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【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
JC金糸雀さん編と居候の(勇者、デュラハン)と異世界JK留学と
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第202話 ミイラとポリッピーしお味と氷結無糖ゆずと

 ここ最近、私の日課。コンビニにパンを買いに行く事。私の見た目年齢は14歳くらいになったわけで、よくよく考えると朝の微妙な時間にジャージでコンビニでいると学生服を着た中坊、高校生と鉢合わせになるわけで、私はミリも気にしてなかったけど、向こうからしたらなんでこいつ学校行かないんだ? くらいには思ってたのよね。

 するとどうでしょう。

 

「ラブレターをもらっちゃったわ」

 

 と、私は部屋に帰ってみんなに菓子パンを配りながら可愛い男の子が毎日私がコンビニにいるのを見て気になったらしく友達から仲良くしてくださいってLINEのIDも書いてあるのよ。

 

「年はいくつなり?」

「14歳ね」

「ショタなりけり」

「うぬぅ、今の金糸雀殿であれば申し分なさそうであるが、元に戻るとしばらくは倫理的に難しい年齢差であるな」

「姉さん女房れすぅ!」

 

 いいじゃない姉さん女房、この子が二十歳になる頃、私は二十六なんだから……ねぇ、まぁいいわ。ミカンちゃんに言われてた豆菓子。

 

「ポリッピーの塩味買ってきたわよ。チョコ味じゃなくてよかったの?」

「うおー! うおー! 勇者、チョコ好きー! でもポリッピーの最強は塩なりぃ」

 

 まぁ、確かに原点にして至高に美味しいわよね。まぁ、当然ミカンちゃんにお酒のおつまみを渡すと冷蔵庫に、

 

「勇者、しゅわしゅわー! ゆずなりぃ」

 

 最近、滅茶苦茶メディアでも推している氷結無糖の新味。ゆずね。無糖=微妙に不味いというのを払拭させた辛口で美味しい缶酎ハイ。

 

「金糸雀はホットゆずなり」

「えぇ、私もそれ呑みたーい!」

「金糸雀ぶっ倒れるからアウトなりけり」

 

 デュラさんも渋い顔をしてるわ。この子供の姿の私、お酒耐性ゼロなのよね。ほんといつになったら治るのよこれ……。

 

 ガチャリ。

 誰が来たのかしら? 私と目があった相手は、

 

「ガァアアア!」

 

 と両手を上げて私に威嚇。多分、私の感覚が相当おかしくなったのか、本来きゃああ! とか言うハズなのに、

 

「いらっしゃい。ここは私の部屋で、私は家主の犬神金糸雀です」

「あっ、どうも。ミイラです」

 

 うん、包帯ぐるぐる巻きのミイラの方がやってきたわ。ミイラってアンデット系だけど匂いとかもなくて、

 

「ミイラさん、いい匂いしますね」

「えぇ、身体の腐食を抑える薬品に香料が入ってますから」

「最近はそういうスメハラがモンスターも大変なんですね。どうぞこちらへ」

 

 私がミイラさんを連れてリビングに向かうと、ミイラさんは「デュラハン様!」とこの人、魔王軍の方なのね。

 

「おぉ! 貴殿はアンデット軍のミイラ殿であるな!」

「殿下より日々、デュラハン様のご武勇伝について聞いておりました。昨日も食事時にそれはそれは楽しそうに殿下はデュラハン様、そして人間の成人女性金糸雀様。そして何をご勘違いされたか勇者の話もしていました」

「勇者ならここに現臨せり!」

 

 いつものノリツッコミが始まるわね。ミカンちゃんを見たミイラ男さんが「勇者、ここであったが3年2ヶ月目」と微妙に正確な日数を言いながら襲い掛かろうとするミイラさんに、

 

「ミイラ殿、待たれよ。ここは不戦の部屋。殿下が以前暮らした場所でもある。無粋な真似はやめるである」

 

 ググっと手を握りしめて我慢しているミイラさん、ミカンちゃんって意外と恨み買ってるのよね。一体、何したのかしら? 

 

「とりあえずまずは再会の杯を交わそうではないか! これ、勇者、氷結を用意するであるぞ」

「ラジャー!」

 

 ミイラさんからしたら意味不明でしょうね。ミカンちゃんとデュラさん、ウマが合うのか結構仲良しなのよね。どちらかといえばデュラさんが保護者くらいあるけど、ミカンちゃんが氷結無糖ゆずを持ってやってくるので、私は電子レンジでホットゆずを温めて……

 

 ポリッピーを開封。

 

「じゃあ、ミイラさんに乾杯!」


 かんぱーい! と氷結の缶をカツンと合わせて、私はマグカップのホットゆずでごくりと、

 

「う、うまい! 破戒僧やゴブリンメイジが作ったワインこそ至高の酒と思っていましたが、こんな清々しいお酒が存在するとは」

 

 ミカンちゃんが目をキラキラと輝かせながら、ポリッピーの入った器をミイラさんに持って行くんだけど、ミカンちゃんミイラ系モンスター好きなのかしら?

