第367話 39万PV感謝特別編 魔王様と持ち寄りクリスマス
※冒険者ギルド酒場が去年に閉店しまったみたいですね。今までありがとうございました。今回紹介しようと思って予約しようとして知りました。
こんばんは、天童ひなです。本日はクリスマスパーティーを魔王様達と行う予定です。日本人は私だけで、異世界人比率75%です。と言ってもダークエルフさんとサリエラさんと魔王様のいつものメンツなのでそうなりますよね。魔王様は時々モデルの仕事をして、日本で知り合った友人達と遊び、特に用がなければ留守番しててれます。ダークエルフさんは賃貸を見つけ、居酒屋のバイトで生活をしていて、サリエラさんは魔王様からの仕送りで生活してます。そんな今年もあと少しで終わるわけで、本日は私の家でクリスマス会です。各自食べ物を持ち寄って行います。
なんだか学生時代のパーティーみたいですね。
「金糸雀さん、今年も一年間おせわになりました」
「えー、ひなさん。私もお世話になりました〜! 来年もよろしくお願いします」
そう言って同僚バイトの金糸雀さんから居候の人が作ったという梅干しをいただいたのでので今度何かお返ししないといけませんね。
とにもかくにもガールズバーのクリスマス営業は大変でした。クリスマスのミニスカサンタコスで接客をするわけですが、店長よりケーキをホールでお土産にもらえるのが救いですね。
「ケーキ以外にも何か買っていきましょうか……チキンは被りそうなので……ここは餃子ですね!」
ここはもちろん、東京テイクアウト餃子といえば、“おけ似“ですね! 餃子は三人前✖️人数分がマストです! 私は十二人前を注文し、それを購入すると家に帰ります。
「ただいま戻りましたー!」
「うむ、戻ってきたな! クハハハハハハ! パーティー準備である!」
「魔王様も……おや、ケーキですか! そしてご馳走は、タラモサラダ! いいですね!」
「クーハッハッハ! サラダに餃子! ビールとシャンパンに合いそうであるな!」
現在、ケーキが二つ、そして餃子にタラモサラダ。この感じはもしかすると……
「おーい! クソまおー、ひな! きたぞー!」
「いらっしゃい! サリエラさん」
「言われた物だが? これでいいのか?」
サリエラさんが持ってきた物、ブッシュドノエル。ケーキですね! そして……なんという事でしょう。カツオをですね。火で炙って作る、カツオのタタキを買ってきてくれたみたいです。
「ケーキとケーキとケーキが被ったであるな! クハハハハ!」
「死ね魔王! ケーキはいくらあってもいいだろう!」
サリエラさんも魔王様もケーキ大好きですもんね。ケーキが三つは相当重そうですが、二度ある事が三度あれば、四度くらいあるものですよね。
「ただいま! ただいま来ましたよ! 魔王さまぁ!」
さぁ、四人目のダークエルフさんが来ましたが、まず取りだしたものは!
「これはシュトレーンなる、ケーキらしいです! 魔王様ぁ!」
クリスマスまで少しずつ食べるケーキですねぇ。確定で四個目のケーキがやって来ましたね。とんでもない事です。かつてケーキが二つあったクリスマスパーティーはありましたが、四つは大分気合が入ってますね。しかも参加人数四人です。計算上一人一個ホール一個分相当のケーキがあります。
「ケーキ以外は? おぉ……なるほどなるほど、ジャンバラヤですかぁ。とても美味しいですからね」
お米という主食も手に入りました。ジャンバラヤに餃子にカツオのたたきとタラモサラダ。全員ケーキを買ってきて、
「誰もチキンを買っていませんね。これは……事件ですね」
私はビール人数分用意すると、悲しい顔をしている魔王様とサリエラさんとダークエルさん。
「ま、魔王様、私の至らぬばかりに! チキンが、チキンがありません! すぐにケンタッキーへ!」
「良い、ダークエルフよ。余にも驕りがあった事、認めざるえない。ケーキは被っててもよし、が……チキンはやばかろうとな! クハハハハ! まさか、ケーキとケーキとケーキとケーキが被るとはな」
ご馳走としては申し分ないですが、チキンがないだけでなぜクリスマス感がなくなるのでしょう。スマホでケンタッキーを……ダメですね。現在予約を締め切ってます。ダメですね。このままではチキンなしのクリスマスパーティー。これはかなり寂しいです。
ピンポン! ピンポン! ピンポン!
