いいものもらって来てるじゃないか
ジンに少し酒をついでやり、それ以上についでもらったアローナは、
「ぐびぐび行くな……」
と呆れられながら、喉を潤していた。
いや、すっきりして飲みやすかったので、つい、と思いながら、アローナは手を打った。
「そうだ。
そういえば、エメリア様からお土産をいただいたんでした」
警備の者が部屋の隅に運んでくれていた青い宝箱のような箱のところに行くと、どれどれ、とジンもついてくる。
箱を開けてみると、中には、薄紫の透ける素材の布に金の飾りのついたセクシーな服が入っていた。
手触りのいい布地のその服を手に、アローナが固まっていると、
「よし、着ろ」
とジンが後ろから言ってきた。
いやいやいやいやいやっ、とアローナは首を振ったが、
「脱がせやすそうないい服だ、着ろ」
とジンは言う。
「嫌ですよ~っ」
「せっかくもらったんだろう。
一回くらい着てみないと悪いだろうが」
「じゃあ、ジン様が着てくださいよ」
「いや……なんでだ」
とジンが言ったとき、
「なんの騒ぎなんですか」
と申し訳程度のノックのあと、フェルナンが入ってきた。
「いや、アローナに服を着せようとしているのに、この娘、着ないのだ」
すると、フェルナンは呆れ、
「何故、着せているのですか。
その人は脱がせてくださいっ」
と言い出す。
「いつまで遊んでいるのですか、王よ。
式はまだできてはいませんが、もうアッサンドラにも話は通してある正式な花嫁なのですよ、アローナ様は。
いつまで、ごちゃごちゃ揉めているのですっ」
とふたりまとめて怒られた。
「いや、脱がせるために、着せているのだ」
とジンは言い訳し、
「最初から脱がせればいいでしょうっ」
とフェルナンに叱られる。
「ところで、フェルナン。
何故、お前は此処にいるのだ」
「見張ってたんですよ。
王がちゃんとアローナ様と夫婦になられるかどうか」
「何故、見張るっ。
私がヘタレだと言うのかっ」
とふたりが揉めている間に、ぐびぐびと呑んでいた酒が効いて、アローナは寝てしまった。