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第14話(4) ティアーズ


「ブルー!」


「ぐおっ……エリー?」


「バカバカ! 無茶をしてっ!」


「【ヒーリング】」


 めぐるの魔法でブルーの傷が治る。


「こっこれは! 回復魔法! 一瞬で!」


「ブルー! めぐるたちに感謝しないとだよ! Eランク任務を終えて誰もついてこないのに……誰も助けてくれないのにめぐるたちは助けに来てくれたんだよ!」


「めぐるくん……すまないな」


「めぐるでいいですよ。ブルーさん。それに助け合いでしょ?」


「ははっ……恩にきるぜっ!」


「仲良しごっこしてるんじゃねえぞ!」


 ジェイルが凄まじい跳躍で飛びかかってくる。

 ガキィンッ! またしてもジェイルの剣が弾かれ一回転してジェイルは着地した。

 青い髪の女剣士が光輝く剣を抜いて牽制していた。 


「ルリさん……お願いいたしますね。スピカは周り雑魚を捕らえておいてください。もうまもなく、王都騎士団が到着するでしょう」

 

「めぐるはね! わたしらのために王都騎士団まで手配してくれたんだよ!」


「めぐる……きみたちぃは一体……」


「それよりもその女の子と他の人たちが最優先です……これは酷いですね【ヒーリング×3】【キュア×2】」


 二つの魔法を連発する。状態異常回復(キュア)を行ったのは恐らく薬物、性病の可能性があるためだ。

 

「めぐる……こっちは任せてくれ」


「ルリさん、相手はランクが高いらしいから気をつけてね」


「なんだよっ! 青髪のねーちゃん可愛いじゃねーかよ! 決めた! 抵抗できないように足をぶったぎって犯してやろう」


「下衆が……」


「ねーちゃんやめとけよ~。俺はランク7の【剣盗士】剣士と盗賊のダブルコンボなんだよっ!」


 ジェイルが爪先を地面に入れ蹴り上げ土をルリさんの顔の位置に飛ばす!

 ルリさんは横に交わす、それに合わせ横薙ぎに剣が切り込まれる。ルリさんは聖剣を握り叫ぶ!


「【聖斬擊の約束-セイントメントエンゲージ】!」


 バキッンっ! 空間に光輝く亀裂が走りジェイルの剣が止まる。


「なにっ……がっはあああああああっ!」


 同時にジェイルのいる場所の空間に光輝く亀裂が走り通過点にいたジェイルの体が切り裂かれる!

 それに合わせてスピカがジェイルに飛び込み地面の影に手で触れる……


「……スキル……【影縛(えいばく)】……」


 スキルを唱え手を地面から離すとジェイルの影の一部が空中についてくる……そして、その場にジェイルを黒い影が拘束する。


「ぐうううつううう! くっそ! くそくそくそくそくそくそくそくそおおおおおお! なんだよっ! げっふ! なんなんだよこれ!」


 口から血を吹き出してながら叫ぶ……

 ルリさんは光輝く亀裂に向かって聖剣を振るう。すると亀裂が消えていく。


「……分身……解除……」


 スピカも呟くと黒マントの集団がその場に溶けるように消え、周りの盗賊たちも全て同じように影に拘束されていた。

 


 ジェイルや周りに説明する義務はないけど、ルリさんとスピカはかなり相性が良かった。

 ルリさんの聖剣は【光の聖剣クラウ=ソラス】その聖剣の能力の一つである

 【聖斬擊の約束-セイントメントエンゲージ】

 この能力はルリさんの聖剣の斬擊を前借りするものである。この場所を後で必ず斬るという約束のもと、違う角度の斬擊限定で先に空間に光の斬擊が走る。もちろんその場にいるもの。斬擊に触れるものは容赦なく切り裂かれる。


 そして、ルリさんの光の聖剣と最も相性がいいスピカは影を操ることと、日本の忍者の術がリアルに使える。光りないところ、闇に覆われているところでもルリさんが光を放ち、かならず影を作りだしその影を利用した戦い方やコンビネーションを加えるという王道の攻めと守りが完成した。


「ルリさん! スピカ! 凄かったです! 良かったですよ!」


「「めぐる!」」


 二人でめぐるに抱きつく。それを見ていたブルーとエリーは、


「今日……彼らと出会えたことにマジで感謝だなっ!」


「そうよ……あなたを救ってくれたんだからね」


 エリーがブルーの首に抱きつく。

 こうしてパイル村の盗賊団は討伐された。


……


……


「めぐるーーーー!」


 しばらくして王都騎士団が村に到着した。

 ブルーの仲間も村人も既に回復済みである。

 ヒカリを先頭にしているが、レイナの姿は見当たらず、もう一人同じ白銀の普通の騎士団とは別の高貴な鎧を装備して、女性と間違えるほど綺麗なストレートのアッシュのロン毛、小さめの眼鏡をかけていてかなりのイケメンがいた。


「申し遅れました。私は王都騎士団中隊長ジーク=アルバインと申します」


「これはご丁寧に私はブルー……」


「……がるるるるるる……」


「きっ、きみぃ!?」


「ヒカリ、ジークさん、うちのスピカがすいません。ジークさんの偽者の話は既に聞いているかと思います。彼女はそれで警戒して威嚇をしてます。僕を守るためなので見なかったことにしていただけると嬉しいです。そして、ヒカリ……来てくれてありがとう。嬉しいです」


