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【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
女子大生と居候達(勇者、デュラハン)と異世界JK留学編と
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第187話 禍津日神と中津からあげ もり山(ネット購入)と麒麟特製コーラサワーと

ピンポーン!

 

 あら、密林かしら? ミカンちゃんが怪獣の着ぐるみパジャマを着たまま玄関に取りに行き、「ご苦労なりぃ」と受け取った小さい段ボール箱を頭に乗せて嬉しそうな顔をして私のところにやってきたわ。

 

「ミカンちゃん何買ったの? ゲーム?」

「からあげなりけりぃ! 勇者、この前のオフでこの唐揚げを食しハマり、かなりあこれ作って」

「えっ?」

 

 ずっしりと重いわね。何かしら? 私が中を開けてみると……鶏もも肉とかたくり粉……あー! 大分唐揚げのもり山ね! オフ会でそれを食べて気に入ったミカンちゃんがネット購入したわけね。自分で作らないところがブレないわね。

 

「おぉ! 唐揚げであるか?」

「ミカンちゃんが買ったみたいで、今日はデュラさん、これおつまみにしましょうか?」

「美味しそうれすぅ!」

 

 我が家で唐揚げ嫌いな人はいないし、たまにはコーラサワーなんか合わせてみようかしら? 冷蔵庫を見てコーラ用のグラスを人数分用意してると、

 

 ガチャリ。

 誰か来た。なんか背中がゾワっとしたわ。さてミカンちゃんとデュラさんが固まってるわね。ワタツミちゃんは、玄関あたりにいる来訪者に向かって平然とお出迎えしてるわ。

 

「あー、お久しぶりれすぅ!」

「ワタツミちゃん、お久しぶりです。はい」

 

 にゅっと顔を出したのはなんか幸薄そうな長い黒髪の女性。頭には厄災と書かれたティアラ的な物をつけてるわ。ミカンちゃんとデュラさんのビビり具合からヤバい系の人みたいね。

 人じゃないと思うけど……

 

「金糸雀お姉ちゃん、こちら私のぉ、親友の禍津日神ちゃんれすぅ」

「ディザスターです……よろしくお願いします。はい」

 

 ん? んん?

 

「えっとまがつ」

「ディザスターです。はい」

 

 ええっと、ディザスター、ディザスター……厄災。禍津日神は……あー日本の災害や厄災の神様なのね。

 それにしても、何故に横文字なのかしら。

 

「禍津日神と書いてディザスターと呼ばれるように布教しています。はい。なんせ世界規模の神ですから、それになんかカッコいいじゃないですか、ディザスター」

 

 あぁ、神様が厨二病発症することもあるのね……そして厄災の神様だけあって、勇者とか大悪魔とかがどうにかできる存在じゃないのね。

 

「勇者、さぶいぼが一杯できれり……ディザスターやばし」

「うむ、ディザスター殿。我らが魔王様に匹敵すると見て間違いなしであるな。凄まじい力である」

 

 二人がディザスター、ディザスターいうものだから、禍津日神さん滅茶苦茶嬉しそうじゃない。

 

「今日は厄落としの休暇を取ってたところ、気がつくとここに辿り着いてました。はい。でもワタツミちゃんがいて安心しました。はい」

「今からぁ、金糸雀お姉ちゃんとデュラお兄ちゃんがご馳走を作ってくれるのでぇ、禍津日神ちゃんも一緒にどうれすかぁ? 厄落としになりますよぉ」

「いいんですか? あとディザスターです。はい」

 

 いつもの事なので私は笑顔で、「ようこそ! 禍津日神さん」「ディザスターです。はい」

 

 という事で調理開始ね。

 届いた物は鶏肉と片栗粉。このずっしりとしている鶏肉は既に味付けされてるのね。これなら作りやすいし、千切りキャベツだけ用意すればいいかしら? 私はこの前スーパーにきていた研ぎ屋さんに出した自前の包丁をくるくると回して半玉のキャベツをダダダダと千切りにしてみせると、歓声が起こったわ。


「かなりあ、高速スキル持ちなり?」

「違うわよ。このくらい誰でも練習すればできるようになるわ」


 デュラさんが一個一個丁寧に二度揚げしてくれているので、



 準備も整ったので、みんなのグラスに氷を入れて、麒麟特製コーラサワーをパチパチとそそいで完成。「お待たせ様であるぞ!」と唐揚げも到着したので……


「じゃあ禍津日神さんに今日も大きな災害とか起きない事に感謝して乾杯!」

「金糸雀さん、ディザスターです。はい」

「あーはいはい、ディザスターさんに乾杯!」


 かんぱーいとひとまずコーラサワーで喉を潤すわ。まぁ、普通のコーラサワーね。麒麟はどうしてストロング系チューハイ出そうと思ったのかしら? 氷入れて丁度いい度数になるからいいんだけど……


「勇者、コーラすきー!」

「うはー、おいしいれすぅ!」

「おぉ、これはややキツめであるなー」


 炭酸飲料大好きなミカンちゃんからしたらガソリンね。我が家のみんなは問題なさそうだけどさて、禍津日神さんは……ちびちびと嬉しそうに飲んでるので気に入ったみたいね。基本神様の類はお酒が好きという事だけは世界も異世界も共通みたいね。今回はこの麒麟特性コーラサワーは主役を引き立たせる為の脇役よ。お店の人顔負けの技術でデュラさんが二度揚げした中津からあげもり山。お皿にこんもりと揚げられて私達に食べられるのを今か今かとまちかねているわね。


「禍津……ディザスターさん、熱々の内にどうぞ!」

「はい、い。いただきます……あちち……ふぁああああ! おいしー! はい」


 レモンも何もかけなくても滅茶苦茶美味しいんでしょうね。じゃあ、お客さんが食べたので私達も実食よ!


