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相撲の後

女の子相手に本気をだせない。


そう言う人もいるだろう。

しかしこの状況は本気を出さないといけないのかもしれない。それが男としての矜持ではないだろうか。


「ん……やっ……はぁ……岸さん……激しいですね……」


艶めかしい声をあげるシープ。


「う、だがそういうお前もすっかりはまり込んでんじゃねえか」

「い、いじわるですー岸さんは」


疲れたからか呼吸が少し荒いシープ。


そう、俺たちはたった一日で、




相撲をする仲になっていた。


「っだぁー!負けたぁーーー!」


体を大の字にして床の上で倒れる俺。


「最後のは少し疲れたので危なかったですー」


そう言ってシープは俺にタオルを差し出す。礼を言いつつ俺はそれを受け取る。


「しかしずっと相撲ばっかりしててよく飽きなかったな。俺たち」


片付けが終わった後、俺たちは休憩を挟みつつ言葉通り室内で相撲をしていた。


気が付けば今は昼前くらいの時間だろうか。


「そりゃー楽しいですからね。河童がついハマっちゃうのもわかるでしょう?」


30回戦までして結果は14対16でシープの勝利だった。心なしかいつもより気分が高揚しているように見える。


「まあ俺は河童ではないけどハマってしまった訳だしな。楽しかったよ」

「そうですか!ではまた今度しましょうね!」

「え、ああ、喜んで……」


25~30回戦目は連続で行った。


休憩をはさむとすぐ体力を回復するシープは疲弊している俺にとって厳しい相手だったので、一度休憩をとり五回戦連続の勝負にしようと申し出たのだ。


それならば疲れる量は互角だろうと思い勝負に臨んだのだったが、先ほどのような艶めかしい声を他の誰かに聞かれたら室内で相撲を取っていると思われかねない。別の意味で。


だから次相撲をシープと取るときは連続の勝負はやめよう。俺の精神も持たない。


「やー、汗で掻いちゃいましたねー。先入ります?」


小さなガッツポーズを胸の前でしたシープは俺に言った。


「入る?お風呂があるのか?」


河童ってお湯が苦手じゃなかったっけ?


「あ?河童ってお湯が苦手じゃなかったっけ?と思いませんでした?」


エスパーか、こいつ。


「いや、確かに思ったけど現にお湯は苦手じゃないのか?」


俺がそう言うと、シープは自慢げな表情だった。


「ふっふっふ。なんと私は!!」

「私は?」

「お湯を克服したのです!!」



「お前もう河童じゃないだろ!?」


何勝手に苦手克服してんの?人間さんたちの理想を返して!


「そこまで言いますか!?まあ人間さんで例えるなら嫌いな食べ物を食べられるようになる事と一緒です」

「と言うと、生まれたときはみんなお湯が苦手ってことか?」


人間に嫌いなものがまったく無いように河童も同じなのだろうか?


「基本はそうですねー。大人になるまでにはみんな克服しますが」

「へーじゃあお前もお湯に入れるのか」

「はい。じゃあお湯を用意するので先に入ってください」


数十分後、俺はお風呂の準備ができたと言うシープに礼を言い入浴した。


扉を開けると脱衣所があり、また扉がある。


その扉を開くと風呂があった。




現代ではユニットバスと呼ばれるものが。


落ち着け。こんなところで大声をだしてはいけない。そう自分に言い聞かせる。今は文明のありがたみを感じよう。


浴槽に入ると思考が落ち着く。やっぱりお風呂は気持ちいい。


それにしても河童界って電気が通ってるんじゃないのか?今まで電化製品を見たわけじゃないけど、この風呂は決定的な証拠だ。


でも、そんなことは風呂から上がってからにしよう。


今は肌から感じる温度がとても心地よい。そのせいか俺は心にも無いことを口走ってしまった。


「せっかくの異世界なんだから混浴とかしたいよな……」


その瞬間ガラッと扉の開く音がした。


「湯加減はどーですかー。岸さん」


顔を小刻みに声の方へ動かす。そこにいたのは──


生まれたままの姿をした美少女、シープだった。


透き通るような白い肌、きれいな体のラインだが微かに感じる母性。


そして、秀逸なおっぱい。言葉では言い表せられないほど美しい形だった。


大きさは……C?


「眼……福……」


幸せをこの身に感じながら、俺は気を失った。






目覚めたとき、俺はベッドの上で横たわっていた。


「あー岸さん、なんで私が入ってきたら気絶したんですか?」

「そ、そりゃお前が裸でいきなり乱入してくるからで……」

「河童界では常識ですよ、混浴は」


澄ました顔で言うシープ。


「そうなの!?」


いいなあ。羨ましい。


「はい。私、嘘は言ってません」

「と言われていきなり河童界の常識を押し付けられてもなあ……」

「それよりどうでした?あのユニットバス。高かったんですよー。もう節約して生活しなくちゃいけませんねー」


俺が尋ねるより先に本題に入ってくれたので助かる。


「そこだよ。なんでここに電気が通ってんだ?」

「火力発電があるから?」

「河童すっげえ!」


河童が発電するって……。世も末だな……。


「あれ?でも文明レベルでは多少人間界が勝っているって言っていたから、俺はてっきり電気とかないかと……」


現にこの部屋に電気はない。今は暗いのにランプが灯っているくらいだ。


「いやー河童が負けているのって実質は文化なんですよねー。ほら、何ていうんですか?声付きの動く絵画とか」

「………アニメか」

「そう!それです!いやー私も一度見たことがありますけどあれは素晴らしいですねー。感動しましたよ」

「そうか、日本の文化を気に入ってくれて何よりだ」

「それよりもう暗いですけど何か食べます?」

「いや、もう少し余韻を……じゃない。今日は相撲やったり裸見たりと何かと疲れたからもう寝るよ」

「そうですかー。じゃあ私も日課を終わらせたら寝ます」

「そうか。あ、そういえば昨日はどこで寝たんだ?」


ベッドは一つしかないぞ?


「へ!?い、いや私は毛布一枚を岸さんから借りて下で寝てましたよー?」

「え、そりゃ悪いな。今日は俺が下で寝るよ」


女の子に酷いことをしてしまったもんだ。次からは下で寝るようにしよう。


「い、いえ大丈夫です!暖かいので!」


それから、俺は必至に上で寝るように言ったのだが、シープは頑なにそれを拒否したので遂には俺の方が折れてしまった。


寝る寸前で俺は決意した。




明日こそは気絶しない、と。

稚拙な文章で申し訳ありません。やはり書き続けるしかないですね。それまでどうかお付き合い願います。

感想などを送っていただけると、とても参考になります。ぜひよろしくお願いします。

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