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【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
JC金糸雀さん編と居候の(勇者、デュラハン)と異世界JK留学と
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第197話 【お酒整理特別編】魔王様と漫画やアニメのお酒を出すバーへ

当然、色んなお酒を購入して飲むんですけど、部屋が酒屋みたいになってきました。

これは、一生かけても飲み切れるのか分からないですね。

「魔王様、今日はせんべろじゃないんですね?」

 

 天童ひなです。本日は魔王様がバーに行こうと言うのでタクシーに乗っています。なんでもゲームのオフ会でメンバーに連れて行ってもらったお店だというらしいですが……魔王様は本当にお知り合いが多いです。

 

「うむ! アニメや漫画、ゲームにまつわる酒ばかり集めたバーらしくての! くーはっはっは! 余はあまりそれらを知らぬが、とても愉快な店であった! ひなの好きな作品は何か?」

 

 私もアニメとかってあんまり知らないんですが……

 

「キティちゃんとか?」

「ふむ、その酒もあるであろう!」

 

 それはどうでしょう……キティちゃんは基本子供向けの作品ですし……そういえば最近キティちゃんの中の人、声変わったんですよね。あのポップコーンマシーンのキティちゃんの声が変わると思うと感慨深いですね。

 そんな風に考えていると……都内某所にあるオシャレな感じのバーにやってきました。漫画さんとかのサインだらけのお店を想像していましたが、普通にクラッシックバーみたいですが……

 片目を隠したミステリアスな美人のバーテンダーさん。金糸雀さんとか好きそうな雰囲気ですね。

 

「邪魔をするぞマスター」

「いらっしゃいませ! 魔王様と、ご新規のお客様。どうそお好きなお席に!」

「うむ! ではマスターの前だ! ひなは隣に座るといい」

「あっ、はい」

 

 いやぁ、一応。マスターの目の前はやめておいた方がいいと思うんですけどねぇ。本来であれば端とかに座ってマスターを独り占めしない方がいいんですが……まぁ、魔王様ですからね。

 

「して、マスター! キティちゃんとやらの酒はあるか?」

「ハローキティーちゃんですか? ございますよ! いえ、むしろ。ありすぎるくらいですね! 彼女は仕事を選びませんから」

 

 そう言ってマスターはワイン、スパークリングワイン、日本酒、さらには……フルーツビール? これは……台湾と書かれていますね。本当にキティちゃんは仕事を選びませんね。まさかこんなにお酒を出されていたとは……。

 

「お目が高い。台湾限定フルーツビールです。お飲みになられますか??」

「じゃ、じゃあそちらをオススメのフレーバーは?」

「どれも美味しいですけど、レモンがイチオシでしょうか?」

 

 細長いグラスに台湾限定キティちゃんのレモンビールを注いで差し出していただきました。魔王様も同じ物でしょうか?

 

「魔王様はどうなさいますか?」

「うむ。余は……、マスターよ。ゲームサークルの皆をあっと驚かしてやりたい。何かオススメを頼もうぞ」

「ふむ……かしこまりました」

 

 マスターはそう言って私でも知っているボトルを一本、そして見たことのないボトルを2本私たちの前にトントントンと置いてくれました。

 

「ハードボイルドな雰囲気を出す作品によく登場するのかごちら、テネシーウィスキーのジャックダニエルです。こちらのスーパーなどでも購入可能なレギュラーボトルは、ガンアクションで有名なブラックラグーンのチャイニーズマフィア、三合会の張ちゃんがプールサイドで飲まれています。続いてこちらのグリーンボトル。多くの方が知っているルパン三世。その映画第一作。ルパン対複製人間のワンシーンではグリーンボトルが使われています」

 

 ジャックダニエルにグリーンボトルなんてあるんですね。魔王様が「ほほう。ルパン三世は余も大好きである! くーはっはっは! さぞかし美味い酒なのであろうな?」

「それがですね。この黒いレギュラーボトルの品質規格に届かなかった物をボトリングしている物がグリーンラベルなんですが、特定のお土産屋さん等でしか売られておらず、流通量が少なすぎるので、レアなお酒として日本では高額で取引されていますね」

 

 そうなんだ! 謎の逆転現象ですね。この蘊蓄を魔王様はネットゲームのお友達に教えてあげるんでしょうか? と思うとまだもう一本ボトルが残されています。

 

「では最後はこちらですね。機動戦士ガンダム。鉄血のオルフェンズの二期で安酒としてハードボイルドな伊達男のキャラクター、名瀬・タービンさんが作中で飲まれていたお酒がこちら、ジャックダニエルシングルバレルになります。どちらかと言えば高いお酒ですが、そこまで高級なお酒ではない為、それなりにお金を持ったキャラクターだったので安酒と表現したのかもしれませんね。魔王様にはこちらジャックダニエルのシングルバレルをお飲みいただこうと思います」

 

 氷を丸くアイスピックで成型してくれた物をロックグラスに入れ、トクトクとジャックダニエルのシングルバレルを注いで魔王様に出してくれます。

 それにしてもジャックダニエルのイメージが変わる高級そうなボトルですね。

 

「それではひなよ乾杯である!」

「乾杯!」

 

 うーん、キティちゃんのレモンビール。これは中々上品な味ですね。何故台湾限定なんでしょうか……今度金糸雀さんに教えてあげましょう。

 

「おいしー!」

「うむ。確かに美味い。が、マスター、少しストレートでもらえるか?」

「……かしこまりました。ジャックダニエルの1ショットです」

 

 どうしたんでしょうか? 魔王様がストレートでちびりと飲んでペロリと舌を出しましたね。

 

