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中学編3

 中学2年生になり、小さな奇跡が起きた。


 僕はクラス替えで2組となったのだが、なんと剛も遥香も祐佳も2組だったのだ。それだけではなく、同じサッカー部で仲の良かった、俊一や翔平なんかも一緒だった。そして他のクラスメイトもなぜかノリが良く楽しいやつらばっかり。僕らはいいが、これを見る担任は地獄だったと思う……。

 早速、始業式で盛り上がりすぎて、担任の高木先生からキレられ、ハチャメチャな中2生活がスタートした。高木先生は数学の女の先生だ。新年度早々、クラスの生徒一人一人と個人面談があった。僕は苗字が「カザミ」で出席番号が前の方なので比較的早く面談が回ってくる。


「涼真、このクラスのことお願いね」


 なぜか高木先生は僕にクラスのことをお願いしてきた。


「え? なんでオレ?(笑) 学級委員長とかに頼んでよ」

「あなたがあのグループの中で一番しっかりしてそうなのよ。成績も良いし」


 成績がいいから面倒見させようとする発言に腹が立ち、ものすごく嫌な顔をした。


「マジでめんどい。オレは好きにやる」


 この先生の最初のイメージは最悪なものになった。

 これを剛や俊一に話した。


「オレがクラスまとめろみたいなこと言われた。オレは優等生だと思われてるらしいよ」


 僕は少し冗談めかし、ニヤニヤしながらそう言った。


「いやいやないでしょ(笑)お前が一番ぶっとんでるよ」

「一番ぶっとんでるのは剛だから。オレはまともなの」

「は? 死ね」


 というような、いかにも中2といった会話をした。


 その後、2組は無法地帯になる。ただ、当時の僕らにとっては、それが最高の時間だった。僕等がしてきたことの中でも特に思い出深い事が5つある。




 1、遅刻選手権


 2組にはヤンキーはいなかったのだが問題児と言われる生徒が多くいた。僕、剛、翔平、哲、宏美、麻美、夏希。この7人が問題児認定されていた。

 その理由の一つが遅刻の多さ。毎日7人のうち必ず誰かは遅刻してくる。なんなら朝のホームルームに7人全員いないこともあるくらいだ。

 僕は基本的に朝が弱い。あと、家が遠い。そのおかげでチャリ通だったが、僕にとっては学校が遠いのは結構きつかった。ちなみに遥香の家は、道路一本挟んで向かいにある。余談だが、この道路が自転車通学を分ける道路らしく、僕はギリギリでチャリ通、遥香はギリギリでチャリ通になれなかったというわけだ。

 中2の最初は遥香が迎えに来てくれたりした。でも、徒歩の時間に合わせて迎えに来るものだから、僕の準備が間に合う訳もなく、呆れられて先に行ってしまう。

 そんなことをしているうちに、遥香は迎えに来なくなった。とにかく僕は朝起きない。サッカー部の朝練でもあれば真面目に行くのだが、うちの学校では朝練は教員がつけないため禁止されていた。

 遅れる時はだいたい一時間目の途中で教室に入る。授業を中断させて堂々と前から入るとクラスが何故か盛り上がる。7人それぞれ入ってくるときの格好に特徴があり、モノマネ大会が開かれるくらいだった。ちなみに僕は剛のモノマネが得意で、鞄を手にし、肩の後ろでカッコつけて持ちながら、だるそうに「うぃー」と言って入ってくるのを、よくいじっていた。もちろん僕もいじられた。

 それに困った高木先生が、遅刻ランキングというものを教室に張り出した。もちろん遅刻の数をちゃんと示し、遅刻を減らそうという狙いである。

 だが、こんなのは当時の僕らにとっては無駄である。逆に優勝しようと遅刻をあえて増やしていくのだ。その結果、全員遅刻回数3桁と言うハイレベルな戦いを中2終了時までしていた。




 2、授業サボり問題


 中2の時は授業をサボりまくった。いつも剛と一緒に。たまに翔平と俊一もそこに加わる。途中で学校を抜け出し、剛の家で昼寝をしてから戻ったり、美術準備室の鍵を所持しソファーでくつろいだり、マックにハンバーガーを買いに行ったり、カラオケに行ったりが定番だった。

