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第12話(1) 王都へ……勇者とプリースト



「……と言うわけで、僕はこの世界と別の世界からやってきたんです。」


 僕は洗いざらい今までに起きた出来事を説明した。日本という別世界の国から来たこと。人助けをして死んでしまったこと。女神アルマさまに出会いこの世界に転生したこと。この世界について何も知らないということ。

 そして、重要な事として【女神アルマさま】に【ママ】と呼ぶように強要されているということを……


「にわかには信じられないけど、めぐるを信じるよ。教えてもらっている戦闘術も未知のものだから」


「……よくわかんない……けど……めぐるはママとよぶ……わたしにも甘えて……」


「ふふっ、そうだな……私のこともママと読んでもらおうか」


「もう勘弁してください……」


 部屋には3人の笑い声が響き渡る。一先ずは明日もジョブのスキルや魔法の練習……明後日には一時拠点を王都に移す。王都にて72柱の情報を集めつつ特訓、ギルドにて実戦を兼ねた依頼を受ける。


「そういえば、めぐる。気になっていたのだがチーム名の由来はなんだ?」


「はい。この世界も僕の世界にも月がありますよね。その月の模様ってうさぎに見えませんか?」


「……うさぎ……」


「はい。そこから僕の世界では月にはうさぎが住んでるではないのか? って昔の人達は思っていて【月兎(つきのうさぎ)=玉兎(ぎょくと)】って呼んだんですよ。あと、月に写ったうさぎは餅をついたり、薬を作ったりっていう所がなんとなくプリーストっぽいかなと思って」


「たしかにそう見えなくもないね」


「あとは、うさぎは臆病な所あるけど可愛いし2人にも合ってるような気がして……」


「……めぐる!」


 スピカが抱きついてくる。


「……嬉しい……」


「あっ! ズルいぞ!」


 続けてルリさんも抱きついてくる。


「わわっ! ふっ、ふたりとも!」


「ふふっ、スピカ! 二人でめぐるを守って行こうな!」


「……もち」



……


……


 目を覚ました時には夕方だった。訓練後慣れない所での食事、アモンとガジェとの極度のプレッシャー。肉体的、精神的にもかなり疲労していたので爆睡していたのであろう。昨日の戦いを見て感じたことがある。それは女神さまにも言われたことだが、今後素手で戦っていくのはかなり厳しくなりそうだ。女神さまとの連絡で【エンチャント・アーム】についての魔本を調べなさいと言われたことを思いだし頭の中の魔本を探す。【アーム】の魔本は魔法で作れる武器の本だった。沢山の武器がそこには記されていたのだか……


「【エクスカリバー】【ロンギヌス】【トライデント】【ミョルニュル】……これ、かなり認知度高い神話の武器ですよね……なにこれ……」


 改めて表紙を見ると【著者:アルマ】っておい! 女神さまじゃないか? 裏に後書きのような者も書いてあり


『~後書き~めぐちゃまへ』


 もろに僕個人に当てたものでした。内容は僕への愛の言葉が殆どでほぼ飛ばしましたがどうやら知り合いに頼んで魔法で武器を召喚できるとのことでした。知り合いって……しかし、【エクスカリバー】には大きくその絵の部分に赤く×のマークがあり、【所持者:勇者】と書いてあり正式な継承者がいる場合は魔法で武器を召喚させることができないようだ。試しに1つ武器を召喚してみようと思った。


「【アーム:聖丈アスクレピオス】」


 部屋の床に金色の魔法陣が形成されその中からゆっくりと自分の身の丈程の白い杖が出てきた。杖上部は十字架のようになっており、紅い目をした白い蛇が巻き付いているデザインだ。軽く握ってみると身体能力が強化魔法をかけた後のように向上したのがわかった。

 そして、続けて魔法を唱える。


「【エンチャント:ブレード】」


 アスクレピオスの十字架の先端から光の刃が形成された試しにスピカの以前使っていた錆びて捨てる予定のナイフを刃に当てると豆腐のように簡単にはすっぱりとナイフが切断された……これめちゃめちゃ危ないよ……

 1人で魔法や武器を試していると、ルリさんとスピカが部屋にやってきた。


「めぐる? 起きてるか?」


「……ふあ……まだ眠い……」


「うわっなんだ!? その槍は!?」


「……ぴかぴかー」


「槍じゃなくて杖なんですよ。女神さまから頂いた魔法で武器を召喚することができるんですよ」


 杖を消した。


「私は1度めぐるのおかげで強くなったことに悩みを抱えたけど、めぐるのほうがなんか大変だね……」


「僕もこんなに凄いことになるとは思いませんでした」


「たしかに……女神さま溺愛し過ぎかもね。ところで王都に向かうのはいつ頃向かおうか?」


「そうですね……明日支度をして、明後日にはでましょうか。王都で情報をいち早く集めないと……」


「それに賛成。アモンの話から考えるにしばらくこの街にはやつの手先は昨日今日で来ることはないだろう。私とスピカは日暮れまでまた少し特訓しようかと思うめぐるも来るか?」


「そうですね。そうしたらお腹空いてるので軽く食べてから向かいます。二人はどうしますか?」


「運動前にごはんはキツイかな? それじゃあ先に向かっているから転移で来てくれ」


「……ねーむーいー……」


「ほらっ! スピカいくぞ!」


 ルリさんの小脇に抱えられ宅配便のように連れて行かれる。スピカはうるうるしながらこっちに手を伸ばすが、行ってらっしゃいと手を振ると諦めたかのようにがっくりと頭が垂れ下がる。僕も着替えて宿の1階へと向かう。1階には食事処も設備されて折り宿でもご飯を食べることができる。従業員さんに外で軽く食べれる軽食をお願いして、出来上がりを待っていた時……入り口から声が聞こえた。


「ごっごごごごご……ごめんなさいごめんなさい」


 女の子の大きな声が聞こえて、食事をもらうとその場所に足が向くのだった。



つづく


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