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【38万PV感謝】宅飲みすると必ず異世界の人が相席してくる件  作者: アヌビス兄さん
女子大生と居候達(勇者、デュラハン、魔王の娘)と異世界JK留学編と
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第174話 魔女見習いと復活のコロッケとスーパードライクリスタル(本日発売)と

 台風コロッケしかり、コロッケって大体複数個で買うじゃない? というかミカンちゃんがスーパーのお惣菜コロッケが安売りしてたからって大量に買ってきて随分残ってるのよね。

 

「群馬県のソウルフード、コロッケ煮でも作ろうかしら」

「はははは! 金糸雀殿、この量のコロッケ、中々であるな」

「勇者コロッケ飽きたかも」

 

 久々にミカンちゃんに殺意を覚えるわね。三十個程のコロッケが今現在あるわけで、10個はニケ様に押し付けて、もう十個はセラさんに押し付ければいいとして、あと十個は処理しないといけないわ。というかもう正直私もコロッケ飽きてきたのよね。

 

「わふー、わたしわぁー、コロッケ大好きれすぅ!」

 

 ここにきてワタツミちゃんがまだまだコロッケいけるというのがなんかありがたいわ。ワタツミちゃん、一応神様寄りなのに毎日同じ物でいけるのね。

 

「とはいえあと十個。一人二個は覚悟しないといけないわね。少し考えるわ……私の全ての知識を総結して……」

 

 ガチャリ。

 このタイミングで誰かやってきたの? 正直コロッケ押し付けれるわという邪念を私が持っている中、

 

「こんちわっす! ここどこすか?」

 

 お出迎えに行くまでもなくひょこっと顔を出したのは……エクステなんかつけてるギャル来たわ。というか普通の女子高生? ワタツミちゃんの友達……いや、あざといワタツミちゃんに女子の友達はいない筈。

 

「こんにちは、私はこの家の家主の犬神金糸雀です。貴女は?」

「申し遅れたっす。自分、魔女見習いのジールっす。さっき魔法学園卒業したんすけど教室から出たらここに来たっす。もしかして魔女っすか? だったら弟子にして欲しいんすけど」

「あー。私は学生で、ミカンちゃんは勇者でデュラさんは魔王軍の悪魔で、ワタツミちゃんはドラゴンの神様の妹だから魔女じゃないわね」

「すっげーパーティーっすね。魔王殺れるんじゃねーすか?」

 

 魔王様を殺せるという言葉にデュラさんがぴくりと反応する。その前にミカンちゃんが一言。

 

「無理なりけり、まおー超つよつよ。それに勇者、アズリたんとマブダチだから魔王ともバトらず」

 

 ついに魔王討伐の旅完全に放棄したわねミカンちゃん。それを聞いたジールさんは、

 

「マヂっすか、自分誰か魔女の弟子になる為に魔女探してるんすけど、最近魔女廃業している人多いんすよね。魔女って美人多いじゃねーっすか? それに夜行性しょ? だから夜の仕事した方が稼げるし生活リズムに合ってるってそっちいく人多いんすよね」

 

 何それ……知りたくない事実ね。というか、いろはさん、元魔女じゃないでしょうね。そして魔女といえば……

 

「そういえば魔女ロスウェルが弟子を欲していたであるな」

「勇者達、ロスウェルの弟子なり」

 

 ※25話登場。

 

 ロスウェルさんなら喜んでジールさんを弟子にしてくれるでしょうし、可愛がってくれるでしょう。

 

「ジールさん、私たち魔女の知り合いいるから訪ねてごらんなさいよ! きっと弟子にしてくれるわよ。あの人、弟子依存症だから」

「マ? 金糸雀さん達、マジゴッド! 早速行ってくるっす!」

「ちょっと待ってジールさん、コロッケ食べて行かない? お酒は流石に無理かな?」

「金糸雀さん、何言ってんすか! 自分、もう17歳っすよ! 去年からパリピ酒飲みまくりっす!」

 

 出たわね。異世界の飲酒基準。ここは日本、十代の飲酒は禁止されている。という事で私は彼女達は日本基準では二十歳越えという事にしているわ。

 

