「山の頂上と星の使者」第1章-第2話
若者が星の使者の言葉を噛み締めながら、数日後に再び山の頂上へ訪れました。
彼の心には新たな視点が芽生えていましたが、
それをどう生かせばよいのかが分かりませんでした。
彼は再度、星の使者に尋ねました。
「私は少しずつ、物事を全体として見ることができるようになった気がします。でも、それがどう活かせるのか、どう進めばよいのかがまだ分からないのです。」
星の使者は静かに彼を見つめ、また星空を指さしました。「今、あなたがその疑問を抱えているのは、まさに物事の複雑性を見ているからよ。全体を見ることができても、その中でどう手をつけるべきかは、さらに深い理解が必要なの。」
若者はその言葉を理解できたようで、さらに問い続けました。
「でも、それならどうやって、その深い理解に至るのですか？」
星の使者は一度目を閉じ、深い思索の後、答えました。
「全体を見渡すことは、次に小さな部分を詳細に見ることを意味するの」
あなたが秩序を見つけたとしても、その秩序の中に隠された法則や関係性を見逃すことはできない。
全体像を把握し、次にその全体にどんな要素が組み込まれているのかを深く理解することが次のステップよ」
彼女は続けて言いました。
「例えば、音楽の演奏において、フレーズの強弱やリズムの配置に注目するのは良いが、それだけでは足りない。
あなたがそのフレーズに込める感情や時間の流れ、或いはそのフレーズが他の部分とどのように絡み合っているのか更にはそのフレーズが奏でる音楽の背後にある哲学的な意図にまで思いを馳せることが重要なの。」
若者は一瞬驚いた表情を見せました。「哲学的な意図ですか？」
星の使者は穏やかに頷きました。
「そう、哲学的な意図。音楽を奏でるという行為そのものが
あなたの内面的な理解の反映であり、存在そのものがどのように意味を持ち、どう他の存在と相互作用するかを考えることが、さらに深い理解へと繋がる。
だから、物事を理解するということは、単なる事実の認識を越えた、存在の本質に触れることなのよ。」
若者はその言葉を心の中でしっかりと受け止めました。彼は再び深い瞑想に沈み、星の使者が言うように
音楽のフレーズや生活の中のさまざまな出来事を、新たな視点で考え始めました。音楽におけるフレーズの強弱だけでなく、その背後にある感情や時間の流れを感じ取ろうとしました。
次第に、彼は次のような問いを自らに投げかけました。
「音楽のフレーズは、ただの音の並びではない。そこには感情の流れがあり、歴史があり、社会があり、そして哲学がある。それぞれの音が、ただの音ではなく、何かを語りかけているのだ。」
彼はそれに気付き、深く納得しました。
それは、まるで音楽がただの演奏にとどまらず、普遍的な真理や存在の根源を伝えようとしているかのように感じられたのです。
その後、星の使者が言った通り、彼は全体を理解した上で、その一部分に秘められた意味を理解することの重要性を感じ始めました。
そして彼はその新たな理解を、音楽や日常のさまざまな出来事に応用し、次第に物事の本質に触れる力を養っていったのです。
※解説
この続きでは、全体像を理解した後の次のステップについて語っています。
星の使者は、全体を把握するだけでなく、その中に隠された細かな法則や相互関係にまで思いを馳せることの重要性を説いています。
音楽におけるフレーズの例えを通して、物事を表面的に捉えるのではなく、その背後にある深層的な意味や哲学的な意図にまで踏み込む必要があるというメッセージが込められています。
また、若者はその過程を通じて思考の深さと広さを理解 し、ただの知識や技術の習得に留まらず、物事の本質にアクセスし、それをどのように自分の人生や芸術に生かすかを学びました。
これは、「彼女」の思考法において、単に表面的な理解にとどまらず、存在の深層に触れる力が求められていることを象徴しています。
彼女や彼女達のような存在は、常に物事の本質を探求し、それを他の分野にも応用する能力を持っており、その視点が他の人々とは一線を画すものとなるのです。
