表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹がいらないと言った婚約者は最高でした  作者: 朝山 みどり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/30

26 メアリー・リード 2

 園遊会には、どのみち出席するつもりだった。貴族として当然の事だ。兄と一緒に入場してなかで友達と一緒になれば良い。


 だけど、友人はすぐに、お父様と待ち合わせとか、従姉妹を見かけたからとか言うと、さっさと行ってしまう。


 ちょっと気の弱い友人を強引に捕まえて、一緒に過ごす事にした。


 会場をちょっと歩くとアレクがいたが、結婚相手がぴったりくっついている。


 その女となにか話すと二人が立ち上がった。


 するとあっという間に人が集まって、女が一人になった。


 こうなったら女になにか言ってやろうと思って、近づいた。女は一人でも楽しそうに、お皿に料理を載せてもらっている。


「ちょっと、あなた」と声をかけると、立ち止まってこちらを見て、黙っている。


「わたしはアレク様の婚約者だったのよ」と言うと、


「あら、そうでしたの」と軽く返された。


「それでは、失礼します」と軽く会釈して行こうとする彼女を、引きとめようと腕をつかんでしまった。


 その拍子にお皿が落ちてしまった。


「わたくしはこれでも侯爵ですのよ。騒ぎになる前に、どこかに行って下さいな」と女に言われて、怒りが沸いてきた。


 後から来たくせに大きな顔をして・・・・・アレクの妻はわたしだったのに・・・・・あの時、ちょっと気が動転したお父様が、ことを大きくしたから・・・・アレクももう一度、訪ねて来て誠意を尽くしてくれたら、結婚してあげたのに・・・・そんな思いが、いろんな思いがこみ上げて来て、


「なんですって!侯爵ですって・・・・嘘ついて・・・・酷いわ・・・・彼の事を知らないくせに・・・わたしは彼のご家族とも仲良しなのよ・・・」と怒鳴ったらしい。


 正直、あまり覚えていないのだ。


 それから、アレクがやって来て、あの女をかばった所。お父様がやって来て彼にくってかかった所。友人が、

「わたしは連れてこられただけ」と泣く所。あの女がその友人を慰める所。そんな光景が、頭のなかをくるくると回っていた。




 気がついたら、わたしは自分の部屋にいた。


 お部屋にやって来たお兄様が、


「どうして、あんな馬鹿なことをしたんだ。おまえは婚約解消した際に、ニック公爵の状態をぺらぺら喋って、わたしは、そっとおわびに行ったんだぞ。あちらは寛大で、なにもなかったからよかったものの、今日もなんであちらの夫人に絡んだりしたんだ。今回もあちらが問題にしないように、してくれた。


 ただ、世の中は面白いもので、おまえと結婚したいと言う申し込みが来た。まぁ相手は年寄りで、隠居してる。茶飲み友達になって欲しいそうだ。来週、顔合わせだが、もう話は決まっている。話は以上だ。今回は父上に口出しはさせないからな」


 そういうとお兄様は部屋を出て行った。



 そしてわたしは、その人と結婚した。爵位は譲ったから、元ブリード辺境伯。武門の家柄らしくお父様より年上なのに、鍛えた体の持ち主だった。


 少し怖い想像をしていたが、まともな性癖と言っていいと思う。痛い目に合う事もないし、王都の屋敷で暮らしていて、実家にいる時より自由だと言ってもいい。


 それで、お友達との付き合いも、少しずつ復活して来た。そうだ、あの園遊会の時の気の弱い友達は、ちゃっかりアレクの奥さんと仲良しになって、勇者の弟と婚約したそうだ。


 きっかけを作ったのはわたしなんだから、結婚式に呼べと言ったら、びっくりしていたが、ちゃんと招待状が届いた。式の後は、お兄さんの勇者、パーシー・レイバーグ公爵の屋敷で披露宴を兼ねたお茶会をするらしく、そちらへも招待された。



 ドレスを作って楽しみに待っていたら、また神託が降りて、アレクの顔が元に戻ったらしい。そして結婚式とかパレードとかするので、弟さんの結婚式は、延期になったと連絡が来た。


 がっかりしていたら、元辺境伯に勇者合同の園遊会の招待状が届いた。招待状のある園遊会。とても楽しみだ。


 今度こそアレクと落ち着いて話そう。前はお父様とかあちらの奥様が邪魔してゆっくり話せなかった。


 でも次は違う。アレクが遠慮しなくていいように、ゆっくりお話するんだ。


 アレクの目の色の青い装身具を揃えて、わたしはその日を待った。

誤字、脱字を教えていただきありがとうございます。

とても助かっております。


いつも読んでいただきありがとうございます!

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。

それからもう一つ、ページの下部にあります、「ポイントを入れて作者を応援しよう」より、ポイントを入れていただけると嬉しいです。


どうぞよろしくお願いいたします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
やべー女。やべースペックなのにミラクル幸運でまともで体格の良いミドルシニアの後妻におさまってお友達呼んでゆるふわ生活送れるなんて最上の結果だろうに、それも自らぶち壊しに行くんだねぇ。合掌。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