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【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
JC金糸雀さん編と居候の(勇者、デュラハン)と異世界JK留学と
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第249話 帰還者とでからあげクン・プロティンにんにく醤油味とゴールドマスター(生)と

 暖かくなると変な奴が湧いてくるという。

 俺は影の薄い大学生を演じている。これは世をしのぶ仮の姿だ。俺はかつて異世界に行った事がある。そう、俺は強力な魔法力というチートを持って異世界に飛んだ。世界を救う為の力は人々に受け入れられず。俺は世界を滅ぼそうと、魔王の配下になったのだ。涙は枯れ、激しい怒りを胸に潜ませ、黒い仮面と黒い鎧に身を包み、魔王軍最強の魔法剣士となった。

 俺の名前は大炎龍牙たいえんりゅうが

 

「あっ、ジロウヤマダなり」


 俺のこの世界での仮の名前を呼ぶ者。一体誰だ? 俺を指差して見下したような表情をしているのは、オレンジ色の髪をしたショートヘア、オレンジ色の瞳。オーバオールに肩掛けバック、なんともあざとい。一応美少女だ。

 そして俺はこいつを知っている。

 気が動転した俺は思わず叫んだ。

 

「アイエエエエ!ユウシャ!?ユウシャナンデ!?」

「相変わらずキモさの極みなり」

「勇者、なんであるか? この聞いた事のある声は? あー、役立たずのヤマダであるな」

「デュ、デュラハン! 様ぁ!」

 

 なんだ。なんでこいつらが、日本の大学のキャンパスにいやがるんだ。悪夢だ。俺の事を知る勇者と、魔王軍大幹部のデュラハン。まずい、まずいまずいまずい! 俺はこの勇者にボコボコにされる事、もはや数えたくもない。地球から異世界に飛ばされたら普通は現地人よりも強力なチートとかもらって無双するのがお決まりのハズなのに……現地人強すぎるんだよマジで、どうにかこうにかせっかく元の世界に戻ってきたのにこいつら、

 

「なんで勇者と、そのデュラハン様が? ここ大学ですよ? 学生しか入っちゃダメなんですよ」

「勇者知り合いに荷物届けに来た帰りなり」

「うむ、我らに宿を貸してくれている素晴らしい人であるからな、忘れ物をしたとの事で渡し、帰るところである。が、役立たずのヤマダこそ、崇高なる大学に何用であるか?」

「よわよわのジロウヤマダがここにいる事が不似合いなりけり」

 

 くそう、めちゃくちゃ言ってくれるなコイツら。ちょっと強いからって少し封建的すぎやしませんかね? そうだ、コイツら異世界人だから、日本のマックでも食べさせておけば美味し過ぎてぶっ飛んで帰ってくれるんじゃないか?

 

「そんな事より、お腹すきません? 飯、奢りますよ!」

「勇者、ザキンでしーす食べたけり」

 

 なんでよりにもよって銀座で寿司食いたがるんだよこの勇者はよぉ。あー、でもこいつ異世界にいる時からこんなだったわ。いつもいつもいいところで出て来ては俺をボコって、周囲の人からチヤホヤされて、「勇者、また何かやっちゃたり?」とかあざとい事言ってたわ。

 

「ザギンで焼肉でもいいかもしれぬな! 役立たずのヤマダよ。積もる話などはないが、ご馳走になってやろうである」

 

 あーあーあー! デュラハン。コイツもいた。鳴り物入りで魔王軍に入った俺、一般人の十倍以上の魔法力の俺はさぞかしチヤホヤされると思ったが、一般人の十倍って魔物の何分の一の力よって事なんだよ。それでも何故か魔王に気に入られて美人のダークエルフの人と雑用係してたんだよな。

 

「ザーギンもいいけど、最高の行きつけがあるんだ。そこ行こうぜ!」

「えぇー、ジロウヤマダの行きつけとかショボそうなりぃ。ザギンでよき」

「遠慮せずにザギンで良いぞ」

 

 なんでコイツら銀座行きたがるんだよクソが! 俺は今日、同じ大学の隠れた原石。いつもフレッピースタイル(優等生コーデ)の服に身を包んで赤縁のメガネをかけている犬神金糸雀さんを、おしょ、お食事に誘おうと思っているのに、邪魔はさせられない。

 

「まぁ、騙されたと思って!」

 

 異世界から来たやつなんて、カップ麺でも昇天するだろうがよ。という事で俺の行きつけ、酒も飲めるフードコート付きローソンへ到着。

 

「うぎゃああ、騙されたり」

「貴様、ローソンは実にいい物だが、ザギンには劣ろうよ」

「いやいや、まぁ、フードコートで待っててくださいよー!」

 

 くっそ、コンビニ定価だから高けぇな。アコレなら数十円安いぞコレ、発泡酒でいいか、コイツらなら日本の発泡酒でも十分いけるだろう。

 あとは……


「勇者、からあげクン!」

「まぁ、我もからあげクンで良いぞ!」

 

 くっそ! ベビースターくらいでいいと思ってたのに、無駄な出費が、犬神金糸雀さんをサイゼリアに誘わなければならないのに……

 

「はい、お待たせしましたー! ローソン限定のゴールドマスター(生)とでからあげクン、プロティンにんにく醤油味です」

「発泡酒なり」

「発泡酒であるな」

「いや、美味しいからやってみて、乾杯!」

「乾杯なり」

「乾杯であるぞ」

 

 ローソンでしか買えないゴールドマスター(生)はその特別感も相待って。

 

「ふぅ、うま」

「おぉ、中々美味いであるな!」

「うんみゃい」

 

 まぁ、発泡酒は最近美味くなったからな。さっさとおさらばしたいのでからあげクン食わせてズラかろう。

 

「ほらほら、からあげクン、プロティンにんにく醤油味もあるぜ」

「役立たずのヤマダよ。プロティンと書いているからと言って筋肉つくわけではないぞ」

「プププ! 日清のプロティンカップヌードル、くそ食ってそうなり!」

 

 くそう。俺が何したって言うんだよ。今日は厄日か……そうだよ。プロティンと書かれている物ばっかり買ってますわ!

