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プロト版 あんたプリーストでしょ!~嫌われもの異世界転生~   作者: げんげんだの
第2章 忌むべき存在
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第11話(2) アモンの魔獣



「ここが次の街リゲル……先に入り口には来ていたけど最初に訪れたプラムより大きいですね」


 村を少し離れたあと街に転移した。僕の2回目の街はリゲルといい、最初に訪れた街プラムよりも道が補正されていて馬車が通れるほど広い。建物も大きなものが多く屋台などの出店も豊富だ。


「そうだね。ここは王都からもっとも近い街だからかなり豊かだよ。物を買うとかは王都ほど監視の目もないので掘り出し物も多かったりするよ」


「……ふぉー……人いっぱい……」


「スピカ離れないようにね。まずは宿を取りましょう。今後のことも相談したいので。そのあとスピカのジョブ登録させましょう」


「めぐる。今後もいろいろ旅する上でチーム登録もしといたほうがいいぞ。チームでしか入れない店や地域などもあったりするから」


「そうなんですね。では、この3人でチーム登録も行いましょう。……でも、僕のジョブがバレるかも……」


「それは大丈夫。チーム登録は水晶を使わない紙に記入する自己申告制だから」


「詐欺じゃないですか! それって大丈夫なんですか?」


「結局、チームランクは働きで上下するから嘘をついても任務クリアしないとランクダウン。信頼を失うから任務も受けられず自然消滅。実力世界だから問題ないよ。逆に【超越位階】とかで登録した日には国家クラスの任務依頼が……」


「はい。僕は善良なランク7【プリースト】です」


「それがいいね」


「あとは物資の調達ですね……ここなら最新の地図が入手できるのでそれは必要ですね。あと、ルリさん、スピカの武器や防具も慎重しましょうか」


「えっ、私はいいよ! お金かかるし!」


「必要経費です! とりあえず、宿を目指しましょうか」



……


……


「はーい! お客様いらっしゃーい!」


「こんにちは。ここに泊まりたいのですがおいくらですか?」


「はーい! お一人さま潤銀貨1枚です!」


「そういたしましたらこれで1週間泊めさせてください」


「はーい! ありがとうございまーす!」


 綺麗めな宿を取り、次はこの街のギルドに向かう。

 ギルドは組織の筈なのに管理体制は意外とずさんだ。ジョブ登録時ギルド専用の指輪が至急されるが個人情報うんぬんは指輪に登録されておらず、登録時の水晶が発信する情報を自分で覚えておくとのこと。だがチームを結成して初めて全てのギルドにチーム構成、実績、ランクが情報共有されるとのこと最初の構成は自己申告制のため論外だが、実績とランクだけは更新後各ギルドに共有される。

 なんか中途半端な組織ですね。よく今までやってこれましたよ。リゲル街のギルドもプラムより大きく広い。依頼の掲示板の貼り紙もかなりぎっしりあります。受け付けも多くプラムは窓口2つだったのに対し、窓口が7つもあり人も忙しなく動いています。


「スピカ、ここでジョブ登録できますよ」


「……?」


「昨日説明しただろうに……」


 ルリさんが呆れている。


「簡単に言うと登録するだけで強くなれるんですよ」


「……登録する!」


「単純だねー。私もジョブ更新しないと」


「ジョブ更新?」


「定期的に水晶に手を当ててランクアップしているかの確認。もしかするとめぐるの騎士になったからランクアップしてるかもしれない。そんな気がする」


「ランクアップはきっかけも影響するって言ってましたもんね。」


「そう。めぐるのジョブは特種だから」


……


……


 受け付けの職員さんにスピカの登録を金貨を支払いお願いしつつ、ルリさんは同時進行でジョブ更新を行っています。ルリさんのジョブはランク3の【騎士-ナイト】です。ジョブのランクアップの条件は①戦闘経験値②修行行為③特例条件 の3つとのこと。【オラクル】という【超越位階】である僕の騎士という誓いは③特例条件に該当するも僕たちは考えています。そして……


「ルリ=セルルシアンさん! 順番が来ましたよ!」


「行ってくる!」


「はい!」


「ルリ=セルルシアンさんですね? ランク3の【騎士-ナイト】ですね?」


「はい。」


「では、こちらに手をお願いします」


 ルリさんが手を当てると水晶が光った……そして受け付けのおじさんが声を上げる


「ランク7っ!? ジョブは【聖騎士-セイントパラディン】だとっ! 4階級飛び越えとは聞いたことがない!」


「セイント……パラディン……更新したら力が上がったのがわかる……これで守れる……やったーーーー!」


 ルリさんが走って抱きつく!


