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【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
JC金糸雀さん編と居候の(勇者、デュラハン)と異世界JK留学と
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第270話 似て非ざる勝利の女神とゴルゴンゾーラ・ドルチェとヴィラ グラッキオ ビアンコ テッレ シチリアーネ IGTと

「アトリちゃんとリンゴと入れ替わったという事か? とりあえず何か飲みながら解決策を考えようじゃないか!」

 

 ニケ様と違ってややぶっきらぼうな喋り方のヴィクトリーアさん。美人なのに私が全然、テンション上がらないのは全集中で警戒しているからなのよね。ヴィクトリーアさんはやたら凹みやすい面倒臭い彼女みたいな感じだし。

 

「そうですね。とりあえず私の部屋とお酒の種別も同じっぽいですし、ハイボールでも作りましょうか?」

「ナイスかなりあー! 勇者しゅわしゅわー!」

 

 アーリタイムズのゴールドをヒョイと取った私に対して、ヴィクトリーアさんは首を捻ると不思議そうな顔を見せる。

 

「アトリちゃんは基本ワイン党だが、金糸雀ちゃんはウィスキー派なんだな」

 

 こっちの私、というかアトリさんはワインがメインなのね。なんか兄貴みたいね。まぁ、私もそろそろワインの勉強を本格的にしたいなと思ってるんだけど、ブドウの種類多すぎて後手後手に回ってるのよね。

 

「郷に入れば郷に従えね。じゃあ、ワインでも飲みながら考えましょうか、ワインの蓄えも殆ど同じね。でも普段飲みのペットボトルウィスキーの代わりに、プチプラワインとハウスワインのストックが結構あるわね。じゃあ、冷やしてるプチプラワインの白を頂きますね。アトリさん」

 

 きゅぽっと私の部屋には本来ない、安いワイン専用のワインセラーから一本のワインを持ってくる。

 

「ヴィラグラッキオ・ビアンコ・テッレ・シチリアーノ・IGT、イタリアのワインみたいね。イタリアって、二大産地だけど、これまたワイン用ブドウの種類多すぎてあんまり私は買わないのよね。こっちのアトリさんはこういうの好きなのかしら?」

 

 冷蔵庫を開けるとブルーチーズがあったので、これでいいか、赤ワインとか飲む時によく食べるけど、この辛口の白でも合うでしょ。

 

「おつまみは|ゴルゴンゾーラ・ドルチェ《ブルーチーズ》ね」

 

 一口大に切り分けて、お皿に盛ると、いつものリビングに、ワイングラスもいつものがあるのでそれを三脚。

 

「ワインとチーズとか、実家の飯みてー! 勇者、もっとジャンクなの食いたいかもー」

 

 ふふん、そう言うと思ったから、ガーリックチップスを砕いてブルーチーズにまぶすとその上からハチミツをとろりとかけて出来上がり。

 

「こんなところね。じゃあ、元の世界線に帰る為の会議に乾杯!」

「乾杯なり!」

「ふむ、乾杯だ! まぁ、私がついている。君たちには勝利の二文字しかない事を約束しよう」


 私知ってるのよね。勝利の女神の約束、大体当たらない事。

 

 グラスの膨らんだところより下に注いだワインの香りを嗅ぐ、そしてゆっくりと口に運んでみる。程よい酸味、甘さは少なく辛いわね。激安のプチプラワインとしては上出来ね。こっちの世界の私、アトリさん、やるわね。

 

「んみゃい! 勇者、ハチミツがけチーズ好きー!」

 

 と言ってワインのお供をパクりと食べてうきゃあああと声をあげるミカンちゃん。そんな光景に対してヴィクトリーアさんは。

 

「金糸雀ちゃんは蘊蓄をあんまり語らないのだな? アトリちゃんなら聞いてもいないのにワインの産地とか飲んだ時の感想とか伝えてくるんだがな」

 