 

「ではからあげクンを一つ。おぉ! これは美味いな。ジャンクな味付けである」

「勇者、からあげクン超好き! ……うみゃああああああああ!」


 

 出たよ。勇者の絶叫、腹たつわー、店の人に怒られる前に、

 

「ちょっと、勇者。お店の人に怒られるって」

「てへ、なり」

 

 はぁああああ? 何あざとい事してんだよぉクソが。店員も勇者見て意識してんじゃねーよ! あームカつく。ミステリアスで純朴そうな犬神金糸雀さんならこんな昼間から酒とか絶対飲まないだろうな。可愛いだけでなんでもなると思っている勇者とは大違いだ。

 

「ふぅ、コンビニ飲みというのも悪くないであるな」

「デュラハン様、あんまり顔出さないでくださいよ」

「ぷへー! 勇者お代わりなり」

「我も我も」

「くっそー、飲むペースおかしいだろあんたら」

「何を焦ってり?」

「うむ、ソワソワしているであるな」

 

 こうなったら、言うしかない。今日、俺は勇気を出して、女性を食事に誘うという事。流石にデュラハンなら空気を読んでくれるだろう。

 

「勇者、デュラハン様。俺、今日。好きな人を食事に誘うんだ。だから時間がないんです」

「ほぉ、でどこにその女性を誘うつもりなのであるか?」

「サイゼリアです」

「「!!」」

 

 二人が驚いている。まぁ、流石に女性とのデートを前にする俺に空気を読んでくれたか。

 

「マジであるか」

「勇者、サイゼ好きだけど、引くかもー」

「なんで! サイゼリアいいじゃないですか!」

「悪いとは言わんが、それは親密な恋人になってからフランクに行くところではないか? 最初はこう、少し背伸びをしてオイスターバーとか、おしゃれなレストランとか」

「カフェでスイーツとか無難なり、ジロウヤマダはクソ!」

「うむ、控えめに言って役立たずのヤマダはクソであるな」

 

 なんなん! なんでクソクソ言われないといけないんだよ。きっと犬神金糸雀さんなら女神みたいだからどんなところでも、

 

「その女性は優しくて、聖女のようだから、どんなところでも喜んでもらえるとか思っていたら貴様、男として終わりであるぞ? それは貴様の要望をなんでも聞いてもらえる奴隷でしかない。そんな女性いるわけないだろう」

「さては童貞なり? プププ!」

 

 てめーだって処女だろうが……嗚呼、童貞の価値は二束三文だが、処女の、それも美少女の価値は世界一つと等価だわな。まぁ、コイツらの言う事もそれなりに? 聞いておいた方がいいかもしれないな。なんか東京の事詳しいし。

 

「たとえば具体的にどんな店が?」

「勇者、シュワシュワ飲みたいかもー、プレミアムの麦酒とはーげんだっつのクソでかいやつ」

「我はそうであるな。一度、コンビニスイーツとやらを思う存分堪能してみたかったのであるが、当然ワイン等と一緒に」

 

 ああああああああああ!

 仕方ない。背に腹は変えられない。犬神金糸雀さんと恋人になる為なら夜勤バイトを増やそう。俺は二人が望む物を用意した。

 

 コンビニで散財をしたが、俺はデュラハンと勇者から女の子を誘う最高の場所を聞いた。そして今日も最後の授業を真剣に聞いている犬神金糸雀さん、あー! くっそ可愛い。目つきは少しきついけど、人当たりも良くて可愛い。

 勇気を出せ山田次郎、じゃなくて大炎龍牙!

 授業が終わり、帰る準備をしている犬神金糸雀さん。

 

「あの、犬神金糸雀さんですよね」

「え? はい、なんですか?」

「今から俺と、東京ディズニーランドに行きませんか!」

「え? なんで? 怖っ、いいです。さようなら」

 

 おい!

 勇者おい!

 デュラハン、おい!

 

 …………そんなんダメに決まってるやん!

 初対面の異性に一緒にネズミー行こうぜ! ってとち狂ってるやつやん。


 いや、もしかしたら犬神金糸雀さんは恥ずかしがってるだけかもしれない。俺はそれから毎日、犬神金糸雀さんにアプローチをした。講義では隣に座って、好きそうなスイーツを差し入れして、

 

 そして……念願叶う事はなく。

 警察の人がやってきた。


「君、ストーカーの疑いで通報があってね。署で話を聞こうと思うんだ」

 

 デスヨネー。

 気がつけば俺が変な奴になっていたわけだが、犬神金糸雀さんの記憶に間違いなく俺は残ったと思う。

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