝承は語る。
ゆえに、弓士達は絶望した。
それでも、彼等は自らの務めを全うすべく動き出す。
今にも逃げ出そうとする心と震える足を叱咤し、ある者は迎撃の為に矢をつがえ、ある者は城門前で戦うランスロット達の援護射撃を再開し、そして、ある者は彼等の元へと自らが見た物を伝えに前線に走る。
恐怖を越えた訳ではない。
彼らはただ、最善を尽くすことで最高の結果を手に入れられるよう覚悟を決めた。