時の流れというのは残酷なものですね
それからもう少し酒宴を楽しんだあと、レオは帰ることにしたようだ。
エメリアたちとともに、アローナも見送る。
「今日は楽しかったぞ。
エメリア、また来た折りには同じ芸妓をそろえよ」
とレオはこちらを見て笑う。
どうもアローナとアハトのことのようだった。
いやいやいや、とふたり同時に手を振った。
「こんなところで、レオ様と馴れ合っているところをジン様に見られては……」
とぐずぐずアハトは言っていたが、エメリアは、
「わかりました。
いつもでも手配致しましょう」
と勝手に請け負う。
おいおい、と金の亡者エメリアをふたりで振り返った。
「血のつながりなどないはずなのに、アリアナとそっくりだな」
とエメリアを見ながら、アハトが呟く。
はあ……とアローナが相槌を打つと、
「顔もだ」
と付け足した。
ええっ? とアローナは、エメリアと少し下がった位置からこちらを窺う老婆アリアナを見比べる。
「ああ見えて、アリアナ様は昔は天下の大美女と呼ばれていたのだ」
とアハトが教えてくれた。
あまりにピンと来ないので思わず、でかい美女だったのだろうかと思ってしまったが。
やはり、かなりの美女だったようだった。
それが何故、こんなことに……。
恐ろしい話だ。
いや、年をとっても綺麗な人もいるんだが。
今回はなんか違う……と右目と左目にそれぞれ、銭とか金とか書いてありそうなアリアナを見ながら、アローナは思った。