「めぐる! これであなたを私が守ってあげられる! ずーと守ってあげられるようにこれからも強くなる! 強くなるから!」


「ルリさん、ありがとう……嬉しいです」


 ……でも、超目立ってますよね? あれ? スピカのほうも……


「スピカ=フェイクファー! 初登録でランク6だとっ! バカな! しかも希少ジョブの【上忍】だと!?」


「……(ぶいっ)」


 ……いや、ピースサイン送られてもと思った矢先背中に衝撃がっ


「……ルリだけ……ずるい」


「えっスピカ!? なんで? あそこにいるのは!?」


 スピカが2人いる! 同じ人間が突如現れたことでギルドないが騒然とする! 問題の本人は落ち着いていて……


「……何あれ……?」


「スピカがやったんじゃないの?」


「……んー……とりあえず……きえて」


 ぼふんっ! という音と共にもう1人のスピカが消えた。……でも、あれって……分身の術?


 ギルドが少し静まりかえったと思いきや凄い剣幕で周りの人間が集まり2人を勧誘する。

 是非我がチームに! いやいやウチのチームだ! 剣士職がいないんだ! 忍の子是非うちで盗賊を! おかしあげるから! 助っ人でもいいから! パンツ何色? 騎士団に入ってくれ!

お試しでもいいから! うちのチームで世界を目指そう! ……などめちゃくちゃです。


『うるさーーーーいっ!』


「入るチームは決まっている!」


 ルリさんの一言で静まりかえる。次のセリフに期待してだと思う。


「私とスピカは! 彼! めぐるのこれから作るチームに属するっ!」


「……(コクっコクっと頷く)」


『はあああああっ!?』


 ふざけるな! などの罵声が飛び交う中、ガシャンっ! と何かが割れる音がした……みな振り替えると1人の綺麗な鎧を着た茶髪の剣士が立っていた。その周りには4人同じ鎧を着た剣士たちもいた。……ちょうど静かになったし……


「静まれい! 貴様ら! 我が王都騎士団部中隊長ジーク=アルバイン殿がおられるのだぞ!」


 静まりかえった周りがまたぼそぼそと呟きだす。 

王都騎士団と言えば王都最強部隊だぞ…… 確か団長のジョブは【勇者】だよな…… なんでまたお偉いさんがこのタイミングで……


「えー……こほん。私が王都騎士団中隊長ジーク=アルバインである。部下が大声を出してしまい申し訳ないね……まあ、諸君らも騒がしくしていたので両成敗ということにしておいてくれたまえ」


 茶髪の騎士がなかなか大きい態度で話している。身長は175くらいで結構スラッとしてる感じがする。つり目だが顔は整っているため女子受けも良さそう。普通にイケメンだなこれ。


「我が王都騎士団は勇者さまを筆頭に来るべき魔王軍との戦いを行う! そのためには強者が必要でね……どうだろうか……見目麗しいお2人よ……このランク7【ロイヤルガード】の私と王都のために! 世界のために戦おうではないか! 高貴なる王都騎士団で!」


「……ーで、チームはこの2人とでチーム名は【月兎(つきのうさぎ)=玉兎(ぎょくと)】でお願いします。えーと代表者は僕でー」


 全員が唖然とするなか淡々と作業を続けていた。


「きっ貴様! 何を勝手に進めている! 無礼者!」


 騎士団員叱咤する。


「なぜです? 先ほど2人は入るチームは僕のチームと言っていましたが?」


「貴様! 処罰されたいのか!」


「喚くでない……そこの君がめぐるというのかね? 王金貨50枚出そうどうかね?」


「いや、それくらいもってるのでお構い無く……王都騎士団って金で解決しようとするんですね。高貴な王都騎士団は1人あたり王金貨25枚で入れるって……本当に凄いの? あっ、代表は僕。めぐるで登録お願いします。【プリースト】です」


「はっはっは……めぐるとやら我が王都騎士団を愚弄するとは王都騎士団中隊長であるジーク=アルバイン……私と知っての狼藉かな?」


「あっ、この指輪がチームリーダーの証ですね。ランクはBなんですね。ありがとうございました。では……」


「まて! 貴様!」


「なんなんですか? もう用はないでしょう? そもそも狼藉って何をしたのですか?」


「高貴ある我が王都騎士団の地位を金で買えるなどとふざけたことを抜かしておいて帰れると思っているのか!」


「いや、王金貨50枚で売って来たじゃないですか?」


「ぐっ……」


「はぁ……めんどくさいです。あなた方これから予定がたくさんあるので……」


「まて!」


「あなた方の今の行動はみんな見てますよ。この辺でいい加減引かないとそれこそ悪評が立ちますよ……ではこの辺でごきげんよう」


「……このままで済むと思うなよガキ」


「厄介事は勘弁してください」


「ということなので私たちはめぐると行くんでな」


「……べー……」



 ぎぃ……ばたんっ! 


 扉の重い音と同じように重い空気がしばらくギルドないに漂っていた。





つづく

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