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【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
JC金糸雀さん編と居候の(勇者、デュラハン)と異世界JK留学と
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第211話【20万PV特別編 魔王様とレンチン食堂大阪の旅 後編】

 さて、私達はどれだけの時間待たされたでしょうか? ディズニーランドの待ち時間とか可愛いものだなと思った時、ようやく私たちの番です。お店の方からルールを説明していただきました。

 

「冷凍庫にある商品を並んでいる電子レンジでチンして食べていただきます。飲み放題のビールもサーバーの物をお使いください。自動課金制度ですのでお気をつけてください」

「良い! 楽しませてもらおうぞ」

 

 料金が青天井とか日本人なら少し気にするんですけど、魔王様はそういう事気にしませんからね。それにしても……今回私たちを大阪まで呼び出した人。

 

「全く、御託はいいから、冷凍食品を食べようじゃないか」

「うむ、セラよ。店員の言う事はしっかり聞くべきでだ。店によってルールがあるからな。マナーは大事であるからな」

 

 魔王様はお店ごとのルールという事には厳しく従ってくれるんで非常に一緒にいて安心するんですが、セラさんは……

 

「こっちは金を払う側だろう? 少々のわがままは店側が聞くものだろが?」

 

 このサイテーな考え方のハイエルフ。クレーマーの考え方ですよね。お店の人は従事してくれていると逆に思うのが普通ですよ。とりあえずルールが分かったところで私達は冷凍庫に向かいます。

 

「魔王、それにひなさん、まずビールを注いでおくぞ」

「頼んだぞセラよ」

「あ、ありがとうございます。じゃあ魔王様、冷凍食品選びましょうか?」

「うむ、ついてくるが良い」

 

 私と魔王様は二人で並びながら、他のお客さんを見ると、片っ端からひっきりなしに持って行っているけど、魔王様は食べ放題のお店とかでも絶対そういう行動は取られないんですよね。

 

「くはははは! 選ぶのが大変であるな! 主食、主菜、副菜、スープ、デザートとまずは五種類選ぶとしよう」

 

 マルちゃんの焼肉ライスバーガー、ニッスイの肉汁じゅわハンバーグ、ニッスイのそら豆、SSKのレンジでご馳走ミネストローネ。そしてハーゲンダッツのクッキーアンドクリーム。

 

 私たちの無難なチョイスで持って行った私たちを待っているのは、一人でビールをガブガブ飲んだであろうセラさんの姿。

 

「おそーい! 全く、何をしているんだ魔王、グズめ!」

「クハハハハ! 待つ事もまたこの国の風情であるぞ! この馬鹿者めが! では改めて乾杯と行くか!」

 

 ハーゲンダッツ以外電子レンジで温めた物を用意して私達はビールを掲げます。するとセラさんが、

 

「それでは! ひなさん、よく来てくれたなら! 魔王はちゃんと金払えよ! じゃあ乾杯だ!」

「「かんぱーい!」」

 

 んっんっん……セラさんビール入れるの意外と上手ですね。素人にしてはかなり美味しいですね。さて、ではそれぞれ食べてみましょうか、

 

「この世界の人間の事は分からぬが、一度は冷凍食品をこのように並べて食ってみたいと思っていたわ! かゆい所に手が届く店だな! クハハハハ! 気に入った! うむ、どれも上手い」

「この世界の冷凍食品、それもこの日本のレベルは世界最高なんだ。何も知らないんだな魔王。もむもむ、まぁレストランで食べる方が美味いんだけどな」

 

 なんでセラさんそれ言っちゃうかなぁ、確かによく考えると、冷凍食品ばかりって年末の宅飲み感しかないですけど、魔王様みたいにやってみたいけど中々できない事ができるというのがこのお店のコンセプトなんですから……。

 でもみんなでシェアしながら食べるってなんか楽しいですね。冷食ってなんでこんなにビールが進むんでしょうか? 私が飲み終えた時に魔王様も飲み終わったみたいなので、「魔王様、お注ぎしますよ」「すまぬなひな」とグラスの水滴をわざわざ拭いて渡してくれるんですが、セラさんは、

 

