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4、友達?

目を覚ますと、枕元に白いワンピースを着た女が立っていた。


「ひえっ……!!」


 僕は飛び起き、恐る恐るその女に視線を向ける。

一体なぜ、僕は斯様な心霊現象に遭遇してしまったのだろうか……と、怯えた寝ぼけ頭で考えていると、目の前の女は邪悪に口端を歪め、そして……、


「どーしたのー? 怖い夢でも見たのかなー?


 と、からかうような調子で、僕に問いかけてきた。


……その妙に間の抜けた言葉に、そういえば昨日から幽霊の女の子に取り憑かれていたことを思い出した。

彼女のことなんて怖くもなんともないのに、ビビッて損をした気になった。


「……朝から幽霊を見てしまった」


僕の呟きに、彼女は驚いたように口を開き、


「えっ、幽霊……!? 怖っ!」


と、身を竦めながら言う。

そして、「どこ、幽霊どこー!?」と、怯えた様子で叫んでいた。


 ……朝から愉快な人だなぁ。

  僕は顔をしかめてそう思った。



 そして、いつものように僕は学校へと向かう。


「あはー、君の学校生活を見られるなんて、楽しみだなぁ」


駅から降りて、通学路を歩いていると、彼女は呑気に笑って言った。


「何が楽しみなの?」


「学校って言ったら、気の合う友達と一緒に過ごしたり、気になるあの子にドキドキする場所でしょ!? 私の前ではテンションの低い君が、どんなふうに友達と接するのか、それを見られるのが楽しみなんだよ」


 僕は彼女の言葉を聞いて、鼻で笑った。

 ぼっちの僕には、友達も、気になるあの子もいるわけがない。


「え、なんで今鼻で笑ったの?」


「今日一日、僕を見ていればきっと理由はわかるよ」


「……その得意げな表情の意味は分からないけど、うん。期待してるよ!」


 どこか釈然としないままも、僕の言葉を受け取った彼女は、楽しそうにそう言った。



そして、誰とも話さないまま、放課後が訪れた。

僕は机から荷物を取り出して、カバンにしまっていく。


それから誰とも話をしないまま、教室を出て……。


「え?」


 と、隣にいる彼女が、茫然と呟く。

 ……僕は気づかなかったふりをして、歩を進める。


「え、いや。ちょっと待って。……もう帰っちゃうの?」


「もちろん」


 ヘッドホンを耳に着けてから、何食わぬ顔で僕は呟く。

 

「真面目に授業を受けて、休み時間は友達と話すこともなく予習復習に費やし、お昼休みはお弁当を食べた後にゆっくりと休息して、午後からの授業も居眠りせずに出席し、そして放課後は真直ぐにお家に帰ろうとするなんて……」


 怯えたような表情を浮かべてから、彼女は僕に問いかける。


「一体君は、なんのために学校に行ってるの……?」


「勉強をしに行ってるんだけど」


 僕は当然のことを即答した。

 学生の本分は紛れもなく勉学である。


 しかし、僕の返答に納得をしなかったのか、彼女は大仰に肩を竦めてから、


「……青春ラブコメ、始めませんか?」


 と、憐れんだ眼差しで、こちらを見てくる。

 こいつ本当に記憶喪失なの? 

僕がそう訝しみつつ、無視してとっとと帰ろうと思ったその時、


「おーい、ちょっと待って」


 背後から声が掛けられた。……気がした。

 でも僕に声をかける人間なんて、学校にはいない。

 きっと気のせいだ。そう思い、僕はそのまま廊下を進む。


「いや、無視とか感じ悪いって」


 僕の肩に、手が置かれた。

 どうして僕なんかに声をかけるんだろうか、そう思いつつ振り返る。

 そこにいたのは、眼鏡を掛けた端正な顔立ちの女子生徒。

 クラス委員の神木ミコだった。


「ごめん、名前も呼ばれなかったから気づかなかった」


 少々皮肉を込めて返答するも、彼女は気にした様子がない。

 

「あんた、まだ進路希望調査票だしてないでしょ? 提出期限は今日までなんだけど?」


 不機嫌そうに彼女は言った。

 高校二年生となって、進路を気にする時期になっていた。

 僕は進学希望だった。


「……あれ? 配られた当日、すぐに神木に渡したけど?」


「は? いや、もらって……ん?」


 神木は首を捻り、何かを思い出そうとして……。


「あ、やっば……」


 と呟いた。


「何が?」


 彼女の呟きに、僕は当然のように問いかける。

 気まずそうに笑ってから、

 

「あー、ごめん。私多分、もらったばかりの進路希望調査票、間違ってカバンに入れて、そのまま家に持って帰ったっぽい」


 頭を下げながら言う。


「ドジっ娘ってやつだ」


 ほー、と感心したように、隣の彼女がそう呟いた。

 それはちょっと違うでしょ、と僕は内心突っ込んだ。


「予備の用紙あったら、すぐに書くよ」


 僕の言葉に、


「マジ、助かるわ~」


 と笑顔を浮かべた神木。

 そのまま一度教室に戻っていったので、僕も後をついて行った。

 

「それじゃ、よろしく」


 神木から差し出された用紙に、僕はさっさと記入してから返した。


「はい、今度こそちゃんと提出してね」


「あー、マジでごめんね。かなり助かった」


 ホッとした様子の彼女はそう言ってから、どうしてかじっと僕の方を見つめていた。


「……どうしたの?」


 僕が言うと、


「あんたさ……」


 どこか意味深そうにそう呟いてから、


「いや、ごめん。多分気のせい」


 そう言ってから


「引き止めてごめん、それじゃ私先生にこれ提出してくるから」


 そう言って、カバンを捕まえて教室を出て行った。

 ……何を言いかけたのだろうか、と思って、隣にいる彼女を見た。

 もしや、神木は幽霊が視える人なのだろうか……?


 ……まぁ、ただの気のせいかもしれないし、そこまで気にする必要はないか。

 僕がそう結論付けていると、隣の彼女が楽しそうにニヤケ笑いを浮かべていた。


「……何かな?」


「いやー、友達いるじゃん、って思ってねー」


 ニヤついた笑みのまま、僕へと視線を向けてくる。

 

「えぇ……君には今のが友達に見えたの?」


「違うの?」


 キョトンとした彼女の表情に、僕はやれやれと首を振って答える。


「違うよ、ただのクラスメイト。仲も良くないしね」


 僕の言葉が聞こえていたはずなのに、どことなく楽しそうに、「ふーん」と呟く彼女。


「ま、今日のところはそういう事にしておきましょうか」


 あれで友達認定されるのなら、僕はぼっちを自称していない。

 不満はあったものの、彼女に無理に納得してもらう必要もないと思い、反論はしなかった。


 しかし――。

 誰かと友達扱いされるというのは、実に久しぶりのことで、なんだか無性に気恥ずかしくなってしまうのだった。


ここまで読んでくれてありがとうございます(∩´∀`)∩

毎日更新頑張る!と宣言しつつ、三日坊主でごめんなさい…(´;ω;`)


不定期更新で続けていきますので、ブクマを付けて更新チェックをしてもらえると、とっても嬉しいです(*'ω'*)!

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