第0話...プロローグ
今の日本では100人中99人は知っているだろう。大手企業 霞コーポレーション ここの社長と夫人は子供にめっぽう甘く、その甘さは例えるなら甘納豆を砂糖で浸けたあとにハチミツをかけたかのようらしい
そんな家庭の長男、霞清君は今年高校に入学する年になりました
コンコン
「お話とはなんでしょうか?」
普通の中学校を卒業した少年とは思えない雰囲気を放っているこの少年。このお坊ちゃんが今の日本で一番でかい会社の跡取り息子。両親に手塩にかけられ育てられている少年である。
そんな環境で育てば我が儘でなんとも憎らしく育つのではないかと思うのだが
「清様」
「うっひゃあああ!?あ!スミレさん!いきなり話かけないでください」
なぜだか後ろから話かけられたくらいで飛び上がる程のチキンハートの持ち主となってしまっていた
「ふふふ」
「・・・も〜。僕は今お父様に呼ばれてお話をしに来たんですよ?」
「それは申し訳ありませんでした」
メイドは全然反省した様子もなく歩いていった
「まったく・・・お父様。入ります」
部屋の中は社長室の割には質素な感じである
「おお、清。早かったね」
実際には清自身約束を忘れていて三時間は遅刻しているのだが流石甘い親である
「遅れてごめんなさい」
「はっはっは。遅れてなんかないぞ?私が三時間後に来いと言うのを忘れてたのさ」
「あ、そうだったのですか」
言っていなかったがこの少年、騙されやすい
「それで、大事なお話とは?」
「ああ、清や。お前、いつかはこの会社を継ぐことになるだろう?」
一瞬清の表情が固くなる
(僕が社長・・・か)
この清という少年、てんで自分に自身がない
「最近は女性の社会進出が活発化しているね?」
「うん」
実際、清は気にしたことがなかった
「と、いうことはだ。男も女心が解らなくてはいけない」
「確かに」
何も分かっていないから話を合わせているだけである
「ということで、高校に女として入学してもらうことにした」
「はい?」
目を白黒させる清
「大丈夫。入学手続きは済ませてある」
父親は紙を取り出した
「ちょ、ちょっと待ってください!僕は女になんて」
「が、ガフッ!ゲホッ!」
父親は突然咳き込んだ
「あ、あなた!?持病ね?持病なのね!?」
突然母親が現れた
「清・・・実はな、私はあと半年しかもたないんだ」
清は口元を押さえて驚きを体現した
「頼む・・・女心を掴んで・・・くれ」
「は、はい!」
「清ちゃん。あなたならできるわ。だって六歳までは女の」
「お母様!?なにかいいました!?」
「そんなことより、清。今日から学校だ」
「え?急がなきゃダメじゃないですか!」
清は部屋を飛び出した
「母さん。ナイス演技」
「あなたこそ」
もう一回言うと清はすぐ騙される
「制服はどこですか?」
両親が妖しい笑みを浮かべている部屋に清が入ってくる
「んごほぉっ!?がっへはあっ!ごぼぉっ!」
「あ、あなたーっ!」
「お父様!大丈夫ですか?」
もう一回言おう。清はすぐ騙される