第5話(1) 【神託者ーオラクルー】女神さま……
『【神託者ーオラクルー】~!!』
えっええええええええええええ! はっ!
『めぐちゃまに似合うジョブ選んであげる~』
確かあの本には【勇者】【スペルマスター】 など世界に8人しかいない最高ランクジョブが書いてありました。その本自体がもしかして【超越位階】の最高ジョブしかなかった!?
女神さまは確かに【プリースト】とは言っていたがその手に持っていた本は……
まずはこのどんちゃん騒ぎをなんとか切り抜けないと! たしか、魔法でアルマさまが
『これだけは便利だからジョブ解放したら使ってね~魔法の名前は……』
「ルリさんっ!」
「えっ!? 主!?」
ルリさんを引き寄せ魔法を唱える……
「【リープ】」
視界が一瞬にして街の入り口に変わる。
「あれっ!? ここは門? なんで!?」
「ジョブ登録で使えるようになった【リープ】という魔法です。この魔法は自分の記憶にある場所を思い浮かべるとそこに瞬間移動ができるらしいです。」
「……らしいってめぐっ……主は一体何者なんですか!?」
「ごめんなさい……ちょっと整理してお話させてください。僕も混乱していて……ひとまずこの街で一番高い宿はどこですか?」
「えっ……1泊金貨3枚の宿があるけど……」
「そこは普通の人はめったに泊まらないですよね? そこに案内してください。お話致します。」
「わかりました……まだ他の人たちもギルドにいるはずなので主をご案内致します! こっちです。」
……
……
「ふうっ……」
幸い宿は近場にありすぐに部屋を借りることができました。さて、どこまで話していいのか……
「主……話していただけますか?」
「ルリさん……まずは前の話し方、呼び方に戻していただけますか? 急によそよそしくなったみたいで寂しいです……」
「でもこれがっ……」
「ルリさん……」
「……うーーーん! わかった! わかったよ! めぐる!」
良かった。もとのルリさんの雰囲気に戻ってくれました。
「でも、これだけは言わせてくれないか? 私を助けてくれてありがとう……うれしかったよ……」
「いえいえ! ルリさんを助けるのは当然ですよ!」
ごめんなさい……一瞬関わらないようにしようとしました……
「そして本題ですが、僕は明日にでもこの街を出ようと思ってます……」
「どうして?」
「それは僕が【プリースト】の最高ランクである【オラクル】だからです」
「そう! 【超越位階】! 世界に9人目の到達者! 何がどうしてそうなったんだ!」
「まだ、詳しくは説明できないです。僕自身いろいろなことがありすぎて自体を飲み込めていないのです」
「そうか……でも、どうして出ていくんだ?」
「まだ、断言できないけど厄介ごとに巻き込まれる可能性が高いからです。ルリさんにはお世話になりました」
「私はついて行くから!」
「いや、僕の話聞いてました? 僕について来ると恐らく厄介ごとに巻き込まれます……ルリさんを巻き込むわけには……」
「めぐるこそ私の話を聞いていない! 私はめぐると一緒じゃなきゃ嫌だ! ギルドでの誓ったじゃないか! 一生をあなたに捧げるって!」
ルリさん……覚悟を決めよう……
「ルリさん、ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。」
「うんっ!」
ルリさんの花のような笑顔がかわいいです。
「では、ルリさん今から夕方まで別れて旅の準備を行いましょう。僕はできるだけ顔を隠しながら王金貨と金貨を崩せるように立ち回りつつ準備を行います。これはこの部屋の鍵です。僕は【リープ】で中に入れるので。」
「わかった! 行動を開始しよう!」
……
……
思い付くものは手当たり次第購入して宿についた。ルリさんはまだ来ていないので、少し仮眠を取ろうと思う。
ベッドに横たわり目を閉じて魔法を呟く。
「【コーリング】」
意識がまどろんでいく……
夢の中に入っていくのがわかる……
意識が少しずつ覚醒していき……
「めぐちゃまっ!」
1日が長くどたばたしていたせいか、聞こえた声が懐かしく思えた……
つづく