 

「アズリたんは元気なり?」

「殿下? 当然だ! いつもどんな時も笑顔を絶やさぬ殿下はザナルガランの気高き華。億万の宝石を散りばめてもその美しさには届かぬだろうよ」

 

 出たわね。魔王軍のアズリたんちゃん推し。

 

「勇者は殿下と非常に仲が良かったであるからな」

 

 そうそう、最初はお守り嫌そうにしてたのに、すぐにアズリたんちゃんの虜になってたわね。

 

「はぁ、アズリたんちゃんどうしてるかしら?」

 

 私もアズリたんちゃんがいた頃を懐かしく思っていると、涙腺とかあるのか不思議なミイラさんの目から涙が溢れたわ。

 

「うっ、うっ、やはり殿下はどのような場所にいても煌めいていてあらせられる。魔王様が行方不明の中、毅然と我等を導くその姿は闇の聖女」

 

 魔王の娘だけどね。ミイラさん普通に泣き上戸ね。ポリッピーをパクリと食べて、「ポリポリして、甘くじょっぱくてうまい。うぅううああああ!」ワタツミちゃんがポリポリとポリッピーを食べて、そして氷結無糖ゆずをごくりと呑み、「アンデットさん、お代わりどうれすか?」とさらにお酒を勧めるあたり、ナチュラルに猛毒ね。

 

「はぁ、豆菓子ってなんでお茶請けとしては最強なのかしら……たまにはみんなもお酒飲むの辞めたら?」

 

 私の事を不思議な生物でも見るようにみんなは一瞬チラ見してから再び、氷結無糖ゆずに口をつけてるわ。要するにノーアルコール、ノーライフなのね。

 それでこそ私の部屋の居候ね。

 

「お代わりなりぃ!」

 

 ミカンちゃんが4本目をプシュっと開けてゴキュゴキュ喉を鳴らしてるわ。最近ニケ様追い出してるからミカンちゃんもノリノリね。

 

「殿下が、時折、勇者に金糸雀様に会いたいと申される時、我ら不甲斐なさを思い知り、ああぁああ! おいたわしや殿下ぁあああ!」

「ほらほら、飲んで飲んでれす! ポリッピーもどうぞれす!」

 

 まだ飲ませる気なのね。でも、アズリたんちゃんがそんな事言うのは少し心が騒がしくなるわね。私たちはミイラさんのある変化を感じていたの。ミイラさんが氷結無糖ゆずを飲めば飲む程、ポリッピーをポリポリと食べれば食べれる程。水分とタンパク質の過剰摂取を続けた結果。

 

「な、なんという事れしょう!」

 

 とワタツミちゃんが、ミイラさんは包帯を外し、鏡で自分の姿を確認。本当にどうしちゃったのかしら……

 

「せ、生前の姿に戻っていますぞ!」

 

 まぁ、死んでるので生前じゃないんだけどね。要するに潤いを戻した死体なわけね。異世界の謎の薬品で腐らずに乾燥した肌が水分で戻っただけなんでしょうけど……

 

「はっはっは! その姿で戻れば殿下もお喜びになるである! いずれ再び水分が抜けて乾燥するであろうがな! ミイラ殿。殿下の事を任せたであるぞ!」

「それは誠に至極恐悦ではありますが、デュラハン様はお戻りには?」

「まだ、殿下に胸を張ってお出しできるほどの料理の腕はない故である」

 

 もう並の料理人クラスの腕はあると思うんだけどなぁ。デュラさん、かなりの凝り性だからね。

 

「では、勇者、貴様も。皆様方も世話になりました」

 

 いつも通り、優しい世界が繰り広げられると思っていた私たちの部屋に

 

「もう今日は追い出されても無理やり入りますよー! 女神がやってきましたー!」

 

 流石に今日くらいは接待してあげようと思っていたニケ様だったけど、ミイラさんを見て「嘆かわしい。闇より魂を縛り、生命の円環から外れし者ですか、次生まれ変わる時は光歩む者として正しき道を進みなさい! 滅!」とか言って祈りを捧げてミイラさんを成仏させちゃったわ。

 そしてチラりと私たちにお綺麗なというかドヤ顔を見せて、私凄いでしょう? 私、女神ですよ! と言わんばかりの間を置いてから振り返ったわ。

 

「ば! ばかぁ! ミイラは魔王城に帰れり! クソ女神クソバカなり!」

「勇者、女神に馬鹿とはどういう事ですか? 呪いを与えますよ!」

「クソ女神よ。所属は違えどミイラ殿は我が魔王軍の仲間、なんという事をしてくれたであるか! 貴様こそ滅されるといい」

「デュラハン! 貴方も強制的に天に還されたいんですか! ワタツミ、言っておやりなさい!」

 

 ニケ様は腕を組んでカンカンに怒っているけど、ワタツミちゃんはニケ様に、「ニケお姉様、どちらかというと完全にアウトれす……神として圧倒的にあるまじき行為とお見受けするれすよ」と全力で貴女を否定するされたニケ様は最後の逃げ場として私を見つめる。私は冷蔵庫から氷結無糖ゆずと未開封のポリッピーを持ってくるとそれをニケ様に手渡し、ニケ様の目に光が戻ったけれど……

 

「ニケ様、今日はそれ持って帰ってください。流石に神様でもやっていい事と悪い事がありますよ」

 

 ニケ様はブワッと大泣きして氷結無糖ゆずとポリッピー塩味を持ってしばらく玄関で立ち尽くしてたわ。

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