表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
JC金糸雀さん編と居候の(勇者、デュラハン)と異世界JK留学と
319/367

第319話 怪人赤マントとツナマヨおにぎりとガチゼロ 試作二号機と

「飛鳥ぁー! 頑張りれりぃ!」

「飛鳥殿ぉ! 頑張るであるぞー!」

 

 今日は小学校の運動会にやって来ているわ。碧狼ちゃんがいるのはまだしも……孔雀ちゃんもいる。飛鳥ちゃんの応援だから、海外にいるお母さんの代わりに近隣の犬神家大集合だけど。

 

「三番さん、お待たせしました。モクテル(ノンアルカクテル)モンキーミックスです」


 碧狼ちゃんはそもそも高級ホテルで働くバーテンダー。女の子なのでバーメイドなわけだけど、隣に座っていた奥様にノンアルカクテルを振るまった事で有志の運動会バーが開催されちゃったわね。

 

「金糸雀、あんな可愛い子連れ込んでお前、そっちの趣味あんの? お?」

 

 そして2歳年上の孔雀ちゃんからは滅茶苦茶煽られるわ。

 私、孔雀ちゃん苦手なのよね。ミカンちゃんとデュラさんしか飛鳥ちゃんの応援してないから。

 

「飛鳥ちゃん、がんばえー!」

 

 と私も応援。

 

「大丈夫です。烏子の子供は私が女神の力を使って絶対に勝たせて見せましょう!」

 

 どうして来ちゃったのかしら? ニケ様……それに、

 

「金糸雀の従姉妹の幼女という事は私からすれば妹みたいなものだな」

 

 耳長のセラさんまで連れて来ちゃったわ。当然というべきか、小学校にお酒を私たちは持って来ていないの。

 結果、こうなるわよね。

 

「金糸雀ちゃん、お酒は?」

「かなりあーさけー!」

「ないですよ。常識がない人達って知ってますけど、児童の運動会ですからね」

 

 死んだような顔をしている二人に本日の主役。飛鳥ちゃんがリレーで一番をとって私たちに手を振る姿。

 

「うおー! うおー! 勝ったー! すげー!」

「うむ! 童達が競い合う姿は中々どうして感動的であるな!」

 

 こういう姿を見て二人も少しは反省してくださいよ。本当にただでさえ犬神家とミカンちゃんの顔面偏差値で目立つのに、二人までやってくると何かの撮影? みたいになっちゃうじゃない。

 

「お弁当の時間です! 午後の競技は……」

 

 えっ? てっきり、私達は飛鳥ちゃんとお弁当を食べるものだと思っていたんだけど、どうやら家族が来ていない児童もいるからってクラスで今は食べるのね……ちょっと残念ね。

 

「あの、二時間後に運動会続きなんで近くの私の家でお弁当食べませんか? 色々デュラさんと作ったんですよ」

「うむ! 金糸雀殿のご親類の方もどうであるか?」

「首だけ騎士とか、何と住んでんの金糸雀、チョーうけ」

「大人は大人で、ランチタイムを楽しむとするか」

 

 デュラさんを紹介しても全然引かない私の親戚、ほんと楽でいいわね。という事で小学校へは歩いて5分の私のマンションへ。


「勇者、ガチゼロのみたい!」

 

 またぁ? うーん、あれは美味しくはないのよね。それに今回はバーテンダーの碧狼ちゃんもいるのにそんなお酒絶対飲まないでしょ。

 

「勇者くん、ガチゼロとは?」

「あれじゃね? アニメでやってるVtubeの」

「それなりぃ! 孔雀は話が分かれりぃ」

「でしょー? で? それレシピは?」

 

 私が前回作ったホワイトリカーでのお酒レシピを開示すると、碧狼ちゃんと孔雀ちゃんが私をじと目で見てくるわ。

 えっ? 何?

 

「安直だな」

「いやー、不味く作ろうとしているその性根がないね。ストゼロだって美味しく作った結果初期は不味いお酒だったわけじゃん?」

 

 そう言って二人はスーパーに入ると適当に買い物を済ませて戻って来たんだけど。ガチゼロを作る為のお酒ね。

 私の部屋に戻ると、私はお弁当箱を開けるわ。そこには唐揚げ、卵焼き、タコさんウィンナーに。

 ツナマヨおにぎり。下には保冷剤つきよ。

 

「メインはツナマヨであとのおかずは適当につついてください。

 

 ガチャリ。

 

 このタイミングでどなたかしら? なんと、セラさんとニケ様に挟まれてマントと仮面の人が入って来たんだけど。

 

「あらあら? 闇の住人が何用ですか? 消し去れたいのですか?」

「赤いマントがいい? 青いマントがいい?」

「何を言っているんだ貴様! まさか、金糸雀の命を狙っているのか? これはまずい!」

 