 へぇ、相当なワイン通なのね。こんなプチプラワインでもそんな発言するのかしら? ワインを回しながらヴィクトリーアさんはワインをすっと飲み干すと、「お代わり」と言ってワインを私に向けるので、私はワイン注いであげる。

 

「どうやって元の世界線に戻ればいいと思いますか?」

 

 私の質問に対してヴィクトリーアさんは、ふむと頷くと。

 

「怪獣王ゴジラというフェンリルすら凌駕する不死身の化け物を知っているだろうか?」

 

 とか私の話を素で無視して語り始めたわ。かつて日本で映画として人気を博したゴジラシリーズもついには人気が低迷し、終局に向かったけど、アメリカでゴジラ映画は大ヒットしたのよね。でもそんな話は聞いてないわ。

 

「だが、私は思うのだよ。ゴジラは、今までビオランテ、スペースゴジラやデストロイヤ、カイザーギドラなどの強敵を前にして来たのに、アメリカに渡ったらゴリラしかいない。どういう事なんだ? ゴリラだぞ?」

 

 昭和にも一度、キングコングとゴジラ戦ってるのよね。

 でも多分、新しい映画の方ね? 一つ分かった事として別世界線の映画の上映も同じと、そしてヴィクトリーアさんは一見素面に見えるウザ絡み系ね。これ系厄介なのよね。ミカンちゃんはワインを炭酸水で割って飲んで我関せず。

 相変わらずずるいわ。

 

「ぷひゃああああ! これなり! チーズもうまし!」

 

 もむもむとチーズを食べては目を輝かせているミカンちゃん。それにヴィクトリーアさんは、

 

「聞いているのか? 別世界の勇者よ! 私は昨今黒執事というアニメを見てハマった為に、実写の映画がある事を見つけてな!」

「えぇ、勇者。二期アニメは黒歴史だと思ってり、今やってる寄宿学校編はありっ!」

 

 二人ともやめなさい! 二期も実写もあれは別物として楽しむものなのよ。

 私が高校時代に少し流行った黒執事まだやってたのね。

 

「女優の声がアニメによく似ていてな! 驚いた」

 

 ヴィクトリーアさん、映画好きなのはよく分かったけど、ミカンちゃんが段々ストレス溜めてるわね。私もワインをクイッと飲み干すと、空になっているヴィクトリーアさんのグラスにワインを注ぐ。

 

「まぁ、飲んでください」

「あぁ! そうやって私を邪険にしようとしているな!」

 

 くっそ、ニケ様なら酒飲ませておけばいいんだけど、ヴィクトリーアさんいちいち細かいなぁ。迷惑クレーマーみたいね。ブルーチーズのガーリックチップスとハチミツがけのお皿をヴィクトリーアさんに向けて、

 

「まぁまぁ、とりあえずこれを食べてみてくださいよ」

「ほらそうやって! ん? おいちぃ」

 

 もっちゃもっちゃとチーズに舌鼓を打ってるわ。ミカンちゃんが心底嫌そうな顔をヴィクトリーアさんに向けてる。ミカンちゃんめちゃくちゃ顔に出るタイプよね。とりあえず、別の世界線の勝利の女神もたいして役に立たない事だけは分かったわ。とりあえず、それしか収穫はないけど、せっかくの白ワインが勿体無いしゆっくりと楽しむ事にしよ。ワインの事は私の親戚のソムリエに少し教わったんだけど、イタリアやフランス、ドイツなどのヨーロッパのワインを旧世界ワインって言うのよね。日本を含めてアメリカやチリは新世界ワイン。

 旧世界ワインはラベルにあるワインの名前が大体物語ってたりするとか言ってたわね。

 

“ヴィラ グラッキオ ビアンコ テッレ シチリアーネ IGT“

 

 今飲んでるこのプチプラワインだと、ヴィラ グラッキオはブドウの品種、ビアンコは白、テッレは土壌、シチリアーネはシチリア州、IGTは地酒 

 ※今はIGPに変わっているとか?

