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妹がいらないと言った婚約者は最高でした  作者: 朝山 みどり


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07 婚約からの結婚

アレクサンダー・ニック公爵とアーデリア・ヴェール侯爵が、案内された部屋にはニック侯爵夫妻とデステ侯爵夫妻。国王夫妻と宰相が待っていた。


挨拶しようとした二人を宰相が止めた。


「勇者様、挨拶は必要ありません」


それですぐに侍従が椅子を引いて二人は着席した。


先ずアーデリアのところに婚約解消の書類が持ってこられ、彼女は署名した。既に王子殿下、デステ侯爵、国王と宰相の署名があった。


慰謝料の金額に驚いたが黙って署名した。




それが片付けられると、つぎに婚約の書類に署名をした。



「おめでとうございます。ニック公爵、ヴェール侯爵」と宰相が言うとニック侯爵夫人が「えっ」と声を出したほかは誰も反応しなかった。



「それでは、結婚だな」の国王の声に送られてアレクサンダーとアーデリアは侍従について歩き出した。




最初の部屋に戻ると侍女二人がさっと寄ってきて、アーデリアの髪と化粧を直した。



それから、アレクのエスコートで部屋を出た。



「もう結婚だね」とアレクはアーデリアにささやいた。二人は大きな扉の前に立っている、四組の男女に合流した。


「アレク来たな」「アレク良かったな」「後で紹介しろよ」「うるさい」「ほぉうるさいだとよ」「おまえ、いつも運がいいよな」「うるさい」


「入場いたします」


先頭は車椅子の男性。車椅子は侍従が押して婚約者は彼の肩に手を置いている。次の男性の右袖はゆらゆら揺れていて、婚約者は男性の左腕に軽く手を乗せていた。


次の男性は婚約者の右の二の腕を左手で軽く掴んでいた。次の女性は婚約者の左腕にしっかりしがみついていた。


最後を歩くアーデリアは彼の左手に右手を乗せた。



五組は横に五つ並べられた机のまえに立った。車椅子の男性も侍従に助けられて立ち上がった。


アーデリアは周りを取り囲んでいる人の中に、デステ家の三人を見つけた。


『まわりにいるのは、家族だけかしら?』他の四組の勇者たちは、家族と覚しき一団と、目を合わせて、笑顔を見せている。


机の上に用意されている書類に、アーデリア・ヴェールと署名した。


書類を宰相補佐らしき人物が集め、宰相に渡した。宰相は書類を調べ、国王にうなずいた。



国王は立ち上がり


「勇者たち、結婚おめでとう」


まわりの家族が拍手を始めた。泣いている人もいる。勇者たちもお互いに背中を叩きあったり、抱き合ったりしている。アーデリアは他の奥方たちと同様に一歩下がってその様子をみた。ふと横をみるとそちらもこちらを見た。


たがいの目に涙を見た二人は、微笑みあった。






誤字、脱字を教えていただきありがとうございます。

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