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めっちゃ可愛い生徒会長のファーストキスはもらいます

ただただ凛々しく綺麗な生徒会長にめっちゃ可愛いと言いたい



 黒板にカッカッとチョークを運ばせる真面目で秀才な生徒会長。


「では、今日の生徒会会議を始めます」


 生徒会長こと風祭瑠夏かざまつりるか先輩が会議を指揮し始めた。


 瑠夏先輩は学校ではとても人気がある。真面目で何事にも真摯で、しかも秀才ときたもんだ。

 そんな瑠夏先輩の周りでも、凛々しい生徒会長や綺麗な生徒会長などと言われ続けている。


 けど、俺からすれば瑠夏先輩は凛々しいとも綺麗とも思わないんだ。むしろ瑠夏先輩はめっちゃ可愛いしか思ってないのだから


「__さん?」


 何故、俺だけがめっちゃ可愛いと思う事が出来るのかと言うと、俺と瑠夏先輩は__


「雷門さん? 聞いてますか?」


 瑠夏先輩に雷門と呼ばれた俺__雷門陽太(らいもんようた)は困惑する顔を浮かべるしかなかった。


 見惚れてたせいで全く話なんて聞いてなかった。


「聞いてなかったのでしょうね。終わったら残って下さい」


「すみません」


 この一連の流れからしても可愛い要素など無いけど、それでも俺は瑠夏先輩はめっちゃ可愛いと声を大にして言いたい。



 何故、俺だけが可愛いと言えるのかと言うと

 それは俺と瑠夏先輩は恋人なのだから。





□□□





 きっかけは一目惚れだった。

俺も周りと同じように瑠夏先輩は凛々しいし綺麗と思っていて、瑠夏先輩に対して恋愛感情よりも憧れや尊敬の方が強かったのだ。

 ある日、偶然にも瑠夏先輩の可愛い姿を見て俺は一目惚れをしてしまった。





 2人きりの生徒会室。


「で、陽太くんは何か言いたい事ある?」


 瑠夏先輩は2人しかいないので普段通りの呼び名に戻っていた。


「会議の瑠夏先輩を見てたら可愛いと思ってしまい、見惚れてしまいました」


「み、見惚れたのなら仕方ないね。今回の事は不問にします」




 瑠夏先輩の可愛い所その1。

 褒められ慣れてない可愛いという言葉にちょっとでも照れてしまう事。




「はい。ありがとうございます」


「けど、私って可愛いより凛々しいとか綺麗な方だと思ったのだけど」


「いえ。絶対に凛々しいでも綺麗ではないですよ。めっちゃ可愛い一択なんです。羅列しましょうか?」


 というか、たぶん、今すぐでも数個出ますよ?


「……っ!」


 瑠夏先輩が使ってる完全特製特注の生徒会長の机から衝撃音が鳴ってきた。

 




 瑠夏先輩の可愛い点その2。

 目の前に机がある時の限定だが瑠夏先輩は焦ると机に体のどこかしらを当ててしまう事。





「瑠夏先輩? 大丈夫ですか?」


「え、えぇ…。気にしないで、あと羅列もしないで結構よ。それよりも明日のデートは大丈夫なの?」


「まだ大まかにしか決まってないから、今日詰める予定でした」


「ふふ、遅いわね。私が考えてきたから今回は私のにしなさい」


 ドヤ顔の瑠夏先輩はデートコースを考えてきたのであろう永遠と書き綴られたノートを取り出してきた。





 瑠夏先輩の可愛い点その3。

 ちょっとでも優勢になると些細な事でもドヤる事。





「まず6時起床してモーニングコールを待ちます。もちろん、陽太くんから掛けてくれるのでしょう? それから__」


……瑠夏先輩。





 瑠夏先輩の可愛い点その4。

 張り切り過ぎて俺のプライバシーを全く考慮してない事。





「__、最後に20時ちょうどに陽太くんの家にお邪魔して終わりましょう」


 俺の家にお邪魔する予定なのに、俺がサプライズされてる感になってるのは何故だろう。けど、可愛いという点を見てしまうと何も言わない方がいいのかも知れないな。うん。


「そう言えば、映画の後なんだけど近くに良いショップがあるから寄ってみません?」


「どんなショップなのかしら?」


「可愛らしい小物とぬいぐるみがいっぱいありまして」


「そ、それは行かないとダメね」


 眉と目尻が垂れ下がったトロトロ顔になる瑠夏先輩。


 そして、俺が一目惚れした瑠夏先輩と全く変わらなかった。





 瑠夏先輩の可愛い点その5。

 ファンシーな小物とかを集めるのが好き、ぬいぐるみ3体に囲まれないと寝れない事。





「でも、時間が押してその後の予定に影響が出そうだから集合を5時半にしましょう」


 トロトロ顔から一変、真面目な顔に戻って瑠夏先輩は真面目に正論のように言ってくるが。


 瑠夏先輩!! 始発が無いです!!





 瑠夏先輩の可愛い点その6。

 秀才って言われてるのに壮大なポンコツをやらかす事。





「次もデートあるんですから、予定削りましょうよ」


「そ、そうね。わかったわ。これらは次の次に行きましょう」


 さよなら……などと呟きながら動物園や遊園地や水族館が削られていった。というか、良くそんなに詰め込みましたね。


「これで結構な時間的な余裕が出来たわね。陽太くん、ありがとう」


「こちらこそ、瑠夏先輩のお陰で明日が楽しみです」


「えぇ。私も楽しみね」


 永遠と書き綴られたノートを抱きしめながら、明日の事を想像してるだろう期待の顔をしてる瑠夏先輩の事を見てしまったら……


「瑠夏先輩はやっぱりめっちゃ可愛いですよ」


「そ、それはそうとして。陽太くんの言う、私が可愛いって言うのが理解できないのよね」


「やっぱり羅列します? それとも、今引き出しましょうか?」


「ら、羅列は結構よ。恥ずかしそうだし。けど、引き出すって?」


 瑠夏先輩はめっちゃ可愛く首を傾げてくる。


 この短いやり取りの中で出た可愛い点、今の現状やどのように引き出すかを瞬時に考えた結果。

 やっぱり瑠夏先輩にもサプライズ的なのがあればという事で。


「あー、こほんこほん。……明日のデートの時にめっちゃ可愛い瑠夏先輩のファーストキスをもらいますから!」


「えっっ!?」


「それと、デート終わりに俺の家に行く予定になってますけど、両親が不在なので来たら覚悟しておいてください」


「__いっっ!!?」


 顔が赤く染まった瑠夏先輩の特注机が、今までで聞いた事のない1番の衝撃音を立てた。



 ほら、やっぱり凛々しいわけでも綺麗なわけでも無い。

 瑠夏先輩はめっちゃ可愛いのだから。

ご愛読ありがとうございました。


完全特製特注の机が欠陥品だとしても

毎回毎回ぶつけてしまうとしても

健気に使い続ける瑠夏先輩はめっちゃ可愛いのです。

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