みんなで家を作りましょう
さて、寝床寝床と島の中をアローナは見回す。
すると、大きな葉っぱの木がたくさんあるのに気がついた。
あ、これいい、と思ったアローナは、
「貸してください」
と言って、近くにいた盗賊が腰のベルトに挿していた小さな斧をおもむろにつかんだ。
いきなり木を切り倒そうとして止められる。
「わ、我々がやりますからっ。
我々がやりますから、アローナ様っ」
「いえ、皆様は船をお直しください。
私は皆様が休息をとれる場所を作ります」
「アローナ様っ」
「なんでもお命じくださいっ」
その様子を眺めていた頭が呟いていた。
「すごいな、この娘の人身掌握術……」
男たちは船を直すチームとアローナとともに小さな家を作るチームに分かれた。
男たちはアローナの指示で木を切り倒し、葉を刈る。
ある者は湾曲させた細い木や枝で、ドームのようなものを作り、またある者は大きな葉の根元に切り込みを入れた。
葉は何百枚と用意しなければならないのだが、さすが盗賊たちは手際がいい。
使える盗賊だな~と思いながら、アローナは彼らとともに切り込みを入れた葉を下から先に木のドームに引っかけていく。
すべてを引っかけたあと、さらに大きな葉を周りに立てかけ、その辺にあったツルで縛る。
「おお、家ができましたぞ、アローナ様っ」
「狭いですけど。
これ、何個か作りましょう」
とアローナが言うと、おおーっ、と船を直していた者たちからも歓声が上がった。
おや? 鷹が飛んできた。
離宮の外廊下を歩いていたシャナはアーチ型の窓から外を見る。
窓の形に穴が空いているだけで、ガラスなど、はまっていない窓だ。
舞い降りた鷹はその窓枠に止まると、シャナに向かって鳴く。
シャナが、
「伝令鷹か……。
アローナ様?」
と呟き、鷹の脚についている書簡を取っていると、後ろから声が聞こえてきた。
「なんだそれは」
無駄に美しい侍女たちを従えたレオだった。
「ジンからの合図か?
私を殺せとか、内側から攻め込めとか」
と自分で言っておいて、レオは、ふっと鼻で笑う。
「そんなことできるタマじゃないな。
此処に私を追いやっただけで及第点だ」
そうですよねー、と書簡を隠すでもなく持ったままシャナも笑ってみせた。