「じゃあ、魔女の卵であるジールさんには、悪魔の取り分をお裾分けしてもらいましょうか?」

 

 ドンと私がジムビームの上位ボトルであるデビルズカットを用意するとそれを見たジールさんは、むむむと睨むように、

 

「これって焼いたお酒だったり?」

「ウィスキーなんでそうですね! 45度でかなり癖がありますよ!」

「あー、自分。そんなキツいお酒飲めないっす! もっとライトなのねーんすか? エールのハチミツ割りとか好きっすよ!」

 

 あー、ちゃんと自分がお酒弱い事を知りつつも好きなお酒を飲める。本格的な飲兵衛ね。だったら、発売したばかりのビールを出してあげようかしら?

 

「じゃ、じゃーん! では本日はこちらを飲みましょうか?」

「すーぱーどらいなり!」

「うむ、が缶の色合いが少し変であるな。ドライゼロとも違うである」


 ワタツミちゃんに至っては缶を持って栄え写真を撮ってるけど後で消さないと大炎上しそうね。

 

「これはね。ミドルレンジアルコールビール。今までの5.5度に対してスーパードライクリスタルは3.5度なの。飲んだ後も普通に生活をしたい人向けのお酒ね。まぁ、私たちからすれば関係ない話なんだけど、ニケ様とかセラさんにはこれを与えておいた方がいいかもしれないわね。新商品だから飲んでみましょうか? あとおつまみは当然コロッケよ」

「えぇええええ、勇者ちょっとノーサンキューかもー」

 

 ミカンちゃんが買ってきたのに、この態度。ほんとブレないわね。そんなミカンちゃんに朗報よ。

 

「コロッケはコロッケでもアレンジしたから食べてみて。まぁ、まずはジールさんのロスウェルさんに弟子入りお祝いとして祝杯!」

「わー、乾杯れす!」

「めでたいであるな!」

「かんぱーい!」

「ちょー上がるんですけどぉー! ありがとう金糸雀さん」

 

 という事で御神酒代わりの一本目。度数が低めだから軽いのかと思ったけど、ちゃんとスーパードライの切れ味は残ってるんだ。むしろ通常スーパードライより上品な口当たりになってるわ。

 

「うまっ!」

「うんみゃい!」

「おいしぃれすぅ!」

「ほほぅ、普通に美味いであるな」

 

 これが、日本に染まった異世界組の反応ね。

 そして……

 

「ちょ、待って待って! なんすかこれ? 自分、麦酒だけって結構苦手だったんすけど、これはいけるっす!」

 

 喉を鳴らして美味しそうに飲むわねぇ! というかこの新鮮さが最近、ウチの異世界組無くなってきたのよね。良くも悪くも舌が肥えたからね。

 

「では、犬神家の伝統。復活のコロッケよ!」

 

 ババーン! と私が持ってきたのは見た目変わらないコロッケ、ミカンちゃんがあからさまに嫌そうな顔をするけど、匂いに釣られてお箸を向けてるわね。

 じゃあ実食!

 

 みんながコロッケを齧った時、

 

 サク! ガシュ! みんなの表情が変わるわ。特にウチの異世界組は驚きを隠せないようね。

 

「むふーん、これちょーうまいっす! 宮廷料理っすか? やば、あがるー!」

 

 熱々のコロッケを食べて、そしてスーパードライクリスタルで喉を鳴らしているジールさんを見て私たちも続くは! 

 あれだけ嫌がっていたミカンちゃんが……

 

「うみゃあああああ! 勇者が買ってきたコロッケにあらず?」

「いいえ、ミカンちゃんが狂ったみたいに買ってきたコロッケよ」

 

 驚いているのは他でもないわ。買ってきてしなしなふにゃふにゃになったハズのコロッケがサクサク、バリバリと揚げたてみたいな食感、そして味付けの変化に驚いているのよ。

 

「オリーブオイルとニンニクであるか? しかし……これは一体。金糸雀殿。もはや死を選んだコロッケ達に何をしたであるか!」

「お肉屋さんのコロッケみたいれふー! サクサクれすー!」

 

