お供のものをさがしています
ともかく、誰か頼りになるお供のものを見つけてください、とフェルナンに言われたアローナは、城の中をうろうろしていた。
広い宮殿の廊下で アローナを見た瞬間に何故かビクつくアハトに出会った。
「アハト様、お暇ですか?」
「……暇ではありませんが。
仕事中なので」
どうされましたか、と訊かれ、アローナは迷う。
……お供のものを探しています、とこの偉そうな人に言うのはどうだろうかな。
一応、こちらが立場は上のはずなのだが、なんとなく怒られそうだ、と思い、
「いえ、なんでもありません」
と言って、アローナは立ち去ろうとした。
鷹でも連れていこうかな。
いつもの鷹はいないだろうから、その辺旋回してるのを捕まえて、と思ったとき、
「私がついて行こうか、アローナ。
供の者を探しているのであろう」
と声がした。
振り返ると、フェルナンを従えたジンがいた。
フェルナンはジンの後ろで溜息をついている。
すべて白状させられたようだった。
「いや、それはちょっと」
意味がわからないので、とアローナは断った。
ジンとのことを相談しに行こうと思っているのに、ジンを連れて行くのはちょっと意味がわからないからだ。
そそくさとジンの許を逃げ出したとき、
「仕方ないですな」
と背後で声がした。
太く丸い柱の陰からアハトが現れる。
「供の者を探しておられたんですか。
仕方がない。
私がついて参りましょう。
お妃様になにごとかあっては困りますからな」
と言うアハトの目には、
私が王に紹介したお妃様になにごとかあってはっ。
アローナ様は、とりあえず、私のことを恨んではいないようだし。
今後、私になにか利益をもたらしてくれるかもしれない、そんなお妃様になにかあってはっ、
と書いてあった。
「そ、そうですね。
では、アハト様にお願い致しましょうか」
と今まで頼もうと思っていたのに、向こうから強く言ってこられて、引きながらもアローナはそう言った。
「アハト様なら、よくあそこにいらっしゃってるようなので、助かります」
とアローナは言った。
「あそことは何処なのですか?」
とアハトに問われる。