「私は泡を少なめにギリギリまで入れてくれ」

 

 とか言ってグラスを強引に渡してきます。まぁ、いいんですけどね。ガールズバーとかではこういうお客さんもいますし、金糸雀さんとかなら秒でブチギレそうですが、私は基本事勿れ主義ですからね。

 

「魔王様はあわ4cm、私は5cm。セラさんは泡少なめ、1cmくらいで調整しましょう」

 

 ビールはいろはさんとかの方が上手なんですけど、私もできなくはないです。どちらかと言うと私はミキシンググラスを使ったカクテルが得意なんですよね。

 

「お待たせしました! こちら、魔王様です。こっちはセラさんです」

「ご苦労」

「ありあとーさーちぇす!」

 

 もうセラさん呂律回らなくなってるじゃないですか……二人はビールに口をつけて、

 

「うむ、セラがいれた物より遥かに美味いな」

「ほんとれすれぇ、お上手しょーず」

「まぁ、一応。お酒出すお仕事してますからね。あ、おつまみ無くなりましたね。とってきますね」

「わーしもいきゃー」

 

 次はセラさんがついてこられました。嫌な予感しかしませんね。セラさんが選んだら即連れて帰りましょう……セラさんはぼーっとした顔で、青の洞窟・ズワイガニのトマトクリーム(パスタ)を取られました。となると主食がパスタであれば……それをメインに組み立ててみましょう。主菜はベタに唐揚げです! ニッスイの特から、AJINOMOTOのエビグラタン、ニップンの参鶏湯。ニチレイの今川焼きで第二ラウンドといきましょう。

 

「魔王様お待たせしました!」

「良い、してどう言った物か? ほぉ、面白いチョイスであるな」

 

 ビールは基本なんでも合いますから、私の今回のテーマはセラさんの選んだパスタを堪能しつつそれに負けないような濃い味付けの主菜に副菜。からの、優しい味付けの参鶏湯。デザートは甘いけど、油っぽくない今川焼きで、

 

「うむ、青の洞窟はやはり激うまであるな! からのビールによく合う唐揚げ、そしてビールに合わないように思いながらも神谷バーでは鉄板のエビグラタンであるな」

 

 魔王様、東京に染まってますねー。上品に食べられ、参鶏湯も優雅に楽しむと、今川焼きを食されています。

 

「うむ。ひなとセラのチョイス見事である」

「おいしーい! 魔王、今日のところは生かしておいてやる。貴様がいないと支払いができないからな!」

 

 控えめに言ってセラさん、クズすぎでしょ。そんな風に言われたら大体の人は怒るんですけど、魔王様は流石の余裕ですね。ビールを飲みながらセラさんの言う事を聞き流してます。そして2回戦めが終わり、お腹も割といっぱいになってきたところで、

 

「では余が次はいくつか見繕ってこよう」

 

 と席をたたれました。そして戻ってきた魔王様は、ニチレイの大学芋、ケイエスの胡麻団子、ニチレイのスイートポテトと甘い物ばかり持ってこられます。

 そして私たちの手元に暖かいコーヒーを魔王様は用意してくださいました。

 

「どれもこれもと選びたくなるが、食べれる分だけにしておくのが風情であろう? 最後は茶で菓子を食って幕とする」

 

 私達はゆっくりと甘いお菓子を味わって、コーヒーで酔いを軽く覚ましていきます。レンチン食堂最高でしたね。

 ですが、セラさんが、

 

「ぎ、ぎ、ぎもぢわるい……」

「えぇ、大丈夫ですか? 飲み過ぎですよセラさん」

 

 お手洗いを借りて、酔い潰れたセラさんの介抱。最悪ですね。始まりは良かったんですが、こんな年の最終日だと思うと……どうにか持ち直したセラさん一人で居候先に帰ると言うので、私は魔王様に触れて東京に戻してもらいます。

 

「ひなよ。今日は大晦日であったな?」

「そうですね」

「寿司でも取ろうではないか、本日は無礼講である! 白と赤に分かれて歌い明かす番組を見ながらつまむと良い」

 

 案外、魔王様と出会っていい年だったのかもしれませんね。

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