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第14話(2) ティアーズ


 一夜開けて僕たちは今、王都のギルドにいます。陛下に朝挨拶をして王都を見て周ると伝えたとところ『何時ごろ帰ってくるんだい?』と言われてしまった。正直申し訳ないと伝えたら『しばらくは泊まっていきなさい。色々と迷惑をかけたから私の心中を察してくれ……』とのことでしばらくは城暮らしになりそうです。

 なぜギルドにいるのかというと情報収集もあるがルリさんとスピカを含めた三人で実戦の経験を多く積みたい。

 72柱の魔神や魔獣と交戦する可能性だけでなく今回のような戦いに巻き込まれることもあるので女神さまから貰ったお金でニート生活ではなく、自分たちでもお金を稼がないとという意味もある。

 そんなこんなで今はギルドの依頼を物色中です。


「めぐる。これはどう? 『Bランク以上 魔獣人狼討伐』アモンの部下のガジェッも人狼の上位種だろうからいい経験になると思うのだが」


「危険すぎなので却下。最初はD~E……できればEでの獣もしくは魔獣の討伐が望ましいです。僕とスピカはそういう依頼を受けることが初、そしてチームとして連結を取る実戦も初なので最初は緩いので行きましょう」


僕はEランク冒険者が受ける依頼の一枚を取った。【Eランク以上 牧場付近のワーウルフ討伐 5体以上】


「ワーウルフ?」


「魔獣化した狼のことだよ。ランク2の前衛ジョブが2人もいれば簡単かな?」


「……それでいい……」


「それじゃこれ受けましょうか!」


……


……


 ギルドの受付カウンターにて手続きを行う。


「この任務でよろしくお願いいたします。チーム名は【月兎(つきのうさぎ)=玉兎(ぎょくと)】です」


「はい! ……って、Bランクのあなた方がEランク任務を受けるんですか!?」


「初任務なのでひとまずはこれで慣らそうかと……」


「えっ!? 初!? Bランクで!」


 ……受付さん声デカすぎ周りが少し注目してきちゃってますよ。Bランクでかなりざわざわしてます。えっ? Bランクもあるのに下から2番目のEランククエスト受けるの?


「とりあえず、任務受理されたってことでいいですよね? ルリさん、スピカ行きますよ……」


「へいっ! ユーたちぃ! まちたまえよっ!」


 オーケストラばりのTHE 男! って感じの声に振り向くと白い鎧に赤いマント、190くらいあるガタイのいい身長に金色の……リーゼントっ!? この世界にもリーゼントがあるのか? とにかく、それでいてけつアゴの男が薔薇を咥えて立っていた……

 なんだよ……この人……キャラ濃すぎだろ……

 こっちに向かってずんずん歩いてくる。何々僕たち!? 僕たちに用なの!? 周りがざわつく……

 

 ブルーだ…… あいつらAランクだろ…… なんだなんだ衝突か…… ありえねぇ…… そうだな…… どうせあれだろ…… そりゃあれだろ…… あれだな…… あれしかない…… あれかー……


 ブツブツ聞こえるけど、あれってなんだーーーーーー!


「初めまして! ユーたちぃ! 私はぁ~! ブッルうううううううう……バインっ!」


「えっ? なにこの人……」


「……うっさい……」


 ルリさん、スピカが僕の腕にしがみついてくる……


「あのー……どちらさまですか?」


「私はぁ~! ブッルうううううううう……バインっ!」


「うるさっ!」

「……うざい……」

「なんなのこの人……」


 三人同時にめんどくさいオーラが……しかし。また、この人は名前を聞かれたと思ったらしく……


「私はぁ~! ブッルうううううううう……バっはっ!」


 ばこんっ! と金髪リーゼントが叩かれる。後ろを見るとバンダナに控えめな胸がちらりしそうな黒のタンクトップ、褐色肌で緑色の髪をした金槌を持った女性がいた。


「ブルー! うっさい! 無駄にいい声を大声で出すな!」


「……いってぇよ。エリー……マジいってぇよ」


「うちのアホで暑苦しいリーダーがごめんなさいねぇ~」


 若くて同い年くらいのエリーと呼ばれる女の子が近所のおばさんのように話しかけてくる。となりの金髪リーゼントは金髪で白い鎧に超目立つ赤い真っ赤なマントなのに名前はブルーと言うらしい……やっぱり、濃い……濃すぎる……

