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【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
事故物件コテージ滞在編
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第42話 職業魔法使いと崎陽軒のシウマイ弁当とアサヒスーパードライと

 本日、私達はまさかの事故物件に向かっています。何処かのマンションとかではなくとあるコテージです。正直私はそんなところに行く気はなかったんですが、ミカンちゃんとデュラさんが見つけてきた怪しいバイト。


 そこに1週間滞在して問題ない事を証明。それで5万円のお仕事らしいのよね。私は二人に触らぬ神に祟りなしという格言を説明したんだけど、


「勇者は神の一人や二人フルボッコにしてきた!」

「まぁ、亡霊がいようと勇者の精霊魔法でいちころであろうな」


 とミカンちゃんとデュラさんにはどうも地球産の恐怖は分からないみたい。デュラさんの愛読書“リング”も実はホラーじゃないものね。映画とかでは怪人ホラーになってるけど、そんなこんなで私達はその内容はあまり聞きたくない事故物件になったコテージに向かっている最中の新幹線。

 私はそんな恐怖よりも目の前にある高級なお弁当に心が奪われていたの。


「駅弁なんて、このお仕事で食事代も全部出ないと絶対買わなかったわね!」

「金糸雀殿は食いしん坊であるな! 麦酒もこんなに買い込んで」

「勇者はあの容器に恋焦がれていたと告白する!」


 それぞれ食べたいお弁当を買おうと思ったの。ミカンちゃんは駅弁といえばコレ! タコ壺みたいな入れ物に入った神戸、ひっぱりだこ飯。デュラさんは、江ノ島の名物・鯵の押し寿司。

私? 私はアレよ! 横浜。崎陽軒のシウマイ弁当。これほど駅弁と呼べる駅弁はないわ!

 私がそれを熱く語ると、二人は、


「かなりあがそこまで言うなら勇者もそれを食べる」

「うむ、他は楽しみにとっておいても良いであるな! 我も金糸雀殿と同じ物を食べよう」


 そして用意したお酒は、アサヒスーパードライ。そして念のためのワンカップ大関。


「かなりあ、たーべーたーい!」

「ミカンちゃん、出発してからね」

 

 私達は三人だけど、デュラさんは首だけなので必然的に一席余る。よく考えたらやばくない? と思った私だったけど、私達と同じ席にやってきた人物。


「ほぉ、魔法使いであるな。それも剛の者であるな?」

「……魔物? それに同じ魔法使い?」

「勇者は魔法使いではなく勇者である! えっへん!」

「ええっと、色々あって居候中の勇者のミカンちゃんとデュラハンのデュラさんと事故物件に向かっている普通の一般人、犬神金糸雀です」


 と自己紹介すると、これから同席する青年は頭を下げて自己紹介をしてくれた。


「自分は、正月に実家に帰っていた。林茅はやしかや、ここだけの話。異世界で職業魔法使いをしている。一応得意な物は空戦で、一等空尉だ」

「凄いエリート! 勇者は驚きを隠せない!」

「おぉ! 人間で空戦ができる魔法使いの脅威は魔王軍でも聞き及んでいるぞ!」


 へぇー、へぇー。全然話が見えてこないけど、異世界って普通にいけるの? 

 というか新幹線で異世界とかいけたかなー……異世界でもお正月とかは家に帰れるのねぇ。世界って狭いわね。私達のお弁当とお酒を見て、林さんは……


「気が合うな。俺も崎陽軒のシウマイ弁当。酒はアサヒ、スーパーどらぁあい!」


 と一時期のCMの真似をする林さん。という事でみんなでプルトップを開けて


「「「「乾杯!」」」」


 久々にスーパードライ飲んだわね。パンチが足りないから普段飲みではあまり選択肢にはいらないんだけど、旅行のお酒といえばビールならスーパードライよね。


「くぅぅううう! これの為に生きてる!」


 と林さんはスーパードライ党みたいね。ミカンちゃんも「うきゅうぅう! うまー!」と、デュラさんは「キレがあってあっさりした麦酒であるなぁ!」


 このスーパードライと崎陽軒のシウマイ弁当との相性は兄貴曰く、最強との事。

 どれどれ、お弁当開封の儀! 

