また明日
掲載日:2026/05/09
信じられなかった。
テレビから、突然、彼の名前が流れた。
画面には見知った交差点。
テロップにも、同じ名前。
音が、遠くなる。
何か言っているはずなのに、うまく入ってこない。
立っていられなくなって、床に手をついた。
気づけば、トーク画面を開いていた。
彼からの、最後のメッセージ。
『じゃあ、また明日』
画面を、下へ流していく。
『あのドラマさ、結末どうなると思う?』
『今日、最悪だったわ』
『占いとか信じるタイプ?』
どれも、どうでもいい会話ばかりだ。
それなのに。
指は、止まらない。
——一番言わなきゃいけなかったことは、どこにも残っていなかった。
そう思って、指が止まる。
ふと、一つのメッセージに目が止まった。
『今日さ、なんか言いたいことあったでしょ』
胸の奥が、強く軋む。
——気づいていたのかよ。
画面が、滲んだ。