 私の部屋に入る為に来訪者を使ったのね。本当にしょーもない人達ね。そんな困っているマントの人に、

 

「こんにちは、私はこの家の家主の犬神金糸雀です。お名前は?」

「赤いマントが好き? 青いマントが好き?」

「いえ、マントとかしないので。お名前は?」

 

 そんなやりとりの最中にミカンちゃんが都市伝説百科なるクソみたいな本を取り出して。

 

「怪人赤マントなりぃ! うおー! うおー! スッゲー! 本物なりにけり?」

「赤いマントが好き? 青いマントが好き?」

「勇者シルクのマントが良き!」

 

 私達のそんなやりとりをしながら赤マントさんをリビングに、ツナマヨおにぎりを渡すと「赤いマントが好き? 青いマントが好き?」と聞いてくるので、

 

「お酒まだですかー?」

 

 と私が聞いてみると、碧狼ちゃんと、孔雀ちゃんがそれぞれグラスに入ったお酒を持って来てくれたわ。

 

「ミカンくんが所望したガチゼロはこちらかな? エナジードリンクゾーンで割ってみたよ」

 

 レシピは鏡月焼酎に生のレモン搾り。炭酸水とエナジードリンクをハーフで割ってある。やばそうなお酒。

 

「はいはーい! 私が作ったのはガブガブくんにCCレモンのゼロをトゥワイスアップで割ったお酒だよん」

 

 二人はおそらく美味しいだろうというギリギリのレシピで攻めてきたわ。いや、というか存在しないお酒だから! それってただの十度あるストロング系サワーを自作しただけじゃない!

 

「じゃあ好きな方を持って乾杯しようじゃないか!」

 

 乾杯ー! と私たちは再び、ガチゼロをキメる。

 

「あっ、うま……ん? んんっ?」

 

 バーテンダーである碧狼ちゃんの作ったガチゼロはエナジードリンクで割ってあるのでレモンフレーバーと相乗して一瞬美味しいかなと思ったけどケミカルで、最後に鏡月のプーンとしたあのアルコール臭が口に残る。いや、いいんだけど、宝焼酎ハイボールみたいな感じだけど。

 

「うみゃああああああああ! これ、再現度高し!」

「おぉ、これはジャンクであるな」


 本日は犬神家の二人がいるわけで、

 

「金糸雀ちゃん! お酒お代わり!」

「どうぞ、ニケさん」

「ありがとう! 碧狼ぢゃん!」

 

 とか、

 

「私はそれはそれは徳の高いエルフなんだ」

「へぇ、そうなんですねー! 耳ながさん、グラス空いてますよー! どうぞー!」

 

 キャバ嬢モードの孔雀ちゃんとか……

 

「すげー! クソ女神とクソエルフを封舌してり」

「うむ。凄まじいもの達であるな。伝説級冒険者と同じプレッシャーを感じるであるぞ」

 

 だなんて言っているけど、パクパクとツナマヨおにぎりを食べてくれている赤マントさんに、

 

「お酒どうぞ!」

「赤いマントと、青いマント」

「こっちが孔雀ちゃんのガチゼロです! はい、乾杯!」

 

 孔雀ちゃんのは……あーー、なるほどねー! CCレモンで美味しいかなと思ったけどやっぱりゼロカロリーだからその違和感とガブガブくんというお酒の持つ独特の味わいが主張してくるわ。

 

「こっちが、碧狼ちゃんのです! 意外とツナマヨおにぎりに合いますね! どっちもジャンクだからですかね?」

「赤いマントがいい? 青い」

「碧狼ちゃんのお代わりですか? オッケーでーす!」

 

 案外赤マントさん飲むじゃない! 私がテンション上がって飲ませ続けていると、

 

「お代わりですか?」

「赤……あああぁああ! ああああああああ!」

 

 えっ? 私の作ったツナマヨおにぎりを食べて、赤マントさんが目の前から蒸発しちゃったわ。

 

「かなりあが怪人赤マント、潰したぁ」

「はぁ? 勝手に消えちゃったんじゃない! 飲ませすぎてないわよ! 4杯よ! たった4杯しか飲んでないのに」

 

 ここで引かれるやつじゃんとか思ったら、碧狼ちゃんがニケ様を寝室に、孔雀ちゃんが、セラさんを酔い潰して。

 

「こんなお酒の4杯や5杯程度で潰れるなら怪人名乗るのに恥ずかしいな。さぁ、我々は飛鳥の応援だ! 終わったらまた飲み直そうか?」

「えっ、勇者この人達、ちょっと引くかもー」

「うむ……金糸雀殿はやはり常人であるな」

 

 なんか相対的に私の評価が上がったけど、なんか納得いかないわね。午後から父兄参加リレーで若干酒臭くない? みたいな空気になったのは、大人として反省すべき点ね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