「くーはっはっは! これである! 美味い! この酒、加水するよりストレートで飲むのが余の中では一番であるな!」

「ふふっ、さすがは魔王様ですね。先ほどの作品作中のオンザロックの飲み方もいいんですが、これであればジェントルマンジャックでも十分です。やはりジャックダニエルの最高峰であるシングルバレルの楽しみ方はストレートがオススメですね。お見事です」

 

 魔王様、凄い味覚を持ってますね。それに魔王様は、

 

「が、ここはアニメ、漫画、ゲームに登場した酒をその作中の様に楽しむのが風情なのであろう? であれば、それらの者共を想って呑むとまた味わいも代わろう」

 

 私は魔王様がお酒に酔っているところを見た事がありません。よほど強いのか、そもそも魔王様はお酒が回らないのか……定かではありませんが、魔王様はマスターが用意してくれたチェイサーをお酒を一口呑む度に口につけています。それら一連の動作もお酒との付き合い方だからなんですが、絶妙に様になるんですよね。

 

「仰るとおりです。そのお酒の最高のポテンシャルを出せる飲み方という物は確かにありますが、それが万人に愛される飲み方か? と言われるとそこはナンセンスですね」

 

 私は流石に軽いお酒なので飲み終え、魔王様が私が飲み終わってるのを見て、クイッとロック、ストレートそれぞれを飲み干してしまい次の注文です。

 

「魔王様、次は何を飲まれますか?」

「ふむ、そうであるな。甘く、温かい酒を所望する。出せるか? マスター?」

「畏まりました」

 

 マスターは私達だけじゃなくて、他に来ているお客さんの接客も卒なくこなされています。ガールズバーの私とは完全に業種が違いますね。それに女性バーテンダーさんですけど、マスターは女性のお客さんにも人気があるみたいですね。一緒に写真撮ってもらったりしてます。

 

「お待たせしました。魔王様、そしてひな様。お酒の前にお菓子なんていかがでしょうか?」

 

 チョコビスケットにマシュマロが挟まれている可愛いお菓子ですね。これは私も知っています。スモアです。

 

「これってスモアですよね?」

「はい、お代わりが欲しいというスモアスモアの短縮系からスモアと呼ばれるようになったそうですよ。アメリカのキャンプにおける伝統的なお菓子です」

「ほぉ、という事は次はキャンプのアニメ、漫画などの酒か?」

「さようでございます。お次はゆるキャン△で登場人物達の学校の先生、グビ姉が冬のキャンプの時に飲まれていたラムココアになります。使うのは作中でグビ姉が持参していたキャプテンモルガンプライベートストックになります」

 

 お湯で沸かしたココアに温めたミルク、そしてラム酒をツイストして私たちの前にラム酒のホットカクテルです。しっかりとキャンプで使うような銀のコップに入っているのがお洒落ですね。

 

「くーはっはっは! ひなよ! 乾杯である!」

「乾杯です魔王様!」

 

 コツンとキャンプ気分で私たちはコップを鳴らしてラムココアを……これは……

! ちょっとこたえられない美味しさですよ! 身体もポカポカになりますし!

 

「うむ! これは食後に良い! マスターよ! 褒めてつかわす!」

「恐縮です。ちなみに魔王様、そしてひな様。本作、ゆるキャン△はこちら、作中で登場したお酒を実在の製品として売り出されており、今回お二人にお出ししたラムココアをイメージしたリキュールも販売されております※」

 

 ※これらは2023年11月現在まで販売されていますが、いつ販売終了になるかは不明です。

 

 そう言ってマスターは“池池“と書かれた日本酒、“Captain Rum Special Gold Cocoa & Rum Liqueur“と書かれたラムココアリキュール。“南アルプスの日本酒“と書かれたお酒を出して見せてくれました。

 

「これらもお出ししておりますが、お飲みになりますか?」

 

 へぇ、漫画に出てきたお酒って飲んでみたいな! と私が思った時、魔王様はがま口の長財布から一万円のピン札を取り出すと、

 

「良い! それらの事を知らずして飲んでも美味しさも楽しさも半減であろう? マスター、本日紹介してもらった作品の漫画やDVDを借りてゆくぞ? 釣りはいらぬ。マスターの仕事に対する対価である」

「ありがとうございます。いただきます」

 

 うわー! 自分の仕事に自信がある人はお酒代より多いチップも受け取るんですね。私たちがお店を出ると外までお見送りに来てくれます。これは私たちが特別なお客さんだから、じゃなくてマスターは全てのお客さんに同じように接客してるんでしょう。

 

「マスター、お名前を教えていただけたりしますか?」

「私ですか? 犬神狼碧です」

 

 うん、薄々感じていたけど、金糸雀さんの関係者ですね。でも金糸雀さんとは違った大人の魅力に満ちていますね。普段マスターは何をしているんだろうと思っていたら、あのヤバい美人の……ニケ様が酔っ払った状態でやってきました。

 

「マスター! 聞いてください! 貴女の従姉妹の金糸雀ちゃんが最近、冷たいんです!」

「……」

「聞いてますか? マスター! マスター!」

「……」

 

 凄い、ややこしい人相手には絶対に反応しないという確固たる意志を感じます。それに魔王様が、ニケ様の肩を掴んで、

 

「女神よ見苦しい。マスターに迷惑をかけるでない。よし! ひなの家で飲み直しと行こうではないか! 貴様がいればひなも喜ぼう!」


 えっ、やです。

 そうして、私は今まで読んだ事のない漫画や見た事のないアニメをうざ絡みをしてくるニケさんとニコニコ終始笑顔の魔王様と朝方まで読み、視聴し、語り合いました。

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