 小さい俵おにぎりが8個。メインのシウマイは五個。鶏のからあげ、紅蒲鉾、鮪の照り焼、筍煮、玉子焼き、切り昆布、千切り生姜、アンズ。

 ははーん、これは確かに俵おにぎり8個だけじゃおかずが余るわね。そこにスーパードライを足して完成するのね。


「いただきまーす!」


 まずはご飯とシウマイを、


「ウマーウマー! 冷たいのにウマー、おべんとー勇者超すき!」

「勇者ちゃん、それだよねー! 異世界って冷たくても美味しいお弁当ないんだよ。これは結構死活問題だなぁ」


 なんか異世界あるあるが展開されているけど、無視無視。デュラさんはシウマイをおつまみにビールを楽しんでるわね。ご飯は主食という考え方。酒飲みと異世界の人には通用しないのよね。かくいう私も鮪の照り焼きを少し崩して俵オニギリ二つと混ぜご飯に、タケノコ煮を少し別の俵オニギリ二個と混ぜて混ぜご飯その2。ビールのお供に駅弁、それとも駅弁のお供にビールなのかしら……


「うむ、このアサヒスーパードライなる麦酒。最初は口当たりが軽すぎて少し物足りぬ気がしたが、味付けの濃いこの弁当にフルマッチしていると言って過言ではないな」


 当然私達は1缶目が瞬殺でなくなるので2本目をプシュ。そんな様子に林さんは目を丸くする。私達はあまり気にした事はなかったんだけど、少し飲み方がヤバいみたい。


「三人とも結構ハイペースで飲むね? まだ俺なんて半分以上残ってるよ」


 そう言って振ってみせた林さん、多分お弁当をあの1本で食べるつもりなんでしょうね。それって、足りなくない? 


「くぅ! おいしかったのー! おかわり!」


 そう、ミカンちゃんに至ってはまさかの2個目の崎陽軒のシウマイ弁当をスタンバイしてるし、私もお弁当をゆっくり食べ終えた後は崎陽軒のシウマイだけ買ってるから人の事は言えないけど……


「かなりあ、麦酒おきゃわり!」

「はいはい、どうぞ」


 ロング缶を12本。2パック買ってるけど、多分もたないわね。


「金糸雀殿、我にも」

「はーい! 私も空んなった」


 食事開始から十数分で1パックがなくなったのを見て林さんは食べる手が止まる。そんな林さんにミカンちゃんは、


「口に合わないの?」

「いや、いい飲みっぷりと喰いっぷりだなーって。俺の仲間にも食いしん坊は結構いるけど、この飲み方は……きてるな」

「ハヤシも呑むといい! はい」

「ははっ、こりゃどうも。ヤレヤレ。向こうにつくころには二日酔いかな」


 そう言ってミカンちゃんと乾杯。私もデュラさんもお弁当を食べ終わりシウマイだけ別で買っていた物を開けながら、さらにビールはすすむのよね。


「からしが、鼻につーんと、あぁビールで流そ!」


 笑いも生まれながら私達は2パックのスーパードライを消費しおわり、念のために用意していたワンカップ大関を開けた。ビールもいいけど、ワンカップも崎陽軒のシウマイに不思議とマッチするのよね。林さんはもう船をこいでいて、満腹になったミカンちゃんはスピースピーと寝息を立ててる。


「まだ先は長いのであろう? 丁度酒もつまみもなくなったところである。我は睡眠を本来必要とせぬが酒を飲んだ後の惰眠は応えられぬ。金糸雀殿も少し休むといい」


 そうね。お酒飲んでいるのと、お腹一杯で眠く、あぁ絶対太ってるからどこかでダイエットしなきゃなぁ。とか思っているといつのまにやら私は夢の世界に飛び立って行った。


 私達が終点である目的地につく頃には林さんの姿はもうなくて、途中で下車したのか、どうやって異世界に戻って行ったのかは私達の誰もみていないから知らないのよね。

 さぁ、私達は曰く付きのコテージに……


「と、その前に近くのスーパーで買いだし行ってからにしましょう! 今日は……お金持ちしかできない自宅BBQを、決行します!」

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