 一度あったのが、マックでハンバーガーを買い、授業に戻った。授業は高木先生の数学で、僕はこっそり授業中にポテトを食っていた。それがばれて流石にガチギレされた。

 カラオケもいつもは男子4人だけで行っていたのだが、一度だけ女子も連れて行ったことがある。遥香、祐佳、麻美、夏希だ。麻美と夏希は遅刻常習のやんちゃな感じだ。遥香と祐佳は、進んで毎回悪いことをするタイプではないがノリが良く、別にめちゃくちゃ真面目で固いわけではない。楽しいと思えば、一緒に来るし、普通にみんな仲は良い。

 なので、この日も、たまにはいいか。というノリでみんなでカラオケに行った。まあ30人くらいのクラスで8人も一気にいなくなったわけなので、当然問題にはなるわけだが、当時はそれが当たり前だったのか、もっとひどいヤンキー達の対応で先生達も忙しかったのか、授業をサボっても親を呼ばれたりした記憶はほとんどない。この時は男子が女子を自転車の後ろに乗せてカラオケまで行った。昔は自転車二人乗りも当然のようにやっていた。僕の後ろは遥香だった。当時はキンキキッズやグレイを歌いまくっていた気がする。

 みんなで行ったカラオケは最高に楽しかった。




 3、先生締め出しイタズラ事件


 ある日、剛が授業が嫌だと言い出した。じゃあサボってどっか行こう。と言ったが、今日はそれもめんどいらしい。

 それならば先生を入ってこられないようにしようと考えた。うちの学校の教室は後ろは鍵がかかるドアで、前は鍵がない。ドアの窓は曇りガラスのため外から中は見えない。なので、後ろは単純に鍵をかけて、前のドアだけなんとか開かないようにすれば、外から侵入不可能。

 そう考えた僕等は何とか前のドアを閉める方法を考えた。俊一が、


「よく、ほうき挟んだりしない?」


 と言うので、ほうきを挟んだが、うまく長さが合わず簡単に開いてしまう。考えていたら剛が、


「これならいけるべ」


 と言いながら、給食で使う配膳代をドアの後ろに置いた。なんとこれがジャストフィットし、外からどう頑張っても開かなくなった。クラス全員に伝え、全員中に入れ準備完了。最初は、


「さすがにやばくない?」


 という声も聞こえてきたが、いざ先生が来て、一生懸命開けているシルエットを見て全員大爆笑。後ろに回り後ろも閉まっているのを必死で開けようとしているのを見てやはり大爆笑。こうなると何でもおもしろくなる。先生の、


「開けなさい!」


 という怒鳴り声も笑いに代わる。諦めて職員室に帰った後、剛が満足したのか、


「オレがやりましたって謝ってくるわ」


 と一人で職員室から先生を連れてくる。当然マジで怒られ、


「もうこのクラスでは授業しません!」


 と一週間くらいまともに授業をしてくれなかった。

 さらに、ある英語の授業中の事である。英語の担当の先生は後頭部がはげているおじさんだった。その先生は2組を毎回バカにしてきたのでクラス全員から嫌われていた。

 ある日、


「お前らはどうしようもないクラスだ。動物園の方がましだ」


 と言ってきたので、クラス全員の反感を買った。もちろん、先生がそう言う原因はこちらにあるのだが、中学生がそれを理解するのはなかなか難しい。

 女子のみんなも生理的に受け付けないタイプだったらしい。そんなんで一番キレた剛が、先生が黒板を向いた時に、小声で、


「死ね」


 と言いながら、消しゴムの欠片を先生の頭の焼け野原目掛けて投げた。うまく的に当たらず、肩くらいに当たった。小さかったからか、先生も気づかなかったのだろう。それに共感したクラス全体が、いつの間にか先生が後ろを向いた瞬間消しゴムをちぎって投げ始めた。遥香や祐佳も投げている。当然僕も投げた。

 何回か繰り返しているうちに、誰かの弾が結構な勢いで本当に的に当たった。さすがに気づき、こっちを見る先生、笑いをこらえるクラス。下に落ちている大量の消しゴムの欠片を見て気づいたのだろう。怒鳴り散らしてきた。


