10 結婚から始めたから アーデリア目線
わたしたちは結婚している。だが、それは置いておいて、お互いを知ることから始めた。二人共実家が嫌いで婚約を解消されたと言う共通点がある。
痛みを知るもの同士、打ちあけあえばいいとも思うが、言葉で言えない部分もあるし、誰もわかってくれないと言った思いもある。
二人の間にその二つは、どっかりと横たわっている。わたしたちはそこを避けて遠回りする道を選んだ。
そこでわたしたちはチェスを対話の手段とした。その時も落ち着いた雰囲気が気にっている客間でわたしたちは盤を真ん中にして向かい合っていた。
そこに城から使いが来た。わたしへの使いで領地の名義変更手続きが終わったから、取りにおいでっていうものだった。
「領地?」って驚いているから説明したら、ちょっと怖がっているようなのが癪にさわるが、気づかない振りで威張ってやった。
「侯爵の位を下さいませ。領地として夢村周辺を」とそのときの言葉を聞かせてやった。
「ですのでわたくしはヴェール侯爵でもありますのよ」
「それでか、なぜデステじゃないのか不思議だったけど、君は君だから余計なことは言わなかった」
「わたくし、アレクのことを貶めた行為をしてしまったわ。許して下さる」
「酷いと、うわさをされているわたしと結婚。たとえ形だけとは言え・・・・その決心をした勇気には夢村の価値はあるよ。それにね、アーデリア。わたしも夢村は好きだ。奥様がそれを持ってるなんて最高だ」
「よかったですわ。それではわたくしは支度をします。この盤面はわたくしが優勢ですわね。今回はわたくしの勝ちですわ」
「それは違うね、ここから奇跡の逆転劇が始まる所だったからね」
「ふん」と言うと
「アレク様も支度をよろしくね」と言い逃げしてやった。
着付けをしていたアナベルが部屋を出たと思ったら戻ってきて、ショールはこの色だと選びだした。装身具はいつもつけているピアスを髪飾りと同じ宝石に変えた。
部屋に迎えにきたアレク様は今日も褒めてくれた。アレク様のえりに着いたピンはわたしの髪飾りと同じ色の宝石がついていた。
護衛が馬に乗っているのを見ながら、乗馬をしてみたいと言うといい運動になるから、やってみるといいと答えが返って来た。
「また、楽しいことが見つかりそうです」と言うと仮面の下の笑顔が見えたような気がした。
誤字、脱字を教えていただきありがとうございます。
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