 サク! カリ! じゅわ!

 これは人をダメにするやつね。


「うんみゃああああああ! つよつよぉおお!」

「わぁああああ! おいしいれすぅ!」

「……むっ! さすがは店頭でだしている味であるな……見事である」

「いやいや、この揚げ具合。デュラさんだからですよ! これほんと美味しい」


 全員無言でおっかけコーラサワーよ。脇役にと思って選んだ麒麟特製コーラサワーなのに、もり山の唐揚げが美味しすぎてめちゃくちゃ合うわ。麒麟特製コーラサワーも主役にとしゃしゃり出てくるみたい。

 

「うんみゃあああ!」「うまうまれすぅ!」「最高であるな」「厄災級です。はい」どいう事よ。まぁ、ニュアンス伝わるけども時折、箸休めにキャベツしゃくしゃくと食べ、そして再び唐揚げに。

 全員のグラスが空になったから追加の麒麟特製コーラサワーを私はテキパキと運んで全員のグラスの横にトンと置くわ。

 

「勇者、コーラサワーと唐揚げ、コラカラ好きー!」

 

 ミカンちゃんがそう言って唐揚げをまた一つお箸で摘んだ時、脇に置いてあったテレビのリモコンの電源に触れたわ。

 

 ピッ!

 

 なんだか、番組を中断して特別放送が流れてるわ。なんかヘリから報道している男性リポーターの姿ね。

 

“現在富士山火口の様子です。今にも噴火しそうです。宝永1707年の噴火から数えて316年、地域のお住みの方、自治体の指示に従い速やかに避難してください。……えぇ? ただいま、速報が入りました。阿蘇山も噴火しそうです“

 

 ピッ!

 

 ミカンちゃんがテレビのリモコンの電源を消して、禍津日神さんをじっと見るわ。デュラさんも汗を流しながら凝視。この人……

 

「あの禍津……ディザスターさん?」

「はぁー、美味しい。なんです? はい」

「あの厄落としをされると仰ってましたよね?」

「そうです。ここでいい感じで厄を落とせそうです。はい」

「ディザスターさんが、厄を落とすとどうなるんですか?」

 

 ミカンちゃんとデュラさんも何かを察したように私を見つめてるわ。本来厄落としって、よくない物を人間とかが落としていくものじゃない。

 でもこの禍津日神さんって厄災と災害の神様よね。

 そんな人が厄落としたら……

 

「1999年に本当はするはずだったんですけど、寝てました。はい! 丁度いいので、地球最後の日を始めます! はい! あとで恐怖の大王さんに連絡を取らないと。はい」

「うわー! 恐怖の大王さん、久しぶりれすねぇ! 合コンぶりれすぅ」

 

 頼みの綱のワタツミちゃんが全然使えないわね。ミカンちゃんは唐揚げを一心不乱に食べ始めたわ。

 

「ちょっとミカンちゃん?」

「勇者、金糸雀と会えて良かったり、勇者、そろそろ本業にもどれり」

「ず、ずるい! 自分の世界戻れるからって!」

「うむぅ、とはいえ我と勇者でも星の崩壊までは止められぬであるぞ……」

 

 もうどうでもいいわ。

 私もどうせなら飲んで死んでやるわ! と麒麟特製コーラサワーのプルトップを開けた時、

 

「かーなりあーちゃん。お酒ください!」

 

 酔っ払ったニケ様がやってきたわ。そしてニケ様は……レヴィアタンさんと人狼のルーさんも連れてきてくれた! 使えねー女神様だと思ってたけど私はレヴィアタンさんの前で両手を合わせてお祈りポーズよ。

 

「どうした金糸雀……迷惑だったか? また日を改めよう」

「あぁ、帰られないでください! かくかくしかじかで、地球やばいんですぅ!」

「なるほど」

 

 通じたわ! レヴィアタンさんは禍津日神さんを見ると、申し訳なさそうな顔で頭を下げた。

 

「アバター・オブ・ゴッドディザスター。悪いが厄を持ち帰ってくれないか? ここを失うと困る神々が大勢いるんだ」

「はいー! 分りましたー、ワタツミちゃんのお姉さん。はい」

 

 そう言って禍津日神さんが何をしたのか分からないけど、地球規模で起きた最後の日は先送りになったわ。私たちはそれから残りの唐揚げを全部揚げて、レヴィアタンさんに麒麟特製コーラサワーと一緒に献上したわ。

 

「金糸雀ちゃん! 女神もいるんですよ!」

 

 何か聞こえる声は無視して、私は勢いで開けそうになった高級なボトルをリカーラックに戻して、神々多めの宴を朝方まで楽しむ事にしたわ。

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