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河童界

「っうぅ……」


気が付くと頭がぐわんぐわんした。少し気怠さも感じる。

周りは同じ山なのにここは熱帯林のような木々がある。

どこだろかここは。


「っうぅ……」


俺のではない、別の声が聞こえた。

ほぼ隣に横たわっている人が視界に入る。


「はっ!」


急に起き上がった。そのせいで目が合う。


栗色の髪で茶褐色の瞳。綺麗な唇。かすかに朱色の頬。

美しい人だ、率直にそう思った。

その少女は俺を数秒見て言った。


「って人間さんじゃないですかー!あのあとずっと私を追いかけてたんですか?そうだとしたら残念です。よほど運がよくないと元の世界には帰られませんよ。そもそも……」

「ま、待って!」


長引く話になりそうだったからあわてて止めた。


「はい?なんです人間さん」

「こ、ここはどこでしょうか……?」

「はい?地球ですよ」

「うんうん。だよね。でも周りの景色がさっきと違うのはなんで?」

「はい?そりゃー人間界とは同じ場所でも景色が違うのは当たり前なことですよー人間さん」

「そっかあ…人間界とはやっぱり景色が違うのかぁ………って人間界?!」


なんで異世界にいるような呼び方すんの?!


「わっ。なんですか人間さん。急に大声ださないでください」

「ご、ごめん………。あ、あとなんで人間さんって呼ぶの?」

「そりゃー個人的な見解だと文明レベルは河童界に比べて、人間界のほうが多少は勝っていると思いますから少しは敬おうかと……」

「あ、本当?俺らって河童界に勝ってんの?人間界やるなあ………………って河童界?!」

「わっ。ってまたこのパターンですか!」

「え?ここって河童さんが住んでるの?」

「いるじゃないですか」

「本当?!」

「ここに」


「…………………………っふ」


「む、信じてもらってないですね。さすがに人間さんは疑い深いですね。ほらほら見てわかりませんか?」


と言い、くるくると回る。


「いや、どこからどう見てもただの高校生くらいの女の子にしか見えない」

「なら、私の片腕を引っ張ってください!」


ぐい。と引っ張る。今思ったけどコイツの腕って長いなあ一メートル、いやもっとあるんじゃないのか?


「はい、ストップです」

「?、あ、おお」

腕を放す。

「で?腕を引っ張ったけどどうかしたのか?お前痛く…………あれ?お前……腕の長さが……」

「ふふん、やっとお気づきしましたか。そうです。腕が伸びるんです。まあ正確にはもう片腕が縮むんですけど」

「わかったわかった。お前は立派な河童さんだよ」

「そうでしょう?立派な河童なんですよ」


あれ?俺は皮肉気味に言ったはずなのに。


「で、何て言ったけ?そう、河童界ってなんだ?」

「河童の住んでいる国です」

「にわかには信じがたい話だな………」

「まあ私たち河童はあまり人間と姿は変わりませんし、地球にいる気持ちで生活してください」

「それは無理な話かもしれないな。電気は?水は?衣食住は?」


さっき運がよくないと帰られないと言っていたし、心配過ぎる。


「アフターサービスは任せてください!と言っても私の家で面倒をみるだけですが」

「ああ、ありがとう。それは助かる」


とりあえず衣食住はクリアかもしれない。


「私はシープと言います。これからよろしくお願いします、人間さん」

「岸航太。これからお世話になるよ」


と言うと、シープは小指を出してきた。


「?。何それ?」

「人間界では友好の証として小指と小指を結ぶのでしょう?」


どうやらこの子は少し勘違いをしているらしい。

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