「山の頂上と星の使者」第1章-第7話
若者は再び歩みを進める中で、星の使者から教えられた言葉が心に深く残っていました。
その言葉の一つ一つが、まるで大切な宝石のように輝き、彼の中でゆっくりと形を作り始めました。
ある晩、山の頂上で星の使者が現れると、若者は一つの質問をしました。
「星の使者よ、私はまだ自分の本質を完全に理解できたわけではないのです。
自分の軸を持ちたいと思っても、どうしても曖昧になってしまうことが多くて...
どうすればもっと自分を明確に理解できるでしょうか?」
使者は短く沈黙した後で、静かに答えました。
「それなら、メモを取ることが良い方法かもしれないわ。」
「メモ?」若者は不思議そうに尋ねました。
使者は頷きながら、言葉を続けました。
「そう、メモよ。
あなたの内面に浮かぶ思考や疑念、感情、そして学んだことを全て書き留めるの。
例えば、毎日の終わりにその日学んだことや気づき、感じたことを書き出してみるといいわ。
そうすると、自分の変化や成長が見えるようになり、次第に自分の本質が見えてくるの。」
若者は使者の言葉に驚きました。
メモというシンプルな行動が、どうしてこんなにも重要なのかと考えていました。
しかし、使者が言う通り、何かを言葉にして書き出すことによって、見えなかったものが明確になるということには心当たりがありました。
使者は続けました。
「メモを書くことで、あなたは自分の思考を整理し、時間の中でどれだけ成長しているのかを見ることができるの。
そして、それがあなたの軸をさらに強固にし、他者からの期待や価値観に惑わされない力を養うことになる。」
若者は深く頷きました。
「なるほど…それで、自分の思考を客観的に見ることができるのですね。」
使者は微笑みました。
「その通りよ、でもそれだけでなく、他者との対話や考え方の違いを認識することもできるわ。
自分がどのように考え、どのように他者の意見を受け止めるかが分かると、それだけで自分の本質をより強く感じられるようになる。」
その晩、若者は星の使者から聞いた言葉を胸に、さっそく自分の思考をメモに書き留めることを決意しました。
彼はその晩、自分が感じていることや思っていることを一つ一つ書き出し、それを見ながら自分の本質に向き合うことを始めました。
※解説
この物語では、自己の軸を強化するためにメモを取ることの重要性が強調されています。
メモは、若者が自分の思考や感情を整理し、自分の変化を客観的に把握する手段となります。
また、メモを取ることで自分がどのように成長し、どのように他者の影響を受け入れているのかを把握できるようになり、自己理解を深めることができるという教えが含まれています。
常に自分の思考を深め、抽象的な概念を具体的な実践に落とし込んでいく。
自己を深く理解するためにメモを取ることを推奨しているのも、実際には自分の思考や経験を外部に視覚化することで、客観的に自己を認識し、さらに深く理解できるという理論に基づいています。
若者がメモを取ることによって、自己の成長を記録し、過去の自分と現在の自分を比べることができるようになるようになります。
最初は簡単に思えるメモという行為が、最終的には自己の軸を強化し、周りの価値観に流されずに自分の道を貫くための強力な手段となることをご理解頂けると嬉しいです。