 

「いえ。気にしてないので大丈夫ですよ。行きましょう。ルリさんスピカ……」


「へいっ!」


「うっわ!」


 バスケのディフェンスのように行く手を阻まれた! そしてブルーという男はけつアゴを擦りながら……


「ユーたちぃに話があるっふっ!」


 ごちんっ! また、金槌が振るわれる……でた……今ちょっと目玉飛び出た……


「また、あんたはちょこまかと! 相手さん迷惑してるじゃないか!」


「いってえよ……ユーたちぃ……すまない。ミーのテンションが上がってまた殴られる前に二階にあるミーティングルームにてお話をしようではないか……」


 絶対なんかの厄介ごとだよ……でもさっきボソッと聞こえたがこの人たちのチームはランクAらしい。

 チームランクとしては上から2番目だから少しコネクションを……って明らかに変な人なんだけど。


「じゃあ、とりあえず上へ行きますか?」


「っ! センキューーー! ベリーマッぐっ!」


「うっさい!」


 というか最早エリーという人があんなに殴ってるから変な人になったのでは?


「……うぅ~めぐる~」

「……シャーー……」


 片腕にしがみついてドン引きしているルリさんと、変なおっさんに威嚇をし始めたスピカを連れて二階の部屋へと移動した。

 ミーティングルームと聞き少し小さめの部屋かと思いきや学校の一教室分はあり5人が使うには結構広い部屋だ。

 全員が腰掛けて僕が口を開く……


「あのー僕たちになんのよ……」


「ユーたちぃ!」


 机をばんっと叩き立ち上がる……また、隣から金槌が振るわれそうになったが話が進まないため。 いい! いいから! と手を降ってジェスチャーした。今さらだが、この世界英語あるかねー


「ユーたちぃ……Bランクという力を持ちながら! Eランクの任務を受けるとはどういう風の吹き回しだいっ!」


「へ?」


「へっ? じゃなあーい! 涙を流していて力のないものが困っているのにEランクの任務を受けるとうわっ! Bランク以上の任務を受けるのが筋じゃないのかい! 困っている人を助けよう! 涙を流さしちゃいけない! そうしようよ! へいっガ~イ!」


 両方の指をピストルの形にして指差してくる……


「いや、Eランクのワーウルフ討伐も農家の人が自分じゃ魔物倒せない。でも育ててる家畜を守らないとっている依頼で。困っている人でしょ? 泣いている人でしょ?」


「はうっ!?」


 多分白黒の少女漫画のように白目を剥いて衝撃を受けたようだ……


「はっはっはっ! 違いないねぇ! そこの色男の言う通りだよブルー! 困ってる人を助け涙を脱ぐってやる。それがあんたのチームであたしたち【ティアーズ】だろ」


「……そうでした……ミーが間違ってましたよ! エリーっ! ミーを殴ってくださいませっ!」


「よしっ! きたっ! 歯ぁ~くい縛んなぁ~!」


「ガタガタガタガタガタガタガタガタ……」


「ちょっ、ちょっ、ちょいまって! わかった! わかりましたから! 一先ず落ち着いて! 自己紹介! そうだ! 自己紹介しましょうよ!」


「……へっ、へーい! ユーやさしいね! ミーの名前はブっ……」


「ブルーさんですよね! わかりましたから! であなたはエリーさんですよね!」


「そうさね」


「そしてミーたちがAランクチームの【ティアーズ】でぇす! 困ってる人たちの涙を拭う存在です」


 一本指を立て天井高らかに片腕にを突き上げ、片手ではけつアゴを弄っている……こうして最高にダサいポーズを決めているブルーさんたちと初めて出会った




つづく

私的にはブルーこそが真の勇者みたいな感じで描いていきたいです。

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