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プロローグ

 2001年6月24日、日曜日。成田発、ロンドン・ヒースロー空港行の日本航空・JL401便は順調に日本海の上空を北西に向かって進んでいた。眼下には佐渡が見えていたが、すでに見えなくなり、大海原が広がっていた。そのJL401便のエコノミークラスの席にて、一人の男が物思いにふけっていた。

 上司「今回の出張先はロンドンだ」

 職場でそう伝えられたのは1か月ほど前のことだった。東京都渋谷区原宿に本社を構えるゴールデン出版株式会社に勤めるKは、次年度のガイドブック編集に向けた実地調査としてロンドンに派遣されていた。

 K「ロンドンかぁ・・・、久しぶりだなぁ・・・」

 彼は過去に一度イギリスに出かけたことがある。高校2年生の時に語学研修として訪英。そこでロンドン郊外にある大学で座学での英語の授業を受けた。他には現地の学生との交流会に参加したり、あるいはストラットフォード・アポン・エイヴォンへの1日ツアーにも参加したりした。あのシェークスピアの生まれ故郷を訪れたのは、Kにとっても色あせることのない記憶だ。


 それから約20年が経過した。その間、1990年に兄が結婚した。’93年には政権交代が起こった。’95年には未曽有の大震災。’97年には北海道拓殖銀行と山一証券が廃業を発表した。そして近い将来には欧州統一通貨・ユーロが本格導入されるという。いずれの事件も、誰もが予想していなかったことだ。

 全く、人生はどうなるか分からないものである。ましてや自分が家族を持ったりだとか、子どもと一緒に暮らすなんて今は予想できない。他の事象に例えれば、スーパーマン、バットマン、パワーパフガールズといった超能力を持つヒーローが現実世界に誕生したのと同じくらい、現実性が無い。子ども染みたことであり、我ながら「寝言は寝てから言え」と言いたくなってしまう。


 そんなことを頭の片隅でぼんやりと考えてしまう。

 K「いかんいかん、12時間にも及ぶフライトとはいえ、ぼーっとしちゃいけない。時間が余ってるんだったら、資料に目を通さなきゃ」

 時にワーカホリックと呼ばれるKの悪い癖だ。

 資料に目を通し、しばらく寝て、気が付いたらロンドン・ヒースロー空港に着いた。そしてKは、とある少女と運命の出会いを果たすこととなる。

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