「誰だ! 消しゴムを投げたやつは!!」


 翔平が、


「ほぼ全員です(笑)」

「お前らいい加減にしろ!!」


 ドカン!! 教卓が吹き飛んだ。普通なら静まり返るところだが、このクラスはそうもいかない……爆笑に変わる。先生がキレて出ていく。当然のごとくしばらくまともに授業をしてもらえない。そんなことをしていた。

 誰かが、


「このまま全教科の先生怒らせたら授業しなくて済むことなくね?」


 と言い出した。なんてクラスだ。




 4、牛乳ヘディングぶちまけ騒動


 ある日の給食の時、剛が給食のおかわりに立つのが面倒だからと、配膳代の上で給食を食べ始めた。一人で黙々と食う剛。一人で鍋を抱えているので、僕はキレた。


「お前、カレー独り占めすんな! よこせ!」

「うるせぇ、お前まだあるだろ! さっさと食え!」

「じゃあ余った牛乳はオレがもらう!」


 その日はなぜだか牛乳が10パック近く余っていたので、全部配膳代から奪った。ちなみに僕は牛乳が好きだ。学生の時は1日2リットルくらい飲んでいた。200ミリリットルの牛乳を給食と共に10本飲むことなんて余裕だった。

 僕らは一応スポーツマンという自覚があり、ご飯はいっぱい食べるもの、タバコは吸わないものと考えていた。なので、2組の給食は絶対全てなくなる。

 ちなみに遥香はグレープフルーツが好きで、グレープフルーツが出るとグレープフルーツをおかわりし、さらにいらない人からかき集め、一人でずっと食べていた。

 そんなこんなで、給食のおかわりをめぐるケンカが始まった。正直いつものことすぎて誰も止めない。むしろ煽られる。とりあえず怒りのピークは収まり、さすがにおかわりもできた頃、剛が、


「涼真、牛乳を一つくれ」


 と言うから、


「一つだけだぞ」


 と言って、配膳代に向かって投げた。そしたら意外と剛速球になり、剛がサッカー選手のサガなのか、結構速くてビックリしたのか、なぜか牛乳をヘディングした。

 その瞬間、


「バシャー」


 牛乳が破裂し、剛の頭と床は牛乳まみれになった。

 さすがにやばい……そう思った僕は、


「あ……わりぃ……」


 と言ったが、聞く耳は持たれなかった。キレて僕に向かってくる剛。さすがに逃げる僕。止める祐佳。笑う男子生徒。

 剛は僕の机にあった、まだ飲み切っていない牛乳を僕に投げてきた。僕は黒板の方に逃げた。距離も遠かったので、華麗にかわす僕だったが、牛乳がぶちまけられ、被害が拡大していく。当たらないのにイラつき、さらに近づいて狙おうとする剛。このあたりから、さすがに男子も含め全員が止めに入る。こんな時に限って給食指導でいるはずの担任は席を外している。男子は全員剛のことを抑えに入っているのだが、剛は止まらない。関係のない俊一に牛乳をぶつける。スマン、俊一、牛乳という弾が尽きるまで犠牲になってくれ。ところが、遥香が余計なことを言う。


「涼真を抑えて、剛にぶつけさせた方がいいんじゃない?」

「てめえ!」


 目の色が変わる他の男子、俊一が牛乳まみれで僕を抑えに来る。他の生徒も僕の行く手を阻む。次々と抑えられ、頭を突き出される。剛がにやにやしながら近づき、僕の頭に牛乳パックを全力で投げつけてきた。しかも2パック……


「なんでお前だけ2パックぶつけるんだ!」

「利子に決まってるだろ」

「この野郎……」


 僕が怒りで震えていると、騒ぎを聞いた先生が来て、強制終了。教室は牛乳まみれ。僕も剛もおまけに俊一も、制服が牛乳臭くなる。当然掃除させられるし、最悪だった。




 5、クラス全員カンニング事件


 担任の高木先生は数学の先生である。7月の夏休みに入る前あたりに全く授業を聞かないクラスにこう言った。


「夏休み前にある次の数学のテストで全員60点以上取ったら、夏休みバーベキューパーティーをしてあげます」


 先生にとっては授業を聞かない生徒を物で釣って授業を聞かせる手段だったのだろう。それを聞いた後、授業中にどこからともなく手紙が回ってきた。


『放課後、クラス会議』


 生徒同士の団結力はかなりあったクラスなので、男子も女子も全員残った。手紙のスタートは宏美。上級生のヤンキーと付き合っているギャルだが、なぜかいいやつだ。そしてバドミントン部で真面目に活動している。顧問は高木先生だ。