 ふふん。このコロッケは……

 

「蘇生魔法を使ったのよ!」

「「「「蘇生魔法!」」」」

 

 つかみはオッケーね! という事でスーパードライクリスタルの二本目を開けながらみんなは私の話に注目してる。時間のたったコロッケを水に潜らせる。それだけでも「なんと……!」とデュラさんが驚いているけど、これをオーブントースターの中に放り込むの。

 その間にペースト状にしたニンニクとすりつぶした鷹の爪をオリーブオイルに入れてかき混ぜる。

 

「水に潜らせる事で油が浮いてくるのよ。で水がオーブントースターで蒸発すると浮いてきた油でサクサク感が増すんだけど、残念ながらそれだけじゃ揚げたてみたいにはならないから、ここでアヒージョの元をある程度水分が飛んだコロッケにハケで表裏と塗ってあげるの……すると!」

 

 パチパチパチパチと揚げ焼き状態に……そして外側の衣にも味がついて……

 

「はい! 復活のコロッケの完成です! ビールに合うでしょ?」

 

 私たちはスーパードライクリスタルの助けもあって、コロッケを一人二個ずつ。スーパードライクリスタルを350ml缶で三本ずつ飲んでお腹も心も満足したわ。食べ終わり、いい時間になった頃、ジールさんが立ち上がってぺこりと頭を下げたわ。

 

「パイセン達、どうもっす! 自分、ここに来なかったらこんな美味しい物も魔女の師匠にも出会えなかったっす!」

「先輩?」

「金糸雀さん達は魔女ロスウェルの弟子だったんすよね?」

 

 えぇ、勝手に弟子にされたわね。というか多分継続中よ。それで私たちの後だからジールさんは後輩か、

 

「じゃあこれから頑張るジールに勇者がこれをあげり」

 

 出た! すぐに勇者の剣をあげちゃうミカンちゃん。それを受け取って目をキラキラと輝かせちゃって、ジールさん。若いなぁ。

 

「勇者パイセンあざっす!」

「では我からは……暗黒魔法の手解きを、記したメモを」

「いいんすか? デュラパイセン!」

「じゃあ、わらしわぁ……かつてお姉ちゃんが殺めた異世界の魔物の牙れすぅ! ネックレスにしてましたぁ!」

「ちゃんワタサンクス! みんなのお礼は忘れねーっす! 必ず一人前の魔女になって恩返しするっすから!」

 

 バタムと私の部屋を出て行ったジールさん、なんかみんなで門出を祝えたのは悪くなかったかもしれないわね。

 私たちは飲み直そっか? と思っていると……そろそろと入ってくるニケ様。

 

「あ、ニケ様いらっしゃい」

「先ほど、ここに勇者くらいの女の子が来ませんでしたか?」

「きましたよ。とってもいい子でしたけど、ロスウェルさんのところに弟子入りするようにお伝えしました」

「……やってくれましたね。みなさん」

 

 いつになくニケ様が暗い顔をしているけど、どうせしょうもない事だろうと思ってたら……

 

「アテナ様とヴィーナス様が今後新しい女神候補生として魔法学校を卒業したジールを勧誘するように言われていたんです。金糸雀ちゃんの部屋に続くようにトラップをかけていたんですが……」

 

 いたんですが?

 

「昨日、金糸雀ちゃんの家で飲みすぎて寝過ごしちゃったじゃないですか! どうして引き止めておいてくれないんですか!」

 

 知りませんよそんな事……要するに、魔女になる人は女神にはなれない的なルールがあるらしくて、神々も新人獲得に右往左往しているのね。

 

「じゃあ、私が女神になりましょうか? なんちゃって……」

「この際、金糸雀ちゃんでも……いきましょう! さぁ、準備して! 金糸雀ちゃんなら私が教育係になれば百年程で女神になれるでしょう!」

 

 うわっ、それは嫌ね。私はニケ様に辞退する事を伝えたけど、辞退はできないだとか、辞退する場合は違約金としてダークネスなんとかドラゴンの宝玉がいるだの言われて、私は神々に対して少し不信感を持った1日だったわ。

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