インターフォンがめちゃくちゃ鳴らされます。カメラを確認すると……うわぁ、ニケさんだ。しかもクリスマスパーティーに滅茶苦茶参加する気満々の格好でやってきてます。
「ニケであるな。ひなよ。入れてやるよい」
「あ、はい」
ニケさんややこしいんですよねぇ。と私が嫌々ニケさんを部屋に招いて入ってきた彼女が手に持っている物を見て驚きました。
「「「「!!!!!」」」」
「ひなちゃん! 魔王。ダークエルフに、死天使。メリクリですよ!」
ニケさんは四角い箱をポンと置いて中を開けました。何故か一六タルトをお持ちです。ケーキ代わりでしょうか? これでケーキが五個。それよりも彼女が持っている物、白いバケツ。
「まさか、ニケよ。貴様それは」
「これですかぁ? クリパのハシゴをする事を金糸雀ちゃんにお話ししたら、これを持っていきなさいと言われました! ケンタッキーですね」
チキンを女神を自称するサンタ衣装のニケさんが持ってきてくれました!
「くーはっはっはー! さすがは余の盟友ニケである! かゆい所に手が届くとはこの事だ!」
「さすがはニケ様です!」
「女神の分際で……チキンを……ありがとうを言っておきますわ」
異世界の人たちも歓喜ですね。そして私も、ニケさんにビールをお渡して、
「じゃあ乾杯しましょう。メリークリスマス!」
「クハハハハ! メリクリ!」
「メリクリ! 魔王死ね!」
「メリークリスマス! 魔王様」
「メリークリスマス! みなさん乾杯」
さぁ、始まりました。まずは餃子から、ビールと餃子の組み合わせはおそらくあと数百年は揺るぎないでしょう。
「うまい! ぎょうざぁーと麦酒はたまらぬであるな! クハハハハ!」
ダークエルフさんは大好きなお刺身、カツオのタタキを。パクリ、そしてビール。目をつぶって楽しんでいますね。次はタラモサラダで箸休めです。
「あっ、このサラダ美味しいです! 誰ですか! これを持ってきたのわぁー!」
キレ気味に喜んでお酒を飲まれているニケさん。これがなければ綺麗な人なんですけどねぇ。
そして私たちは1本目のビールを終えるときに、ジャンバラヤで一旦シメです。2本目のビールを用意すると共に、メインディッシュ。
「チキン、いただきましょう」
各々好きな部位が違います。魔王様はサイ(腰)、私はリブ(あばら)、サリエラさんはウィング(手羽)、ダークエルフさんはドラム(脚)、ニケさんはキール(胸)綺麗に別れたのでビールを片手にバリ、むしゃ! むぐむぐと私たちはチキンに齧り付きます。この様子を突然ニケさんが、
「クリスマスにケンタッキーのチキンを食べる様子は、何か暗黒の儀式めいてますね!」
確かに、世界的に見ると奇行にも近い日本のクリスマス風景ですが、最近日本のアニメやドラマでこのクリスマス仕様が世界でも流行ってきてるんですよね。
フライドチキンとビールの組み合わせもまた侮れません。
そしてメインディシュを終えたら、次に待つのはデザートです。
「これは、荘厳であるな!」
「魔王様、お美ししゅうございますね!」
「おいしそー! 魔王しね!」
「ケーキがたくさん! 買いすぎです!」
「確かに、ケーキバイキングですね。では、シャンパンでいただきましょう」
このシャンパンはお店のお客さんが私にプレゼントでくれた物です。五人で飲んでも一人二杯分くらいはありますから、ケーキの甘みをリセットする役割で楽しみたいと思います。
「ひなぢゃん! おいじいぃ!」
「あはは、ニケさん、たくさんあるので遠慮せずに食べてくださいね」
「美味しい、美味しい! ケーキがこんなにたくさん!」
ダークエルフさんも普段カロリー足りてなさそうなので、ここで栄養補給をしてもらえて何よりです。サリエラさんは全部のケーキを少しずつ取って食べるスタイルですね。
魔王様はそんなみんなをニコニコしながら見つめてシャンパンを飲んでいます。
「今年のクリスマスも大成功であるな! クーハッハッハー!」
プレゼント交換で私に何故か、ポケトークを渡してくれた魔王様。私の英語は完璧な発音の筈ですが……何故でしょう。これだけが今年一番の謎ですね。