「めぐる……。うん! 当たり前だよ! めぐると私の仲じゃん……」


「「「!?」」」


 ルリさん、スピカだけでなくジークさんもびっくりしていた。ルリさん、スピカは僕を庇うように前に、そしてジークさんはヒカリを庇うように前にでた。


「偽者の件では迷惑をかけました……が、ヒカリに手を出すのは頂けませんね」


「「手を出すっ!?」」


 ルリさん、スピカが鬼の形相で振り替える。


「出してないですし、出す予定もないのでご安心ください。ただ、最初の嫌悪くだった状態について話し合っただけです」


 ルリさんとスピカがほっとする中、ヒカリだけが……


「っ!?」


 両手両膝を地面について落ち込んでいた。


「きみ……妹のヒカリに魅力がないといっているのかね?」


 眼鏡を片手でくいっと上げながら、こめかみに血管が浮き出ている……


「えーと……妹なんですか?」


「私両親であるアルバイン家がヒカリを養子として迎えたのです。したがってヒカリは妹です」


「おにいっ! やめてやめて! 私の為に争わないで!」


 ぴきっ……やっぱりイチイチ面倒くさい勇者だな


「あのー、ひとまずは村人の安心のためにコイツらを連行。一部の隊は復興の助力とかってできないですか?」


「申し訳ないです。冷静になろう……そうですね。盗賊の連行はスピカさんに拘束していただいているので即時可能です。しかし、復興の助力となると王都騎士団が率先して行うわけにはいきませんね」


「おにい……」


「職務中は中隊長と呼びなさい。私もね……個人的な感情だと助力したい。しかし、王都騎士団として動くのは陛下の指示なしには無理だ。今回めぐる殿が陛下と私たちに言ったのは危険盗賊団の撃退は自分たちが行うから連行だけしてくれとのこと。これも違例なんですよ」


 ここに来る前、めぐるは陛下、王女、ヒカリ、レイナの四人に直談判していた。王女とヒカリは賛成で直ぐにも飛び出そうとしたところを、陛下とレイナの反対側意見に止められた。

 そこでめぐるは討伐は自分たちが行い、王都の監獄への連行のみを大々的に行ってほしいと条件を緩和させてお願いした。

 メリット提示としては輸送だけの危険度が低い、悪名高い危険盗賊団を捕縛して連行して国に帰れば騎士団の宣伝になる。

 この申し出で思い腰を上げてくれた。


「それだけでもありがたいです。では、連行をお願いいたします」


「ヒカリ殿! ジーク殿! 助力感謝いたします!」


 ブルーたちティアーズのメンバーが片膝をついてお礼をする。


「助力出来なくて申し訳ない。しかし、ギルドにはこの村の巡回度をあげるように進言しよう。では私たちはこれで……めぐる殿。陛下が今日の晩餐の時に今回の件の話が聞きたいそうです。必ず、戻ってくるようにとのことです」


 眼鏡をくいっと上げこちらを見る。


「はい。かしこまりました」


 騎士団たちを見送るとブルーさんの仲間たちや村人たちが駆け寄る。話は感謝の言葉と賞賛の声だ。ぱんぱんっ! と手を叩く音がして静まる。手を叩いたブルーさんが近寄り。


「めぐる! 本当にありがとう! 借りができたな!」


「いやいや、助け合いですよね?」


「はっはーーー! そうだな! ……困ったことがあれば言ってくれ、そして俺たちが聞いたら必ず駆けつける!」

「そうだぜ! めぐるさんには恩があるからな!」

「全くだぜ! 尻を差し出してもいい!」

「あんたたち、バカじゃないの!」

「いってえ! 俺たちは怪我人だぞ!」

「うっさい! バカども!」


 多くの笑い声が響く……













 そんな中それは起こった。


「マリー!? マリー!? どうしたの!? ねえ!? マリー!?」


 全員が振り替えると目を覚ましたマリーと呼ばれる獣人が膝を抱えガタガタと凄まじく震えながら爪を噛み割り怯えていた……



 そう……

 


 まだ問題は解決していなかったのだ……





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 時を同じくして王座の間では鉄のぶつかり合う音が鳴り響いていた……


「……がっは!」


 柱に飛ばされた騎士はレイナである。


「やめいっ! レイナわかっているだろう! いくらお前が超越位階でもヴィルヘルムには敵わない!」


「しっ、しかし、陛下に無礼な口を……」


「よい! よいのだ! 既にこのヴィルヘルムの要求の食料品、日用品の提供は飲むと王都ならびに帝国で話はついているのだ!」


「ふわぁ~、王様……コイツ弱すぎ王都騎士団の隊長別のやつにした方がいいんじゃないの? それにコイツ、あたいの前にも負けてるらしいじゃん! だっせぇし、超情けねぇぜ!」


 身長が180はあろう身長が高い女性がそこにはいた。赤い髪のポニーテールで褐色裸、黒い鎧だがうっすらと紫の色に光の加減によっては見える。鎧と言っても胸部と籠手、脛当てと靴しかなく腹部にかんしては腹筋が見えるヘソだし、女性の細いマッチョという感じだ。

 武器は禍々しい形をした2メートルほどの黒い大きな斧。その斧を床に突き刺しもたれ掛かっていた。そして背中にも同じものがもう一つ背負われていた。


「くっ……同じ超越位階同士の戦いだったんだ!」


「は? じゃあ、超越位階でもないあたいに負けるってどうなのさ? そいつに隊長譲ったほうがいいんじゃね? あたい本気だしてないよ?」


 背中の斧を親指で指差し二本使わせてみろと言わんばかりに……


「じゃあ、あたいは適当に外で飯食ってくるから。戻って来るまでによろしくね」


 その赤毛の女はその場を去った。


「レイナ、気にするな……ヴィルヘルムは企画外だ……」


「わかっております。……っち、あのプリーストめ……」


「おい……」


「があっ!」


 去ったはずの赤毛の女が瞬時にレイナの首を掴み壁に持ち上げて叩きつけた。


「お前が負けた超越位階者はプリーストなのか?」


 女からどす黒い空気が漂う……




つづく

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