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第3章~覚醒~

 Kは見知らぬ少女・マリーから「助けて」と言われた時、耳を疑った。日本でいえば小学校高学年に相当する多感な少女から声をかけられただけでも十分な「事案」だ。そのため彼は、少女をずっと担当してきた医師から説明を受けることとなってしまった。彼は当初、ガイドブック編集のために医療機関に現地取材に行っていたのだ。取材を終え、滞在先のホテルへ帰ろうとした瞬間に、マリーと運命の出会いを果たした。


 K「こんな俺が引き受けていいんだろうか」


 当然のことだがKは大いに悩み、すぐに結論を出せなかった。自分は子どもの有無以前に、結婚していない。それどころか10年ほど交際相手がいなかった。結局、この日は返事を保留し、少女とも話し合った上で次の日に結論を出そうと考えた。そのためにもまずはマリーをよく観察しなければならないと考え、その日はホテルに戻る時間をだいぶ遅くすることにした。22時には病院を出てホテルに戻ることを決めた。


 K「マリー・・・、初めまして。Kです」

 ぎこちないフランス語で自己紹介する。まさか大学で2年間勉強しただけのフランス語がこんな場面で役立つとは思ってもみなかった。

 マリー「・・・・・・」

 これに対し、マリーは顔を赤らめ、どう返事したら良いのか困っている状態だった。虚しく時間だけが過ぎていく。結局、全く会話がなく22時になってしまった。Kは手配したタクシーに乗り、ホテルに戻った。


 ホテルに戻った。明日も朝早くから仕事だというのに、一向に寝付けない。自分の将来のこと、あの少女の将来のこと・・・。気になって全く眠れない状態だった。外ではザーザーと強い雨が降り始めた。


 時刻は深夜0時。Kのイギリス国内用の携帯電話に着信が入った。

 K「なんだよ、こんな時間に・・・」

 苛立ちを隠せなかった。Kはガバッと起き上がり、おもむろに電話に出た。だがその内容は驚くべきことだった。



 マリーが病院から脱走した。



 雨の中、急いでKはホテルを後にし、夕方に訪問した病院に向かった。Kが病院に到着したのは深夜1時過ぎ。病院スタッフの証言では、「0時より少し前、マリーが何かに取り憑かれたかのように病室から脱走し、行方不明」とのことだった。信じられないことばかり起きると全員が思っていた。すると、



 パアアン!!



 乾いた銃声が付近で響いた。病院スタッフは急いで建物に逃げた。だがKは「ひょっとして・・・」と思った。直観を信じて現場に赴いた。

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