表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/81

あああああ~っ



 次の日の夜、アローナは、

「ジン様、昼間みんなで楽しいゲームをやったのですよ」

 やりましょう、と幾つものくぼみのある大きな細長い板を寝台の上に載せてきた。


「なんだ、そのデカイ板は」

とジンが言うと、ザラザラと綺麗な色のガラスの玉を布袋から出しながら、アローナは言う。


「これでゲームをするんです。

 先に自分の陣地からガラス玉がなくなった方が勝ちです。


 ジン様、やったことありますか?」


「ああ、マンカラか。

 そういえば、子どもの頃やった気がするな」


「では、ルールはご存知ですね。

 始めましょう」

と言うアローナに、またいろいろ考えるもんだな、俺の気をそらすのに、とジンは感心していた。


 まあ、こんな板ごとき、パッと手で払って、押し倒せばすむだけの話なんだが。


 そう思いはしたが、真剣な顔でガラス玉を手に盤上を見つめるアローナがおかしく、黙ってゲームに付き合ってやった。


 すると、


「ああ~、負けました。

 最近やってないジン様になら勝てるかと思ったのですが」


「あああ~、また負けました。


 何故ですか。

 貴方の手はすべて読んだはずなのに」


「ああああ~っ。

 なんでなんですか、もう一回~っ」

と呟きながら、何度もアローナは勝手にゲームを始める。


「……お前、もしかして、俺の気をそらそうとしているんじゃなくて、本気で勝ちたいだけか」


 きっと昼間、ゲームを教えてくれた侍女たちにズタポロに負けたんだろうな、とジンは思った。


「お前は人がいいから勝てないんだ。

 綺麗に陣地の玉を減らすことしか考えてないんだろうが。


 ほら、このゲームは相手が終わりそうな頃、こうして、ころん、とひとつ相手の陣地に玉を入れてやればいいんだ」

とほとんど玉のなくなったアローナの陣地の端に玉を一個送り込む。


「なんて意地のお悪いことをっ」

とアローナが半分立ち上がり叫んだ。


「これは意地の悪い奴が勝てるゲームだ」

ともうひとつアローナの陣地に玉を送り込んだところで、ジンの陣地がカラになり、終わった。


 ああああ、とアローナは頭を抱える。


「久しぶりにやったが、面白いな、このゲーム」

と上機嫌にジンは言ったが、アローナは頭を抱えたまま、


「面白くありませんっ。

 でも、もう一回っ」

と言う。


 思わず、笑ってしまった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