 宏美曰く、絶対夏休みにバーベキューパーティーをしたいらしい。しかも高木先生のおごりで。

 だが、冷静に考えて、全員60点以上取るのは不可能だ。僕は会議が始まってすぐ言った。


「まず、剛とか翔平が60点なんて絶対無理だわ。授業聞いても不可能。3回くらい生まれ変わらないと無理」

「いやいや、本気出せばいけるから」


 翔平が言う。


「無理に決まってんだろ。コンクリートに頭打って来いよ。そうすれば一周回って良くなるぞ。これ以上悪くなることはないんだから」


 と僕が言うと、翔平は分かりやすく落ち込む。


「でも、翔平と剛だけじゃないでしょ無理なの。うちら全然真面目に数学の授業受けてないじゃん」


 誰かが言う。確かにその通りだ。


「もう真面目にやるよりカンニングしない?」


 誰かが悪魔の声を発する。


「そうしよう!」


 なぜかクラスがまとまった。

 問題はやり方だ。全員がカンニングペーパーを作るなんて無理すぎる。

 僕は一つ思いついた。


「これならいけるかも」


 僕は自分が思いついた作戦を話した。


「解答用紙が配られた後、一枚足りないって嘘をついて、プラスで一枚もらうんだよ。オレは出席番号5番で、ちょうど一番後ろの席だから足りないと言っても不自然はない。で、オレが25分で満点の答案を作るよ。それを、プラスでもらった解答用紙に書き写す。たぶん今回の試験範囲と高木のテストの傾向見ると数字を書くだけになるはずだから、すぐ書ける。で、それをバレないように前に渡すから、やばいやつはそれを見て60点以上になるようにするってのは? 前とか隣に解答用紙配るだけなら監督の先生のスキついていけるでしょ。危なくなったら誰かが消しゴム落として先生に拾わせるとかすればいい」

「それいい! あんたマジで極悪人だね」


 と宏美に言われたので、


「お前に言われたくない」


 と返した。


「でもさ、30人全員に回す時間ある? それに涼真満点取れんの?」


 と遥香が言ってきたから、


「女子はお前が満点答案作れよ。出席番号最後なんだから同じ方法で余裕だろ。あと、オレは本気でやれば絶対満点いける。遥香は? 自信ないわけ?」


 ちょっと煽ってやったら案の定乗ってきた。


「あんたができるなら私もできる!」


 宏美がまとめる。


「よし、決まり! これで行こう。怪しまれるといけないから、全員テストまでは真面目に授業受けるのよ! 心を入れ替えて実力で取ったと思わせるためにね」

「えー、マジかよ……」


 剛が言った。


 次の日から、なんだかんだみんな真面目に授業を受け始めた。僕も満点答案を作るためにその期間は遥香と勉強し、本気を出した。数学は元々得意教科ということもあり、完璧にした。

 数学の試験当日、計画通り作戦を実行した。先生の目をそらす役割もばっちりだった。そして、僕の答案はケアレスミスで98点、遥香は普通に100点取りやがった。

 その結果、全員が60点以上、クラス平均80点台という、すさまじい記録を叩き出した。

 もちろんみんな自分の実力を考慮して、わざと間違えるところは間違っている。僕と遥香が中途半端に80点くらいの答案を作ると、同じ間違いで気づかれる可能性があったので、絶対にミスれなかった。

 ただ、本気でアホな翔平だけは、僕の答案ほぼ全写しで90点越え。普段20点のやつがありえないと、周りからキレられていたが、なんとかバレずに済んだ。もしかしたら怪しまれた可能性はあるけど、無事夏休みにクラス全員のバーベキューパーティーを勝ち取ったのである。




 こんなことばっかりやっている最高? のクラスだった。中2ではクラスではバカしまくっていたが、僕のサッカーに対する意識や、遥香との関係が徐々に変化していった。




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