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鷹が来ました

 そのとき、鷹が飛んできて、アローナの頭に舞い降りた。


「……鷹。

 もっと他の場所に」

と頭を爪でガシッとやられながら、アローナは言ったが、ジンは違うことが気になるようで、


「その鷹、名前はないのか」

と呟いている。


 鷹の足には文書がつけてあった。


 おや?

 ずいぶんと美しい装飾の紙だ。


 アローナはその薄緑色で、光る繊維が織り込んである紙を広げてみた。


「鷹よ。

 何処に居たのだ」

という呑気な兄の声を聞きながら。


「……あれっ? エメリア様」


 その手紙はエメリアからのものだった。


 美しい紙だと思ったら、娼館から上客に手紙を出すとき使われる紙のようだった。


 請求書じゃないだろうな。


 ……アハト様への。


 っていうか、鷹、娼館で捕らえられて使われてたのか。


 機密情報をつけて放ったら、駄々漏れしそうな鷹だ、と思いながら、アローナはそれを読む。


 手紙はアッサンドラの文字で書いてあった。


 流麗な筆致で、


「アローナへ


 上客来たる!


 今すぐに手伝いに来てください。

 アリアナ様には呼ばなくていいと言われましたが、あなたの腕を信用して呼びます。


     エメリア」

と書かれていた。


「……娼館からお呼びがかかるとか、どんな王妃ですか」

と横から覗きながら、フェルナンが言っている。


 だが、アローナはその文章がなんだか気になった。


「私の腕を信用してって……カーヌーンのですかね?」


 ないないない、と全員に手を振られる。


 いや、ステファンシリーズ、君らの前では弾いてない気がするんだが、と思いながら、アローナはその手紙を裏に表に返してみた。


「なんだか気になりますね。

 すぐに行ってみましょう」


 エメリアの文章の中の、『今すぐに』がなんだか引っかかったのだ。


 自分を呼ぶのに、やたら、いい紙を使っているのも気になる。


 その手紙を頭の上から見ていたシャナが、

「お供しますよ」

と言ってきた。


 シャナもその手紙を読んで、なにか思うところあるようだった。


「もちろん、別料金ですけどね」

と当然のように付け足しては来たのだが……。


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