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第一章 始まり
眩しい。
暗闇の中に居た彼は、その明るさにまばたきを繰り返した。
声に呼ばれ、闇の進み、辿り着いた巨大な岩の扉。
虚無の中にあって、それは到底開きそうにない圧倒的な質量を感じさせる扉だった。
だがしかし、その扉は、彼の手が触れると重々しく開き始めた。
徐々に広がっていく隙間から、溢れ出る光。
闇に居た彼には、その暖かさが感じられた。
☆☆☆☆☆
「やっと…届いたのですね!!」
扉の中へ、誘われるように進んだ彼にあの声が語りかける。
「どんなに、貴方を待ったことか…」
少し哀しげな響きを含んだ声につられ、顔をあげた。
周りを見渡せば、そこは白亜の大広間。
そして目の前には、輝きを纏う愛らしい女性。
その顔には、華やいだ微笑みが浮かんでいた。