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なんでもお命じください



「お困りですね、アローナ様」


 いきなり声がして、ビクッとアローナは振り向く。


 南国の艶やかな花で飾られた白い湯船の近くにシャナが立っていた。


 エンと入れ違いに、中に入ってきたらしい。


「なにか力をお貸ししましょうか?」


「ああ、シャナ。

 どうしたらいいのかしら?


 王様が来られたみたいなんだけど」


りましょうか?」


 はい?


「殺りましょうか?」

とアローナを見下ろし、シャナは繰り返す。


 いや、何故……。


「アローナ様は私の話を真摯に聞いてくださいました。

 あなた様の頼み事ならば、聞いて差し上げたいと思うので、今なら、無料で」


 いや、頼んでません。


「では、行ってきます」


「い、いや、ちょっと待ってっ」

とシャナの腕をつかんだアローナは閉まったままの扉に向かい、叫ぶ。


「ジン様ーっ。

 逃げてくださいっ。


 ジン様ーっ」




 またなにをやってるんだ、あの娘は、とジンは扉の向こうで思っていた。


「ジン様ーっ。

 逃げてくださいっ。


 ジン様ーっ」


 なんだかわからないが、かばってくれているようだ、と可愛らしいアローナの声にジンは微笑む。


 自身が殺されようとしていることも知らないままで。




 その頃、


 ……やばい。

 アローナ姫に散々なこと言ってしまった、と城の前庭に出て、頭を冷ましながら青くなっていたフェルナンは星空の中を飛びながら、鷹が戻ってくるのを見た。


「お、お前はアローナ姫の鷹っ。


 どうしたのだ。

 いい餌もらって飛んでったのではないのか」

と言いながら、足につけたはずの手紙を見たが、消えている。


「落としたのか?」

と旋回する鷹を見上げて言ったとき、


「あっ、フェルナン様っ。

 アッサンドラの一行が……っ」

と城門の方からやってきた兵士が慌てて言ってきた。




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