第一章 始まりー終了
「エデンは…12種族は、今、侵略されておるのだよ。古の亡霊、七罪王と奴らの率いる魔物にな。」
先程までの覇気はなく、悲しみを多分に含んだ声で、バハムートは続ける。
「まずは、少しばかり昔話をせねばなるまい。奴らは、かつて一度エデンを襲い、その時退けられたのだ。お前に宿る、双剣の騎士王達の手によってな。」
他の神々も、口を挟むことなくバハムートの昔語りを聞いていた。
「そして、奴らは『黄昏の回廊』に幽閉され、二度と現れる筈はなかった。『黄昏の回廊』は空間の神アカシアと時の神イーリスの二柱が司る閉鎖空間であり、勝手に開かれることも、まして、破られる事もあり得ぬ。……確かにそうだったのだ。」
アカシアとイーリスであろう二柱は、片や無表情を貫き、もう一方は苦々しい表情を浮かべている。
2人を見やった後、バハムートは続けた。
「だが、結果として回廊は破られ、エデンに再び奴らは舞い戻った。奴らは土地を焼き、街を破壊し、今ではエデンの殆どを手中に納めておる。12種族も抵抗を続けておるが、そう長くは保つまい。」
その言葉に円卓に重苦しい空気が流れる。
神々は、自らの守護する種族を思い苦しんでいた。
「本来なら、騎士王の魂は戦いの輪廻を離れ、安らぎの彼方へと向かう筈であった。だが、我らは我らの赤子同然の者達を、見捨てることが出来なかった。それ故に、その魂を引き戻したのだ。赦せとは言わん、欲しければこの力をも受け渡そう。だから…どうか彼等を救って欲しい。」
そして、アーサーへと神々の視線が集まる。
助けを求める声を聞き、助けを求める者達が居る。
鼓動が早まり、心が…魂が震える。
「…私の剣が折れぬ限り、私は人々を護る剣となりましょう…」
遥か昔、七罪王との戦いに向かう1人の騎士。
後に『双剣の騎士王』と呼ばれた英雄と同じ言葉で、彼の魂を継ぐ英雄は戦いへと旅立った。