01 わたしと婚約者と妹
婚約者のレイモンド王子が週に一度の訪問でやってきたようだ。侍女がノックと同時にドアを開けると早口でそのことを、伝えて戻って行った。
わたしは書類を片付けると、ちょっと鏡を見て髪を撫で付けると応接室に向かった。
部屋からは妹のリリベルの笑い声が聞こえる。わたしはノックをした。反応がないのでもう一度ノックをした。
王子殿下の侍従がドアを開けた。
リリベルの侍女のマリはすました顔がくずれ、馬鹿にするようにうすく笑っていた。
「よくお出でくださいました」と挨拶をすると王子殿下は決まり悪そうな顔をしている。
マリの方を向いて
「わたくしへの知らせが遅いのはどうしてでしょう?」と言うと
「存じません、お嬢様つきの侍女の責任です」と返事があった。
「わたくしつきの侍女が誰か見当もつきませんが、マリの発言で、存在していることがわかりました。後で確認しましょう」そう言うとそのままじっと待った。
しばらく待った後
「リリベル、あなたの侍女にわたくしにお茶を出すように言っていただける?」
「あっわたくしが、ぼっとしまして、失礼しました」とマリがあわててお茶を用意した。
「お姉様、申し訳ありません、怒らないで下さい」
「アーデリア、リリベルは悪くない」とレイモンドが言うと
「レイモン、ありがとう・・・・わたし、いつもお姉様に怒られるの」
「リリベル、王子殿下を名前で呼ぶのはいけません」
「だって、レイモンが」
「アーデリア、わたしが許可したのだ。リリベルはいいのだ。堅苦しい呼び方でなく名前で呼んでも」
「かしこまりました」
レイモンドはなにか言いたそうにしたが、わたしは黙って渋いお茶を飲んだ。
「レイモン、楽しかったわ」
「また来る、リリベル」とリリベルに笑顔を向けるレイモンにわたしは黙って礼をとった。
「お姉様、レイモンってほんとうに優しいですよね。いつも花束とお菓子を持って来て下さるの」
『それはわたし当てだよね、そこまで・・・嫌われている?だけど婚約者の妹に毎回、花とお菓子を持ってくるって不敵よね。ってほんとに素敵』
「まぁ羨ましいわ、今日はなにを下さったの?」
「青い花を集めた花束とマカロンよ」
「お姉様って婚約者なのになにももらえないなんて、お気の毒」
『そのうち、婚約者もあげる事になりそうね・・・・遠慮せずに貰ってね』
そう思いながら、執務の続きをやる為にわたしは戻った。
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