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何度目かの桜の春

最初は、夢だと思った。


清水寺のことは現実感がなかった。

落ちた音も、叫びも、全部が遠かった。


でも数日過ごして分かった。

この春は、前にも一度過ごしている。


同じ新歓。

同じ会話。

同じ帰り道。


深山さんだけが、何も覚えていない。



今度は守ろうと思った。


清水寺には行かなかった。

別の場所へ誘った。


春は静かに進んだ。

何も起きなかった。


大丈夫だと思った。



大雨の日だった。


帰り道、川が増水していた。

普段より水の音が大きかった。


嫌な予感がした。


深山さんは立ち止まって、川を見ていた。


「きれいですね」


前にも聞いた声だった。


次の瞬間、

足元の地面が崩れた。


手を伸ばした。

また届かなかった。



次の春もやってきた。


今度は祇園だった。


京都を離れようと思った。

最後の思い出を作ろうと思った。


夜の街。人の声。

少し酔った男が絡んできた。


深山さんが前に出た。


刃物が光った。


また間に合わなかった。



春が、また始まった。


円山公園の夜桜。

深山さんの横顔。


首元の痣が、少し広がっていた。


紅葉みたいだと思った。


春なのに。

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