 

 要するに、シチリア州の土壌で育てた白ブドウを使った地酒って事ね。ちなみにIGTはイタリアワインの中では3段階で2番目のランクね。凄い辛口、酸っぱさすら感じる酸味。1000円しないワインだけに余韻はあんまりないけど、これ普通に美味しいわね。いい意味でジュース感がないのは凄いわ。時折ハチミツをかけたブルーチーズをつつきながら一杯を楽しむのも一興ね。

 

「金糸雀ちゃん、分かってしまった」

「ヴィクトリーアさん、何がですか?」

「アトリちゃんのいない世界、いらないわ、寂しくて死ぬ」

「うん、何も分かってないですね。お代わり注ぎますね」

 

 お酒の弱さはニケ様と同じくらい、トラブルを起こすレベルで言うと今の所ニケ様の悪行しか見てないのでわからないけど、とにかくヴィクトリーアさんは構ってちゃんみたいね。

 

「金糸雀、このクソ女神、追い出した方がいいかもー」

「追い出しても入ってくるわよ。この手の神様って取り憑いた相手に依存するんだから、私も慣れっこよ」


 私がなみなみと注いだ白ワインを御神酒でも啜るようにぐびぐび飲んでるヴィクトリーアさん。

 

「もうヤダ、滅ぼしたい」

「「!!!!!」」

 

 私とミカンちゃんを一瞬釘付けにしたそのセリフと共に、ヴィクトリーアさんは手の中に地球らしき物を呼び出したわ。ニケ様も腐っても神様なので、ミカンちゃんやデュラさんでもどうしょうもできないわけで、ヴィクトリーアさんも同様にそういう存在なんでしょうね。多分ね。

 さて、ガールズバーにごく稀にぴえん系の百合女子がお客さんでくるのよね。大抵はいろはさん目当てのお客さんで、いろはさんがうまく諭して帰らせるんだけど、いっちょ実演してみますか。

 

「ヴィクトリーアさん、私、ヴィクトリーアさんのそんな顔みたくないなー」

「????」

「ヴィクトリーアさん、凄い綺麗なんだから、ほら、泣かないで笑って! ワインも飲んでほら、にっこり!」

「ふふ、にっこりだ!」

 

 よーし、落ちた。この間にミニチュア地球を手から奪うとミカンちゃんに自然にパス。

 

「ちょっとヴィクトリーアさん、今日は飲み過ぎ。だから今日はもう帰りましょうね?」

「いーやー! 飲ませたのは金糸雀ちゃんだろぉ?」

 

 まぁ、そうね。完全に私よ。でもここで、突き放すのがいろはさんのやり方よ。

 

「えぇ、そう言う事言うヴィクトリーアさん、ちょっとやだなー」

「そんな風に言われたらもう世界」

「次、世界滅ぼすって言ったらもう部屋上げないわよ」

「あわわわわ! 違くてな? あぁ、もう!」

「滅ぼさないって約束できたらまたきていいわよ」

「滅ぼさない! 《《地球は》》滅ぼさないぞ! これでいいんだろう?」

 

 よし、なーんだ。ニケ様より全然扱いやすいじゃない。

 

「じゃあ、ヴィクトリーアさん、回れ右、玄関へ向けて足踏み、いち、にー! さぁ、さようなら!」

「またなー! 金糸雀ちゃん、明日も明後日も明明後日も来るかならー!」

「はーい、待ってまー! まじか」

 

 私は手を振ってヴィクトリーアさんにお帰りいただく、これならなんとでもなるわ! とか思っていたのはテレビをつけた数分後だったわ。

 

“知的生命からの交信があったアステロイドベルト地帯、突如消滅する。各国の衛星に女性らしき姿の撮影に成功“

 

 どうやらこっちの世界線は外宇宙の交流がスタートしそうな状況だったみたいだけど、ヴィクトリーアさん、地球の代わりに知的生命がいたであろう小惑星群を滅ぼしたみたい。

 これはあれね、触らぬ勝利の女神に祟りなしね。

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