6話
「剣使えないとかありえねぇし」
「本当に勇者の息子かよ」
「こっちくんな、不適正が移る」
悪い噂とはすぐに広まるものである
特に学校という閉鎖空間では瞬く間である
そして大抵こんなとき一番味方であるべき教師は役に立たないものである
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僕はハッと跳ね起きた
ゴブリンを狩りそのまま宿屋で寝たのだが悪夢により起きてしまった
「むにゃ、むにゃ、まだまだ食べられるよ~」
ベッドしかない簡素な宿の部屋だが部屋の隅ではタオルにくるまれて寝ているサラが寝言を言っていた
彼女は手のひらサイズなのでタオル数枚で十分なベッド代わりになる
どうやら呑気な夢の中のようだ
僕ももう一度寝直すことにする
━━━朝━━━
僕達は朝ごはんを食べ冒険者ギルドに向う
そして僕が受けられるEランク依頼を確認した
ちなみに連日同じ依頼は受けることができないルールがある
薬草採取と猫探し、どぶ清掃、薬試験の依頼しかなかった
「まともなのないね~」
サラと同意見だがEランクでは仕方ない
ちなみに討伐依頼はゴブリン退治だけであるが昨日やってしまったのでできない
「サラは猫探し得意?」
「ん~探知魔法とかは苦手かな、得意なことは火の魔法と食べること、そして寝ること~」
どうでもいい情報まででてきた上に役に立たなかった
そして素人が薬草の見分けなんかできるはずもない
間違えて持ってきては大変である
「薬の試験の依頼とか面白そう~」
「絶対に嫌だ」
僕は前にアンナさんの新開発の回復薬のテストに付き合わされひどいことになった
あの人は研究とか好きでたまに新開発の薬を作るのだ
効果は高かったのだが一週間寝られないという副作用があり
寝不足で集中力が落ち学校で勉強どころではなかった
「ごめんね、今度はちゃんとしたの作るから」
お願いします!もう僕で試さないで!父さん達は知ってるからかすぐに逃げちゃうからって僕でテストしないで!
この手の依頼は却下だな
仕方なくどぶ清掃となった
依頼主さんのとこに行き清掃を始める
もちろんサラは手伝ってはくれない
他になかったとは言えどぶ清掃なのでマジで臭い
「いやはや、誰もこないから助かったよ。
後で茶をサービスするぜ」
誰もこないことはわかる気がする
どぶ清掃なんて誰もやりたがらないだろう
しばらくはゴブリン退治と清掃の交互な日々になりそうだ