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五龍とドラゴンマスター  作者: 中邑巴
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3話 復活した死のドラゴン


ドラクリェストに存在する五つの大陸のうち四つの大陸を囲むようにある「スウェイザードラゴン」が住んでいるという伝説がある「ニィシュアズ」。

この大陸にある帝都・ロノヴィネのロノイザー宮殿の皇帝の間で帝国騎士団と帝国龍役団の騎士団長が皇帝シュヴァーベタ・ニィシュアズの前に跪き、とある情報を伝えに来たのだ。


「皇帝陛下、あの伝説のドラゴンの目撃情報がありました」


帝国龍役団総司令官兼団長のニズヘッグスが少し険しい顔でシュヴァーベタに言った。

伝説のドラゴンという単語に宮殿の者達がざわめくなか、帝国騎士団総司令官兼団長のカリシュテが口を開いた。


「伝説のドラゴンは彼のドラゴンマスターが使役したと言われている五龍ではありません」


その言葉にしんっと一瞬で場が静まり返った。

このドラクリェストには伝説と呼ばれる龍が六体いる。

このニィシュアズに住むと言われている【スウェイザードラゴン】、ニィシュアズに一番近く工業地帯が多いインディショナルに住むと言われている【ブラワードラゴン】、ドラクリェストの中で一番小さな大陸フィスタルに住むと言われている【ロータードラゴン】、ニィシュアズの次に大きな大陸ブワウスに済むと言われている【グァヴァドラゴン】、大陸のほとんどが巨大な農地でこのドラクリェストのほとんどの農作物の生産地であるミガノソムに済むと言われている【フェイザードラゴン】、ここまでは皆が憧れ、一度は見たいと思う伝説のドラゴンたちだが、今回目撃されたのは先程記したドラゴンたちではなく、かつてドラクリェストを恐怖と絶望の渦に巻き込んだドラゴン、死の龍【デスサイズドラゴン】だ。

【デスサイズドラゴン】は数々の歴史書に記されており、


曰く、このドラゴンが通ったあとは何も残らない無の世界が広がる。

曰く、姿を見たものは呪われ49日後に謎の死を遂げる。

曰く、咆哮を聞いたものは魂を喰われる。


そんな数々の伝説を持つこのドラゴンはかつてドラゴンマスターとそのドラゴンである五龍が対峙し、このドラクリェストではない別の世界へと封印したと書物に記されているが、五龍や死の龍に関しても未だ見たものはおらず、五龍は目撃情報はあるものの、その目撃されたドラゴンは五龍ではなく、他のドラゴンだったと証明されている。

しかし、今回目撃された【デスサイズドラゴン】は、身体に数多の骨を鎧のように巻き付け、青白い炎を手足、羽に纏い、尾は骨だけで肉や筋肉、皮すらもついていなかったという。

その姿は伝記や色々な書物に描かれている姿と一致しており、そしてその目撃した者は【デスサイズドラゴン】を見たぴったり49日後に謎の死を遂げたという。

当初、帝国騎士団、帝国龍役団ともに目撃した者の話を信じず、皇帝に会いたいがために嘘の目撃証言をしていると思っていた。

しかし、その者がきた48日後に家族が現れ、死んだと聞かされ話が本当だったのかと思い、死後50日目にしてようやく皇帝へと伝えに来たのだ。

その話を聞いた皇帝は俯き少し考えた。

もしも今この話を各国へ通達し混乱が起きないとも限らない。

そもそも五龍とドラゴンマスターが倒せず異世界へと封印したドラゴンを我々が倒せるのか。

色々と考えた末、皇帝は顔を上げ帝国騎士団団長と帝国龍役団団長を見て言った。



「伝説の五龍を探し出すのだ。伝説を頼りに住んでいるという場所をあたり、五龍に力を借りるのだ。我々だけではおそらく…いや、確実に倒せず、このドラクリェストは滅んでしまう。そうなる前に一刻も早く五龍を探し出し、使役させ、【デスサイズドラゴン】を討伐するのだ」


皇帝がそう言うと、ニズヘッグスとカリシュテは立ち上がり「はっ!」とキレよく一礼すると、くるっと回り、部屋を出ていった。


「ドラゴンマスター……いや、我が祖父よ。あなたを超える者が現れるのですか」


二人が去ったあと皇帝は天井を見つめ、小さく誰にも聞こえないほどの声でそう呟いた。

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